環境問題を語る上で、プラスチックごみ問題は切っても切れない存在です。
世界中でさまざまな対策が取られている中、日本では、マイバッグや紙ストローが普及してきています。
その一方で、アメリカでは、政権交代を機に紙ストローの廃止が決定されました。
日本とアメリカでは、プラスチックごみのリサイクル方法やリサイクル率に違いが見られることをご存知でしょうか。
地球の環境問題を深く知るには、日本のみならず、世界の実情を把握しておくことも重要です。
目次
トランプ政権でプラスチックストローの使用を許可?
2025年、トランプ大統領はアメリカで使用されている紙ストローを廃止し、プラスチックストローに戻す意向をみせています。
バイデン前大統領は、プラスチックごみ削減対策の1つとして、プラスチックストローの廃止を進めてきました。
この度の政権交代で、トランプ大統領は、政府機関から紙ストローを廃止し、徐々にアメリカ全土での使用を廃止する大統領令に署名しています。
紙ストローが廃止された背景には、使用時の不快感や不便さが挙げられているのだとか。
プラスチックストローの使用が許可されたことで、ほかのプラスチック代替品も廃止されるのではと一部では言われています。
アメリカと日本のプラスチックの扱いの違い
アメリカと日本では、プラスチックごみの廃棄方法やリサイクル率に違いが見られます。
プラスチックごみの廃棄方法は、日本では焼却後に燃料として再利用する方法が、アメリカでは埋め立てが主な方法として取り入れられています。
両国ともプラスチックごみについて問題を抱えており、解決に向けた行動が求められているのです。
アメリカでのプラスチック廃棄方法
アメリカでのプラスチックごみの廃棄方法は、埋め立てが割合の大部分を占めています。
割合の詳細は、埋め立てが約76%と大半を占め、リサイクルされる割合が約9%と、リサイクル率が低い傾向にあることが分かりました。
しかし、埋め立てにも限界があるため、現在、プラスチックごみをリサイクルできるものに変えたり、削減したりする取り組みが行われています。
また、ごみの廃棄方法は各州で異なり、プラスチックごみを番号で分別している州もあります。
日本でのプラスチック廃棄方法
日本でのプラスチックごみの廃棄方法は、サーマルリサイクルが割合の大半を占める方法です。
サーマルリサイクルとは、プラスチックごみを焼却処理し、燃料として再利用する方法のことを指します。
日本ではサーマルリサイクルの割合が、プラスチックごみにおけるリサイクル率の約5割以上を占めているのです。
ほかには、熱処理を施し燃料や原料にする方法や、細かく砕き再度製品に作り直す方法が取り入れられています。
アメリカでのプラスチックのリサイクル率
アメリカでのプラスチックごみのリサイクル率は、約9%にとどまっています。
リサイクル率が低いことから、米国環境保護庁や一部の州から、リサイクル率を向上させるための取り組みに関する戦略や計画が発表されました。
この戦略や計画では、埋め立てられるごみの量を削減する目的も含まれています。
特に、力を入れている州では、全体平均の約34%を超える約80%のリサイクル率を達成しています。
日本でのプラスチックのリサイクル率
日本でのプラスチックごみのリサイクル率は、2023年度では89%でした。
リサイクル率の高さで見ると、サーマルリサイクルが64%、細かく砕き再度製品に作り直すマテリアルリサイクルが22%、熱処理を施し燃料や原料にするケミカルリサイクルが3%を占めています。
しかし、サーマルリサイクルがリサイクル方法として認められていない国もあるため、他国基準で考えると、日本のリサイクル率は低い場合もあるのです。
日米の取り組みから考えるプラスチックの未来
今後、日本とアメリカ両国でプラスチックのリサイクル率が向上していくと予測されます。
その一方で、トランプ政権が廃止した紙ストローの影響は、アメリカ国内でのプラスチック製品の利用を復活させるきっかけにつながるかもしれません。
しかし、両国で環境への配慮や行動が一般市民にも浸透してきているため、プラスチックを利用した製品が作られたとしても、リサイクルされやすい原料を使用した製品が、今後、増加していくと考えられるでしょう。