プラスチックの雨!? 富士山で発見されたプラスチックの雨雲が与える衝撃

マイクロプラスチック問題は、このサイトでもたびたび問題提起している深刻な環境問題の1つ。

よくよく考えれば想像のつくことかもしれませんが、海を漂うマイクロプラスチックは、そのまま海に沈んでいくわけではありません。

食物連鎖を経て、私たち人間の体に蓄積されることもありますし、今回ご紹介するように空から降ってくることもあるのです。

この記事では、まさに今も空から雨となりマイクロプラスチックが降ってきている現状について、ご紹介します。

根深いマイクロプラスチック問題

マイクロプラスチックは、もともと人間が出してしまったプラスチックごみが、川から海へ流れ出ていき、小さくなったもの。マイクロプラスチックの定義としては、5㎜以下まで小さくなったものを言いますが、目に見えないほどに小さくなることも確認されており、0.01mm(10㎛)ほどにまで小さくなったものもあるようです。

よく問題となっているのが、貝や魚がマイクロプラスチックを食して、それをさらに大きな海洋生物や人間が食していること。プラスチックを食すことでその生物の体にも大きなダメージを与えますし、当然ながら生態系にも大きな悪影響を及ぼしています。

私たち人間の活動や排出したごみによって、地球の未来が危うくなっているこの現状から、決して目を背けてはなりません。

富士山の雲にマイクロプラスチックを発見

今回注目したいのは、マイクロプラスチックが空から降ってくる、ということについて。

雨雲は、海上など水蒸気を含んだ空気が上空で冷やされ水滴となり、それが空中の塵と混ざり集まっています。

現在の研究では、この「空中の塵」の中にマイクロプラスチックが混在していることが分かっており、雨となって降りそそいでいるとされています。

最近では、雨水の中だけでなく、雲(雲水)の中からマイクロプラスチックが発見され、世界に大きな衝撃を与えています。

そしてさらに衝撃的なのが、この世界ではじめて雲(雲水)からマイクロプラスチックが発見された場所が、富士山頂だったということです。

陸や海で発生したマイクロプラスチックは、自由対流圏(自由大気)に乗って世界をめぐっているとされています。このため、今回検出されたマイクロプラスチックが、世界のどこから届いたものかは分かりません。

しかし、1つ言えるのは、私たちが排出したごみは、巡り巡って私たちのもとへ還ってくるということ。

実際に、今回検出されたプラスチックも、私たちの暮らしに身近なものが多く、ペットボトルや衣料に使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)や、スマートフォンのボディや医療機器、パーテーションなどに使用されているポリカーボネートが主だったとされています。

マイクロプラスチックが気候にも影響を与えている?

今回、富士山頂の雲からマイクロプラスチックが見つかったことで、マイクロプラスチックの粒子が核となり雲を作っている可能性が濃厚となりました。

2023年10月時点では研究段階とのことですが、マイクロプラスチックの雲は日光を反射し雨の降り方を変化させている可能性があるとのこと。つまり地球の気候に少なからず影響を与えている可能性があるというのです。

空から降ってくる、マイクロプラスチック

現在、世界のあちこちで雨水の中からマイクロプラスチックが検出されています。

もちろんそれは都心部に限らず、例えばフランスのピレネー山脈などからも発見されており、あらゆる場所で人間や生物の上に降りそそいでいるのです。

肉眼で見えないマイクロプラスチックも、顕微鏡で見れば色とりどりのものがあり、恐ろしいことに採取した雨水の90%から見つかった、という報告もあがっています。

プラスチックごみを排出している国や地域だけではなく、世界中のあらゆる場所でこうした被害が広がっており、多くの生物を苦しめているということを私たち人間は自覚しなければならないでしょう。

知らないうちにプラスチックを浴び続ける私たち

プラスチックは多くの生物を苦しめ、命を奪っています。

私たち人間もその例外ではありません。

生きていくために欠かせない水の中にも小さなプラスチックがたくさん入っているかもしれないことを、忘れてはなりません。

そしてそれはほとんど不可抗力で、私たち人間の体内に侵入してくるのです。

空気中のプラスチックを吸い込んだり、プラスチックを口にした畜産を食したり……人間がプラスチックを捨て続ける限り、こうした悪循環は人間のもとにまで必ず巡ってくるのです。

現在、私たち人間も週に5グラムほどのプラスチックを飲み込んでいるといわれています。

プラスチックが人体にどれほどの影響を与えるのか明らかになっていないこともありますが、プラスチックに苦しむ動物たちを見ている限り、決してそれが看過できるものではない、ということに気づかなくてはならないでしょう。

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