リサイクルできない紙問題｜紙を代替するLIMEXの可能性

脱プラスチックへの取り組みから、最近増え始めている紙製品。

しかし紙の需要が増えるにともなって、新たに「リサイクルできない紙が問題」が注目されはじめました。

この記事ではそのような問題を取り上げ、環境問題解決に向けて開発された新素材「LIMEX」について注目していきます。

リサイクルできない紙問題とは

2015年に行われた、気候変動抑制への国際的枠組みを定めたパリ協定、環境問題や人権問題の解決に向けて採択されたSDGs（持続可能な開発目標）など、世界が脱プラスチックに向けて動き出したのは、みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか？

近年、脱プラスチックへ向けた動きが活発になり、プラスチックの代替として紙製品の利用が大きく注目されています。

そこで新たな問題となっているのが、「リサイクルできない紙問題」です。

ちなみにみなさんは、リサイクルできる紙とできない紙があるのを知っていましたか？

図１

リサイクルできない紙、リサイクルできる紙の表

「紙はリサイクルできるし環境によい」というイメージがありますが、こうしてみて見てみると、意外なことに、私たちの身近なところにもリサイクルできない紙が多くあるのです。

このようにリサイクルできない紙は、すべて可燃ごみとして焼却することしかできません。

世界の紙の消費量は2050年には約7億5,000万トンと、2017年（約４億トン）のおよそ２倍近くになると見込まれています。

紙の主原料は「木」なので、現在のペースで紙の大量消費が続いてしまうと、いずれ深刻な森林破壊へとつながり、わたしたちの生活や地球環境にさまざまな問題を及ぼすことが懸念されています。

このような重大な環境問題の解決を目指し開発されたのが、次世代の新素材「LIMEX（ライメックス）」です。

LIMEXの主原料である石灰石は世界に豊富に存在しており、その埋蔵量は日本国内だけでも240億トン。

日本では自給率100％の鉱物資源であり、マテリアルリサイクル（再生利用）が可能な、枯渇リスクが低い資源ともいわれていています。

LIMEXは、そのような「環境にやさしい素材」を主原料とした、紙やプラスチックに替わる次世代の新素材です。

現在、抱えている環境問題を解決しうる素材としてLIMEXは注目されており、SDGsの観点からも「気候変動対策」「森林・海洋の保全」等に貢献することができるのです。

マテリアルリサイクル（再生利用）とは、廃棄物を回収し、新たな製品の原料として再利用するリサイクル方法のことで、持続可能な社会を実現するうえで重要な取り組みのひとつです。

LIMEXのマテリアルリサイクルの事例として、LIMEXの製造工場では、LIMEXの製品である「LIMEX Sheet」の製造過程で生じた端材を回収し、新たに文房具や建築資材などへ再製品化しています。

このような、不用となったLIMEXの再生利用は、廃棄に伴う「CO2排出量の削減」や「エネルギー使用量の節約」など、SDGsにも貢献できます。

すでにLIMEXを事業に取り入れている企業や自治体も多く、今後、その活用の場が広がることが期待されています。

企業・自治体の主な取り組み事例

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、グループ内で運営されている「麴町珈琲」でLIMEX製のメニュー表を採用。

同グループはその後、廃棄されたLIMEX製のメニュー表を回収し、同グループ内で運営されている「デニーズ」のドリンクバー用トレーに再製品化するなど、積極的に資源の再生利用に取り組んでいます。

宮城県白石市では、市のふるさと納税返礼品として「LIMEX製文房具セット」と「LIMEX製抗菌マスクセット」を取り入れました。

これは株式会社TBMの生産工場が、白石市にあるということで実現した取り組み。

ちなみに、今回採用されたLIMEX製マスクには抗菌効果のほか、消臭性もあるとのことで、今後の用途拡大に期待が広がります。

SDGs 未来都市および自治体 SDGs モデル事業に認定されている神奈川県は、県内22の自治体・企業・団体が参加するコンソーシアムを発足。

このコンソーシアムでは、LIMEX製品のアップサイクルのスキームの構築、そしてそれらの取り組みの発信を目的としています。

このように、LIMEX製の製品は徐々に普及してきており、上記以外にも、数多くの企業や自治体にLIMEXが採用されています。

環境にやさしい素材を知り、選択をすることは、環境問題の解決へと繋がります。

LIMEXを使用することは、その大きな第一歩となるでしょう。