海に沈む国がある…地球温暖化がもたらす海面上昇の恐怖

温暖化でなくなる国がある?!

地球温暖化によって南極の氷が溶けて海面の水位が上昇すると、これまで陸地だった土地が海の中に沈んでしまいます。

その中でも「海に沈む国」としてよく挙げられるのが、ツバルやチャゴス諸島、マーシャル諸島などの島国。

特にツバルは、国内で最も標高が高い場所でも海抜4.6メートルであり、「温暖化によって国が消滅する」という危機に瀕しています。

二酸化炭素排出による影響も…先進国にある「大きな責任」

温暖化によって国が消失する危機に瀕している島国ですが、こうした国々は温室効果ガス(CO2)をほぼ排出しておらず、地球温暖化に対して悪影響を与えているとは言い切れません。

ところが、先進国による温室効果ガスの排出によって、地球温暖化による被害を最も受けてしまっているのが現状です。 もしこのまま地球温暖化が進行して海面が上昇し続けると、国民は住む土地を失い、温暖化難民となってしまいます。その結果、国民の主権やこれまで長い時間をかけて受け継がれてきた文化や習慣までも消失してしまいかねません。

上昇し続ける地球の気温…

環境省 地球環境局の発表によると、地球の平均気温は1880年から2012年の間に0.85℃上昇しており、特に直近の10年間は1850年以降のどの10年間よりも高温を記録しています。

こうした状況に、季節要因などを除外したとしても「地球温暖化の進行は疑う余地がない」と指摘されています。

この先、温暖化対策を可能な限り取り入れたとして、気温上昇は0.3〜1.7℃、海面上昇は0.25〜0.55mと予想されており、もし有効な温暖化対策を打ち出せず、温室効果ガスを排出し続けたとすると、気温上昇が2.6〜4.8℃、海面上昇は0.45〜0.82mと予想されています。

地球温暖化の問題の一つに、「海面の上昇による難民の増加」があります。

地球温暖化が進行することで海水温度が上昇し、南極の氷が溶け出し、海面の上昇を引き起こすのです。もし南極にある氷がすべて溶け切ってしまうと、地球全体で「海面が57メートルも上昇する」と予想されています。

特に海抜が低いツバルなどの島国では、海面の上昇によって高潮の被害が大きくなったり、住宅や道路が浸水したりと他の国々よりも深刻な影響を受けてしまいます。

ツバルにはすでに被害が広がり始めている

ツバルでは古くから海産資源に依存した生活を営んでいますが、近年になってその収穫量が減少の一途を辿っています。

気候変動による干ばつが3か月間も続いたことや、突然の高波に襲われて海岸地帯一帯が飲み込まれたことで農作物の被害が出ました。特に塩害のダメージは大きく、農作物が育たなくなる被害がツバル国内の8島のうち、実に6島で起こりました。

また、海水の侵入によって地下水の塩分濃度が上昇し、真水の確保も難しくなってきています。その結果、その土地で農作物が育たなくなるだけでなく、住民が飲むための飲料水を確保できる場所が減ってしまうなど塩による被害に悩まされています。

こうしたツバルの危機的状況に対して、各国の対応は分かれています。

オーストラリア政府は現在のところ、温暖化難民の受け入れには消極的です。

しかし、ニュージーランド政府の対応は柔軟で、ツバル政府との間で移民計画の交渉が進められています。

ただし、ツバル国民の心境は複雑であり、生まれ育った母国を捨てて移住することにとまどいを覚える人も少なくありません。新しい土地でこれまで通りの生活を営める保証はなく、ツバル人としての文化や価値観を変える必要に迫られる可能性もあります。

自分の行いが誰かの暮らしを奪っていないか?を考えるとき

このように、地球温暖化のきっかけを作っていない人たちが、地球温暖化の被害を最も受けてしまっている現状を先進国に住む人たちはもっと真剣に考えなければならないのではないでしょうか。

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