目次
水平リサイクルとは?ほかのリサイクルと何が違う?
近年注目されている、水平リサイクル。
ペットボトルなどのリサイクルによく用いられる方法ですが、その特徴やほかのリサイクルとの違いは何でしょうか。
そもそもリサイクルとは何か?
リサイクルとは、ゴミや不要になったものをそのまま捨てるのではなく、資源として再利用することを指します。
特にリサイクルが進んでいるものとして、「ペットボトル」「古紙(新聞などの一度利用された紙)」「空き缶」「空きビン」などがあります。
リサイクルとリユースの違いは?
リサイクルと似た言葉として「リユース」があります。リユースとは一度利用されたものを回収して洗浄し、再度利用することを指します。
リユースがそのまま使うのに対して、リサイクルは一度細かく加工して、資源として再利用する点が異なります。
水平リサイクルの特徴と事例
水平リサイクルとは、リサイクルの一種であり、使用済みの製品を細かく加工して資源に戻した上で、再度同じ製品を作り出すリサイクル手法を指します。
これまでは「アルミ缶からアルミ缶」「ビンからビン」「ダンボールからダンボール」などの水平リサイクルが行われていましたが、近年では水平リサイクルできる対象がどんどん増えてきています。
たとえば「ペットボトルからペットボトル」「紙おむつから紙おむつ」「詰め合わせ容器から詰め合わせ容器」と、これまでは水平リサイクルができず、焼却や埋め立てで処分せざるを得なかったものまでがリサイクルの対象となっています。
水平リサイクルを推進するペットボトル業界の事例
つづいては、水平リサイクルを推進しているペットボトル業界の事例を紹介していきます。
深刻化するプラスチックごみと環境へ与える影響
ペットボトルなどの原料となるプラスチックは、軽くて長持ちするだけでなく、加工もしやすいため、現在ではさまざまなものに活用されています。
その一方で、プラスチック製品の多くは使い捨てられるケースが多く、そのまま自然界に流出してしまうことが問題となっています。
特にゴミとして捨てられたペットボトルやビニール袋などのプラスチック製品が河川に流されて最終的に海に流れ込み、自然界に悪影響を及ぼしています。こうして海に流出してしまったプラスチックごみの量は合計1億5,000万トンとも言われ、現在も年間800万トンのペースで増え続けていると言われています。
環境省の調査では、現在のペースでプラスチックごみが増え続けると、2050年には「海の中は、魚よりもゴミの量の方が多くなる」という統計が発表されています。
海に流されたプラスチックは、海洋生物に多くの被害をもたらします。たとえば、海底や波によって小さく削られたプラスチックを餌と間違えて食べた魚が死亡したり、体内にプラスチックを溜め込んだ魚を人間が食べることで健康に悪影響を及ぼしたりする問題も指摘されています。
水平リサイクル実現に向けた、ペットボトル業界の取り組み
軽くて丈夫なペットボトルですが、プラスチックごみ問題を背景に非難されることもあり、業界としてリサイクルを推進する取り組みを行っています。
特に注目されているのが、これまで「難しい」とされていたペットボトルの水平リサイクルです。これにより、ペットボトルをゴミではなく、資源として再利用できるようになりました。
技術の進化によって「使用済みのペットボトル」が「新しいペットボトルの材料」となるため、プラスチックごみの増加を抑制できるだけでなく、製造過程で石油資源の消費が減少し、結果的にCO2排出量を減らすことに繋った点も大きなメリットです。
そのため、全国清涼飲料連合会では「ペットボトル業界」として一丸となって技術革新やコスト軽減に努め、2030年までに「新しいペットボトルの原料の50%を古いペットボトルで賄う」という目標を掲げました。
リサイクルを実現するには、私たち消費者の協力が必要
ペットボトル業界の掲げるリサイクル目標を実現させるためには、業界や企業の努力だけでなく、製品を利用する消費者側の協力も必要となります。
具体的には、ペットボトルを捨てる際に「キャップやラベルをはがす」「分別する」「飲み残しや異物を捨てる」「容器の中を濯ぐ」といった活動が、水平リサイクルにかかるコストを減らす上で非常に効果的です。
こうした活動を行うことによって、企業と消費者が一体となって持続可能な社会実現に向けて歩み出すことができます。