地球温暖化でワインが変わる?!収穫量や味、価格にも影響が……

地球温暖化の影響については、このサイトでも何度も触れてきた、大きな課題。

温暖化が進むことによって、農作物にも大きな影響が出始めていることは、私たちの普段の暮らしでも感じる場面が増えてきたのではないでしょうか。

この記事では、最近話題となっている、温暖化によるワインへの影響についてまとめてみました。

世界中で飲まれているワインですが、今後も地球温暖化が進んでしまうと、その収穫量や味、価格はどう変化してしまうのでしょうか。

ワインの原料となるブドウの産地も、温暖化に悩んでいる

ワインの原料であるブドウもほかの農作物と同様に地球温暖化の影響を受けていることは想像に難くないでしょう。

ワイン用のブドウの多くは、何世紀ものあいだ、北緯30~50度、南緯20~40度あたりで生産されてきました。

しかし、知っての通り、温暖化によって生産地の気温も上昇しており、ブドウ農家は、厚さに強いワインの開発をすることを検討せざるをえなかったり、あるいはブドウの生産自体を諦めなければならなかったりする状況に追い込まれています。

ボルドー産ワイン

フランス/ボルドーでは、耐熱性のある新品種のブドウ栽培を認める決定がなされました。

驚いたことに、1950年からわずか70年ほどの間に気温が2度も上昇しており、ブドウの生産に大きなダメージを与えているのです。

ボルドー産は高い品質のワインを生産していることで有名で、新品種の生産については、これまでの品質・ブランドを損なわないように一定の制限がかけられています。 このまま温暖化が進んでしまうと、ワインの生産が難しくなってしまうことや、あるいはこれまで提供してきたブランド品質を見直さざるをえない状況も危惧されています。

ブルゴーニュ産ワイン

地球温暖化による恩恵も受けているのが、ブルゴーニュ。

気温の上昇によって、ブドウが十分に成熟するようになったのがその理由ですが、一方で、日焼けや干ばつといったこれまでにない課題も生じています。 収穫時期や収穫場所にも温暖化による変化がみられるため、この地で栽培されているシャルドネにはマイナスの影響が出ている状況です。

カリフォルニア産ワイン

アメリカ/カリフォルニアでは、ヨーロッパの多くの地域と異なり、栽培や新品種に関する制限がないため、生産については柔軟に対応することができます。しかし、カリフォルニアでも地球温暖化によるダメージは決して少なくはありません。

例えば、年々増加する山火事もその1つ。

記憶に新しいものですと、2017年、2018年、そして2020年のカリフォルニアでは大規模火災が起きており、焼き尽くされた土地にはワイン用のブドウを栽培していたエリアもありました。

また、気温上昇による乾燥も大敵。ブドウの生育に欠かせない水資源の確保はワイナリーにとって大きな課題となっています。

ワインベルトが変わっていく?!

ワインの生育環境に適しているのは、北緯30~50度、南緯20~40度の年間平均気温が10~20度のエリアです。

北半球では、フランスをはじめとして、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカ、そして日本の一部の地域もワインの生産に適しているとされてきました。

また、南半球では、チリ、アルゼンチン、ニュージーランドなどもワインの生産地として有名でしょう。

生産地によってワインの味には特徴があり、アルコール度数や、タンニン、酸などにその違いが現れます。

しかし、地球温暖化によって、これまでワインを生産してきた「ワインベルト」が変わる可能性があります。 例えば、気温上昇によってブドウが熟しすぎてしまうことで、糖度が高くなってしまうことも。甘味のあるワインを生産しているワイナリーにとっては決して悪い変化ではありませんが、酸味が特徴のワインを生産しているワイナリーにとっては死活問題となってしまうのです。

温暖化による世界の食糧危機…ワインも例外ではなかった

近年、地球温暖化によって食物の栽培ができなくなったニュースを頻繁に耳にするようになりました。

日照時間の変化や干ばつ、枯渇する水源、異常気象など、地球の気候変動は私たちの生活に大きな影響を与えています。

そしてそれはワインも例外ではありません。

2023年のワインの生産量は、気候変動の影響もあり過去60年間のうち最低となることも発表されています。(OIV=国際ブドウ・ワイン機構による発表)

そしてそれは単に「熱に強い新品種を開発」することで解決する問題では決してなく、地球の気候変動そのものを解決するための個人や企業、国の努力が不可欠であると言えるでしょう。

もしあなたが飲むワインがこれまでより値上がりしたら、それは単に輸送量の高騰や円安などの問題だけではなく、地球温暖化による影響も多分に含んでいると考えて間違いなさそうです。

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