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代替肉、増えています
「代替肉」を知っていますか?
その名の通り、肉の代わりとなる食品で、肉の風味や食感を再現しつつ、主に植物由来の成分を使用して作られています。主な成分には、大豆、豆腐、大麦、ひよこ豆、キノア、マッシュルームなどがあり、タンパク質、ビタミン、ミネラルを含んでいます。
肉にアレルギーのある人や、ダイエットをしたい人、ベジタリアンやヴィーガンの人にも注目されているのですが、代替肉にはそれだけではない、私たち人間に与える多大な効果があることを知っていますか。
広がる、代替肉の市場と可能性とは
実は、代替肉の開発は1900年代初頭から始まっています。
当初は、宗教上の理由や健康上の理由などで肉を食べることができない人に向けた開発が主な理由でしたが、近年急速に注目度が高まっているのは、それだけが理由ではありません。
代替肉が注目される主な理由は、以下のようなものがあげられます。
・世界人口の増加に伴う食肉需要の増加
・畜産に伴う環境負荷
・健康志向の高まり
・動物倫理への関心の高まり
これらの視点から、代替肉の開発・改良は世界的に行われているもので、2020年には世界で110億ドルもの市場規模、日本でも2.3億ドルほど*(346億円)となっています。そして2030年までにはさらに規模が大きくなると予測されており、世界では886億ドル、日本では11.7億ドルほど*(780億円)になるといわれています。
*…1ドル=150円にて計算
増え続ける世界の人口と食糧難。代替肉は救えるか?
いまも世界の人口は増え続けています。
日本に住んでいると、「少子化」「高齢化」が問題提起されていますが、人口自体は減少しているため、あまりなじみがない問題かもしれません。
しかし、世界全体に目を向けてみると、人口は増え続けているのです。
実際、100年前…1920年頃には約20億人だった世界人口は、2022年には約80億人にまで増えています。そして、2050年には約100億人、2100年には約110億人に達すると予想されています。
急速な人口の増加に伴い、問題となってくるのが、食糧需要です。
しかしながら、気候変動や水不足などの影響で、今後は生産量が減少する可能性が危惧されており、食糧難が進むことが想定されているのです。
そこで注目されているのが、代替肉。
栄養を摂ることができるのはもちろん、肉の代わりとなる大豆などの植物が安定的に生産できるかどうかもカギを握っています。
肉の生産量を増やすことはできないのか?
これまでごく当たり前のように肉を食べてきた私たちからすると、「肉の生産量を増やせないのか?」と疑問に思うかもしれません。
肉は、牛や豚、鳥などの動物の命をいただいています。動物への倫理意識が変化してきたことも代替肉が普及してきた理由の1つでもあるのですが、畜産は環境負荷も大きいことが理由の1つとして挙げられます。
例えば、牛。
牛を育てて、肉として出荷するまでの工程を想像してみてください。膨大な量の餌を与える必要があり、トウモロコシなどの飼料も育てなければなりません。
地球温暖化が進む中で、こうした飼料を十分に確保できない・コストが多くかかってしまうことが想像できるでしょう。また、牛自体が二酸化炭素を吐き出すため、温暖化につながることも近年では懸念されています。
こうしたさまざまな側面から、いまよりさらに多くの食料を生産することは難しく、代替肉など、地球環境に優しく、かつ多く生産できる仕組みが注目されているのです。
大豆だけではない!日本でも進む、代替肉の研究と商品化
「大豆ミート」だけではなく、近年ではさまざまな代替肉の可能性が模索されています。
それは日本でも同じ。 最近では、きのこを原料とした代替肉が開発され、発売が待たれています。(株式会社雪国まいたけ)
単にタンパク質の摂取のためだけではなく、そのおいしさにも注目が集まりだした、代替肉。地球環境の保護や食糧難の回避のために、これからさらに注目されていくに違いありません。