「タバコのポイ捨てはやめましょう」という警告を見たことがない、という喫煙者はいないでしょうが、実際に「タバコのポイ捨てはしたことがない」という人はどのくらいいるのでしょうか。
データによると、吸い殻のおよそ2/3はポイ捨てされているといわれています。
この記事では、健康被害ばかりが注目されているタバコの「環境問題」にスポットを当てていきます。
目次
タバコのポイ捨ての実態は深刻だった…
先にも記した通り、タバコのポイ捨て率は高く、およそ2/3が吸い殻としてポイ捨てされているというデータもあるほどです。
世界では、毎年およそ6兆本の吸い殻が出ており、そのうち4兆5000億本がポイ捨てされてしまっているともいわれ、日本もおそらく例外ではなく吸い殻のポイ捨て問題があるといえるでしょう。
健康被害にばかり注目の集まるタバコですが、こうしたポイ捨てによる環境被害も決して見過ごすことができるものではありません。
ましてやこれだけ多くの本数がポイ捨てされているとなると、決して小さくはない問題であることはお分かりいただけるのではないでしょうか。
タバコのフィルターはプラスチックでできている
吸い殻が環境に悪影響を及ぼす理由の1つが、タバコのフィルターのほとんどがプラスチックでできていることに起因します。
プラスチックが環境に及ぼす影響については、今では多くの人の知られていることではありますが、一方でタバコにプラスチックが使用されていることを知っている人はそれほど多くはないでしょう。
このため、ポイ捨てされた吸い殻はすぐに土に還ることはできません。
プラスチックが分解されるには相当の時間を要すことや、あるいは分解されずに川や海へ流れでてしまうことで深刻なマイクロプラスチック問題へもつながっているのです。
タバコは「葉」「紙」でできている…という誤解
「紙巻タバコ」といわれるため、タバコは紙でできている、と誤解している人も、もしかしたら少なくないかもしれません。
しかし実際はプラスチックでできたパーツもあるため、環境中ですぐに分解されず2年で約62%が分解されていない状態で残っているといわれています。
さらに問題なのが、フィルターそのものにも毒性があるということ。
アメリカ・サンディエゴ州立大学などの研究によると、未使用・使用済のいずれのフィルターにも魚に対する毒性があり、吸い殻の数が増えること生存率に悪影響を及ぼすことが分かっています。
目に見えてプラスチックだと分かるペットボトルやビニール傘とは違い、サイズも小さく火をつければ燃えていたタバコの吸い殻を捨てることが、大きな環境問題となっていることを喫煙時には考えないかもしれません。
しかしこうした一人ひとりの行動が積み重なり、プラスチック問題や突然変異など生体への悪影響として残念な結果を生み出していることは、まぎれもない事実なのです。
吸い殻は灰皿へ…はまだまだ常識になっていない
環境問題が大きく注目されるより以前、吸い殻のポイ捨ては街の美観を守るために、街頭への灰皿設置がされるようになりました。
日本では1964年の東京オリンピック開催がきっかけで、灰皿の設置が普及してきたといわれています。
しかし、昨今でも「吸い殻は灰皿へ」「タバコは指定された場所で」と盛んに叫ばれ続けているのは、まだ喫煙者がタバコや吸い殻に対する意識が低く、ルールが守られていないことの現れといえるのではないでしょうか。
足元にある吸い殻…当たり前の光景になっていませんか?
市の条例で路上喫煙禁止区域が制定されたり、携帯灰皿が普及してきたりしますが、まだ足元に目を向けると吸い殻が落ちている…という光景が当たり前になってはいませんか?
タバコのポイ捨てが悪いことだ、というのは喫煙者のみならず多くの人が周知していることではあります。
しかしながら、小さなごみであるということからその被害の大きさが見逃されていることも実態としてあるのではないでしょうか。
また、ポイ捨てを隠すために、排水溝へ吸い殻を投げ入れたりする人もまだまだいます。
目の前から消えたごみは決してなくなりはせず、回りまわって大きなしっぺ返しがくることを決して忘れてはなりません。
「タバコは個人の選択」ではなく、私たち人間が地球に対して責任を取るべき課題として考えなければならない時期が来ているに違いありません。
まずそのためには、タバコ製造業者や喫煙者がしっかりと事実を認識し責任ある行動をとっていくことが、吸う人も吸わない人も、そして地球にとっても未来ある結果につながっていくことでしょう。