プラスチックが土に還るまで何年?ポイ捨てされたゴミが分解されるまで





「ポイ捨て」とは、道端などの捨ててはいけない場所にゴミを捨てる行為を指します。

ポイ捨てはしてはいけないことだ、ということは周知の事実ですが、環境保護やリサイクルなどの観点からも大きな問題となっています。どのくらいの問題なのか…を知って、ポイ捨てやゴミに対する意識を変えていきましょう。

こんなにかかるの?!捨てられたゴミが土に還る期間

捨てられたゴミが土に還るまでにかかる期間は、ゴミの種類や環境条件などによって異なります。

ゴミの種類土に還る期間
電車の切符約2週間
牛乳パック約5年
約50年
電池約100年
ペットボトル約450年
ゴミが土に還るまでの期間

※出典:Colleen Tighe © The Balance 2019

たとえば電車の切符であれば約2週間ですが、ペットボトルなどのプラスチックごみであれば約450年と土に還るまでにかなりの時間が必要となります。
ペットボトル以外にも、プラスチックごみは文房具・食料品の容器・シャンプーなどの容器・ビニール袋・漁業の網など、さまざまなものが該当します。
つまり、軽い気持ちでポイ捨てしたプラスチックごみは、捨てた人が死んでしまった後も長く残り続け、環境に悪影響を与え続けてしまうのです。

プラスチックごみが引き起こす問題

ポイ捨てされたプラスチックごみは土壌以外にも、海に流れ着くケースもあります。その際、海への汚染も深刻で、プラスチックごみだけで年間800万トンに達すると言われています。その結果、これまで蓄積したプラスチックごみは1.5億トンとも言われ、2050年には海にいる全生物を超える量になることが予想されています。

※出典:海洋プラスチック問題について(WWFジャパン)

プラスチックごみは海の中に蓄積するだけでなく、海の生態系に深刻な影響を及ぼします。
プラスチックごみの重量は海水よりも重いため、水の中に沈んでいきます。そのため、海の中にいる生物に覆いかぶさって窒息死させたり、光を遮ることで光合成を阻害して死に至らしめたりします。その結果、プランクトンや海藻が減少し、それらを餌にしていた魚たちも死んでいくなど、海の食物連鎖の崩壊を招きかねません。

日本のプラスチックリサイクル率は高い?低い?

日本におけるプラスチックごみは年間約892万トンであり、そのうち約750万トンがリサイクルされ、残りは焼却後に埋め立てられます。つまりリサイクル率は84%となり、世界でもトップクラスの数字を誇っています。
ただし、この数字にはカラクリがあるとされており、以下のリサイクル法が関係しています。

①マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、プラスチックごみを細かく砕いて洗浄した上で、新たに作るプラスチック製品の原料とするリサイクル方法です。
日本におけるリサイクル全体の27%でこの方法が採用されていますが、リサイクルするたびにプラスチックの品質が劣化するため、何度も繰り返すことができないことが欠点です。

②ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、プラスチックごみを加熱したり、圧力をかけたりすることで、分子レベルまで細かく分解して再利用するリサイクル方法です。
品質の劣化が起こりづらい点が特徴で、新品と同品質のプラスチック製品を作ることが可能です。ただし、設備費用が高額になることからリサイクル全体に占める割合は5.2%に留まっています。

③サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、プラスチックごみを焼却し、生まれた熱を使って発電したり、暖房などの熱源として利用したりするリサイクル方法です。日本におけるリサイクル全体のうち、67%を占めています。
この方法ではプラスチックごみを使って、新しい製品を生み出したり、原料に戻して再利用したりする訳ではなく、単に燃やしてしまっています。そのため、海外ではこの方法をリサイクルと見なしていない国も多くあります。
つまり、国際的なリサイクル基準で見た場合、日本が公表している84%というリサイクル率は、実は「かなり低くなる」と言われています。

ゴミはゴミ箱へ!そしてリサイクルを積極的に!

プラスチックごみ問題は世界規模で深刻化しており、各国政府が削減目標を打ち出しています。
その結果、民間でも大企業を中心にプラスチックごみの削減策が実施されつつありますが、企業による効果は限定的でプラスチックごみ全体で「10〜25%の削減」に留まっています。

そのため、消費者側の協力も今後は不可欠となり、「プラスチック製の使い捨て製品を避ける」「リサイクルしやすい素材の容器を選ぶ」といった行動が求められています。

私たち一人ひとりのほんの少しの意識改革が、地球の未来を変えると言っても過言ではありません。ゴミは分別する、リサイクルを意識する……まずは身近なことから始めてみませんか。

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