「マイ箸」はエコじゃない?デメリットを知って環境を守る選択を

「木材を原料とした割り箸の使用は環境破壊に繋がる」「マイ箸の利用はエコ」といった話を聞いたことはありませんか。

実は割り箸の使用は環境破壊に繋がるとは言い切れず、マイ箸の使用もエコとは言えないと指摘されています。

そこで今回は、正しい知識を身に付けて地球を守るために、マイ箸や割り箸の違いをエコの観点から見ていきます。

マイ箸とは?エコとは言えない理由

マイ箸とは、繰り返し使える自分専用の箸のことです。持ち歩いて使うことで、使い捨ての割り箸の利用機会を減らし、環境への負荷を下げることを目的としています。

しかし、マイ箸の素材としてプラスチックがよく使われている点が問題視されています。

プラスチックは軽くて丈夫で加工も容易であるため、さまざまな製品に利用されていますが、「環境に与える負荷が大きい」というデメリットがあります。

その理由として、プラスチックは石油を原料としているため、製造過程で大量の二酸化炭素が排出されます。さらにプラスチックは分解が非常に遅く、自然界では数百年かけて分解されるため、プラスチック廃棄物による海洋汚染問題が深刻化しています。

こうした背景から、プラスチックが主流となっているマイ箸の利用は「エコには繋がらない」と指摘されています。

割り箸の利用は環境破壊に繋がる…は誤解かも

割り箸は一度きりの使い捨てであり、原料が木材であることから「割り箸の利用によって森林が伐採され、環境破壊に繋がる」と言われることがあります。

しかし、実際には割り箸の利用が環境破壊に繋がることはほぼありません。

なぜなら、割り箸の原料として利用される木材は、材木の製造過程で発生する端材や、建築など他用途で利用できない間伐材などで作られているためです。

一般的な森林は年を重ねるごとに成長速度や二酸化炭素の吸収力が落ちる傾向があるため、定期的な間伐はむしろ環境にとってもメリットが大きくなります。

そのため、割り箸は使い道がない木材を利用して作られていることから「むしろエコである」と言えます。

また割り箸は原料が木であるため、プラスチックと違ってそのまま廃棄しても自然分解し、焼却処分してもカーボンニュートラルであるため、SDGsに合致した存在と言えます。 ただし、こうしたケースは国産の割り箸に限った話であり、海外産の木材を使用して作られた割り箸は環境に優しいとは言い切れません。

国内の割り箸工場の数は半減している

日本国内における割り箸工場の数は、1993年から2003年の10年間で、半数以下に減少しました。

この原因としては「割り箸の使用が環境を破壊する」という間違った認識から、「プラスチック製の箸への転換」や「マイ箸の普及」が加速し、割り箸の消費量が減少したためです。

しかし、国産の割り箸であれば使用しても環境破壊に繋がることはなく、むしろ端材や間伐材を有効活用することで林業やそれに関わる分野の人々の収入源となり、それが山に還元されることで森林整備が促進される好循環が生まれます。

こんな時はマイ箸の使用をオススメ!

ここまでマイ箸と割り箸の違いを解説しましたが、ここではマイ箸の使用をおすすめするシーンをまとめました。

安価な海外製の割り箸を使用しているお店の場合

安価な割り箸で使われている木材には、防カビ剤などの化学物質が使用されており、その割り箸を使って食事をすることで健康に悪影響を受ける危険性があります。

こうした割り箸による悪影響を避けるためには、安全なマイ箸の使用がおすすめです。

感染症のリスクを避けたい場合

コロナ禍においては、不特定多数が再使用可能なプラスチック製の箸を使用することによる感染リスクが懸念されています。そのため、自分専用のマイ箸を使用することで安心して食事を楽しむことができます。

企業による割り箸のリサイクル事例

ここからは、使用済みの割り箸を環境に配慮した形でリサイクルする企業の事例を紹介します。

紙の原材料としてリサイクル

使用済みの割り箸を回収して、紙の原料としてリサイクルする活動が広がっています。
全国の自治体や商店街などが中心となって割り箸を回収し、王子ホールディングスなどの企業が割り箸から紙へとリサイクルを行っています。

ストーブの燃料としてリサイクル

全国的に有名な温泉地である城崎温泉では、年間40万人以上の利用客が訪れていますが、お湯の温度を維持するための燃料として使用済みの割り箸が利用されています。
さらに市内の学校や公共施設において、ペレットストーブの燃料として割り箸を再利用するために、豊岡市商工会青年部城崎支部などが主導して回収し、ペレット化する活動を行っています。

身近にある「実はエコじゃない」を見直そう

地球環境を守るためには、正しい知識を身に付けて行動することが重要です。
しかし、「割り箸の使用は環境破壊に繋がる」といった間違った認識が広がったことで、本来エコであるはずの国内の割り箸製造工場の閉鎖が進んでしまっています。
「国産木材を使った割り箸」や「プラスチック製でないマイ箸」を使用することで、環境への負荷が大きいプラスチックの使用量を削減し、地球環境を守る活動に繋げていきましょう。

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