日本の水族館にラッコは3頭だけ!海にはラッコはいる?輸入規制は?

日本の水族館にいる動物の中でも、人気の高いラッコ。
愛らしい見た目と、貝を割って食べる姿が人気ですが、いま国内の水族館には3頭しかラッコがいないことを知っていましたか?
もしかすると近い将来、私たちがラッコの姿を見ることができなくなるかもしれない現実について、考えてみましょう。

日本の水族館にラッコは3頭?!ここまで減ってしまった理由とは

実は、いま日本の水族館にいるラッコは3頭だけ。
1頭は福岡県福岡市にある「マリンワールド海の中道」、もう2頭は三重県鳥羽市の「鳥羽水族館」にいます。
ピーク時には国内の水族館に122頭ものラッコがいたといわれていますが、なぜここまで減ってしまったのでしょうか。

高齢化で繁殖が難しくなってしまった

ラッコは繁殖が難しい動物です。日本国内の水族館では、これまでにラッコの繁殖に成功した例はわずか数例しかありません。
ラッコは、一般的には性成熟までに数年を要し、繁殖期間も限られています。また、ラッコの寿命は野生では15~20年程度ですが、水族館環境下では人間のケアにより30年以上生きることもあります。そのため、ラッコの寿命が長くなる一方で、繁殖力は高齢化に伴い低下していきます。
高齢化による繁殖力の低下は、水族館におけるラッコの個体数の減少につながります。高齢のラッコが繁殖できないか、または少数の子どもを生むことができるため、新たな個体の追加が難しくなります。また、高齢のラッコは健康上の問題や病気にもより脆弱になることがあり、これも繁殖力の低下に影響を及ぼします。
残念ですが、現在日本の水族館にいるラッコも高齢化が進んでおり、新たに繁殖することは難しいと考えられています。

ワシントン条約による輸入規制

ワシントン条約(CITES)は、国際的な野生生物の取引を規制するための条約であり、絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を監視し、制限することを目的としています。
ラッコは、ワシントン条約の附属書IIに記載されており、野生個体の取引には規制が課されています。これは、ラッコの個体数が減少し、絶滅のおそれがあるとされるためです。
ワシントン条約の規制により、水族館は新たなラッコの個体を野生から捕獲することが難しくなりました。条約では、ラッコの取引には輸入許可書や出生証明書などの文書が必要とされ、国際的な規制が厳しくなっています。また、個体の数やサイズにも制限が設けられています。
ワシントン条約の規制は、絶滅のリスクがある野生生物の保護と持続可能な取引を促進するための重要な枠組みです。しかし、ラッコの場合はこれが水族館での展示や繁殖活動に制約を与え、個体数の減少につながっていると言えます。

キレイな海で泳ぐラッコたちの暮らしを守るために

海の生き物が暮らせるキレイな海を守るためには、私たちの取り組みが不可欠です。まず、ラッコを含む海洋生物の保護には、生息地の環境保全が重要です。海岸や島々の開発による生息地の破壊を抑え、海洋生態系の健全さを維持する努力が求められます。
さらに、持続可能な漁業の推進も海の保全に欠かせません。乱獲や違法な漁網の使用を抑制し、漁業資源の適切な管理を行うことで、海洋生物の生息環境を守ります。
気候変動への対策も海の生態系を守るために必要です。温暖化による海水温上昇や海洋酸性化は、海洋生物に大きな影響を与えます。再生可能エネルギーの活用や二酸化炭素の排出削減など、持続可能なエネルギー政策の推進が求められます。
また、プラスチックの削減と海洋ごみの清掃も重要な課題です。プラスチック廃棄物は海洋環境に深刻な影響を及ぼし、生物にとっての脅威となっています。個々の行動でプラスチックの使用を減らし、リサイクルやリユースを心がけることで、海洋ごみの問題に取り組むことができます。
私たちは、持続可能な生活スタイルの選択や環境教育の普及にも貢献できます。エコツーリズムの支持や海洋保護団体への参加、学校やコミュニティでの啓発活動など、積極的な役割を果たしましょう。
水族館でラッコが見られなくなる日はそう遠くない未来の現実かもしれません。
しかし、ラッコをふくめ海の生き物が暮らせるキレイな海を守るためには、私たち一人ひとりの意識と行動が重要です。
大切な海の生態系を守り、美しい地球の未来を目指していきましょう。

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