環境危機時計――この名称からは“地球崩壊までのカウントダウン”を想像する人も多いでしょう。
実際、「環境危機時計」は世界中の専門家が人類の存続に対する“危機感”を時刻として表す象徴的な指標です。
現在、その針は「9時33分」(2025年)を指し、時計が9時を超えれば「極めて不安」という危険域。
まさに、「このまま針はもどせないのか」という思いがよぎる状況です。
環境危機時計とは
環境危機時計は、公益財団法人旭硝子財団が1992年から毎年実施している世界的なアンケート調査を基に、地球環境の悪化に伴い人類が直面する危機感を「時計の針」で示したものです。
・0時1分~3時は「ほとんど不安はない」
・3時1分~6時は「少し不安」
・6時1分~9時は「かなり不安」
・9時1分~12時は「極めて不安」
調査には専門家や研究者、政府関係者、NPO/NGOなどが参加。
それぞれの時刻は、さまざまな環境課題への印象や将来の不安感を反映しています。
2025年の状況と過去からの推移
2025年の環境危機時計は、前年より6分進み「9時33分」となりました。
この4年間は一時的に時計の進行が緩やかになっていましたが、再び進み始めています。
過去からの推移
・1992年:7時49分(調査開始、比較的危機感は薄い)
・2000年:8時56分
・2010年代:9時19分(9時台に達し「極めて不安」状態が続く)
・2018年・2020年:9時47分(過去最悪)
過去の推移を見ると、1992年の調査開始時は「7時49分」と比較的危機感が薄かったものの、2000年以降には「8時56分」、2010年代には「9時19分」と危機感が増し、9時台に入ってからは「極めて不安」な時刻が続いています。
特に2018年・2020年には「9時47分」という過去最悪の値を記録しました。
2025年の調査では、世界121カ国1751人の環境専門家の回答を集計。
最も針が進んだ地域は、中東が昨年比+34分、オセアニアが+23分、西欧が+14分と顕著な悪化を示しています。
日本では2025年「9時39分」に。
世界平均よりも危機感が高く、特に「生物多様性」の項目で時刻がさらに進んでいます(日本は9時50分)。
なぜ針は進み続けるのか~危機加速の背景
針が進み続ける主な原因は、世界的な環境危機がさまざまな分野で同時進行しているためです。
2025年調査では、環境専門家の多くが気候変動(温暖化、異常高温、干ばつ、災害など)を最大の脅威と認識しました。
その影響はすでに猛暑・洪水・食糧生産など、日々の暮らしに直結しています。
次いで「社会・経済・政策の遅れ」や人口の問題が挙げられ、SDGsの達成停滞、脱炭素政策や法制度の遅れ、さらに資源の枯渇、水不足、環境汚染、生物多様性喪失、生息地減少、そして自然再生の進捗不足など、複数の課題が複合的に絡み合い、危機感を加速させています。
その危機感は世界のあらゆる地域で強まっており、とりわけ中東、オセアニア、西欧では顕著に針が進みました。
環境政策への期待に関して、「誰の行動が最も重要か」という問いに、企業関係者の51%が「中央政府または地方自治体の行動が最も重要」と答えました。
一方、中央政府関係者ではその割合が27%と低く、責任認識の不一致が見られました。
アジアや東欧・旧ソ連地域では政府への期待が高いものの、中東やアフリカなどでは相対的に小さい割合となっています。
今や環境危機時計の針は「10時」に近づき、人類存続危機の象徴となっています。
政府だけでなく、企業、市民が一丸となって協働する仕組みづくりが今後の環境政策の成否を左右しそうです。
私たちにできることと未来の針
進み続ける「危機時計」は、単なる警告ではありません。
時計の針を少しでも戻すため、毎日の暮らしの中でできる選択や行動、企業・政策・社会全体の仕組みづくりが求められます。
・気候変動対策に関心をもち、エネルギーや消費行動を見直すこと
・地域や企業による環境配慮、持続可能な技術や取り組みへの応援
・生物多様性や自然環境保全への関心を高める教育・啓発活動
・行政や政治決定への参加や意見表明、国際協力の推進
小さな選択と思いが、全体の危機感を少しずつ減らす原動力になるのです。
環境危機時計が教える未来―行動はあなたから始まる
「このまま針はもどせないのか?」という問いは、私たち一人ひとりと社会全体に投げかけられています。
現状の危機感を受け止め、着実に針を戻していくためには、日々の行動や意識変革が不可欠です。
未来の地球と社会のため、いま危機時計が示す現実を「自分ごと」として考え、歩みを進めていきましょう。

