日本のエネルギー問題と解決へ向けた取り組み

私たちが普段から使用する電気(エネルギー)ですが、これらの電気がどのように発電されているのかを、みなさんはご存じでしょうか。

現代では、電気が無ければ私たちの生活は成り立たないといっても過言ではないでしょう。

この記事では、日本が抱える慢性的なエネルギー問題から、環境問題とエネルギー発電の関係性について取り上げます。

日本のエネルギー問題

日本のエネルギー問題といえば、おそらく多くの人は原子力発電所を連想するのではないでしょうか。

事実、原子力発電所の稼働の是非は、日本が抱えるエネルギー問題のひとつですが、国際社会で提議されている日本のエネルギー問題はそれだけではありません。

日本のエネルギー供給の割合

まず、2018年の日本のエネルギー供給の割合ですが、原子力発電が占める割合は2.8%ともっとも少なく、化石燃料由来の発電方法である火力発電が85.5%ともっとも多い結果となりました。

国際社会において、このデータの何が問題であるかというと、この火力発電というのは、発電過程において大量の温室効果ガスを排出する発電方法であるということです。

2015年に合意された、温室効果ガスの削減に向けた取り決めである「パリ協定」、そして持続可能な世界を実現するために策定された「SDGs(持続可能な開発目標)」と、世界が環境問題解決へ向けてクリーンエネルギーへとシフトしています。

しかし、現在の日本はまだ火力発電でのエネルギー供給の割合が高く、また、その火力発電の燃料である化石燃料のほぼ全てを、中東やアジア諸国からの輸入に依存しています。

そのような現状が、日本のエネルギー問題だとされています。

脱火力発電に向けた、日本の取り組み

化石燃料ついては、天然資源に乏しい日本においては外国に依存せざるをえないというのが現状です。

ただ、日本政府もこのエネルギー問題を放置しているわけではなく、積極的に問題解決に向けた対策を打ち出しています。

パリ協定では、2030年までに温室効果ガスを26%削減することが日本の目標として定められましたが、2021年に日本政府は、2030年までの削減目標を46%にすると大幅に上方修正しました。

また、政府は2050年までに、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するとしています。

クリーンエネルギー戦略

政府は地球温暖化対策を経済成長につなげる戦略として「クリーンエネルギー戦略」を策定しました。

この戦略は、企業が脱炭素に取り組むことで、社会経済や産業構造を変革し成長を促すグリーントランスフォーメーション(GX)を起点として構成されています。

クリーンエネルギー戦略には、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーやアンモニア、水素といった、新たなエネルギー開発に向けた投資環境の整備や、CO2吸収技術の開発促進などが盛り込まれています。

グリーン成長戦略

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた宣言された、「グリーン成長戦略」

これは「エネルギー関連」「輸送・製造関連」「家庭・オフィス関連」の各産業において、カーボンニュートラル向けた高い目標を設定し、その目標達成のために政府が積極的な支援を行う戦略です。

具体的には、脱炭素へ向けた新技術を開発する企業に対して、技術開発から社会実装までを一貫して支援する「グリーンイノベーション基金」の設置や、10年間で1.7兆円規模の民間投資創出効果が見込まれる、カーボンニュートラル関連の「税制支援」、そして三菱UFJ銀行といった3大メガバンの環境融資目標を約30兆円に設定するなど、ESG投資の促進に向けた「投資環境の整備」などがあります。

再生可能エネルギーの促進

2022年1月、政府は再生可能エネルギーの普及に向けて、2兆円を超す投資規模で次世代の送電網を整備することを発表しました。

再生可能エネルギーとは、「太陽光」や「風力」、「地力」といった温室効果ガスを排出しない、自然界に存在するエネルギーです。

政府は2012年より、再生可能エネルギーによって発電された電力を、国が設定した価格で電力会社が一定期間買い取る「固定価格買取制度(FIT法)」を導入しました。

これにより、企業や投資家による売電事業が拡大や、再生可能エネルギーの設備容量がFIT法の導入前と比べ年平均29%増加するなど、一定の効果が得られています。

日本の水力発電を除いた再生可能エネルギーの供給量の割合は、2018年時点で約8.2%となっているので、今後の更なる普及が期待されます。

世界が期待する、カーボンニュートラルを実現する新技術

カーボンニュートラルの実現に向けて、今後の技術開発、社会実装が期待されている分野に「水素発電」「CO2回収技術」があります。

これらの技術の開発支援は、クリーンエネルギー戦略やグリーン成長戦略にも盛り込まれており、政府においても期待値が高い分野となっています。

日本国内のみならず、世界中でこれらの新技術の開発は行われています。

今後のどのような新技術が生まれ、私たちの生活へ普及していくのか、その動向に注目です。

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