近ごろ、テレビや広告などでよく目にする「SDGs」という言葉。
その認知率は年々上昇しており、私たちの生活に徐々に浸透してきている言葉であるといえるでしょう。
この記事では、SDGsの概要からSDGsに関する補助金や助成金、そして自治体の支援事例についてご紹介します。
SDGsとは
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では持続可能な開発目標という意味を持ちます。
2015年に開催された193か国が参加する国連サミットで、環境・経済・社会の3つの軸をもとに掲げられた、17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。
これらの目標は2030年までの達成が目標とされており、世界各国ではこれらの目標の解決に向けて、さまざまな取り組みが実施されています。
企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsへの取り組みは国だけでなく、あらゆる企業や個人に対しても求められています。
企業がSDGsに取り組むことで、従業員やサービスを受ける消費者にも環境問題を伝えることができますし、なにより企業のイメージ向上にも繋がります。
近年、世界の投資市場では、SDGsに通じる理念である「環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)」の頭文字をとったESG投資の市場規模が拡大しています。
世界持続的投資連合(GSIA)によると、2020年の世界のESG投資規模は35.3兆ドルと、2012年(約13兆ドル)の約2.7倍の規模にまで増加。
なかには投資基準にESGへの配慮を設ける投資家も存在しており、その重要性はますます高まっています。
SDGsとESGには共通点が多く含まれていますので、SDGsへ取り組むことで間接的にESGへの配慮へと繋がり、結果的に投資家からの資金調達を促進する手段になり得るでしょう。
SDGsの補助金・助成金制度
現在、経済産業省や厚生労働省、中小企業庁などでは40以上の補助金・助成金制度を整備しており、一定の基準を満たすことでこれらの支援を受けることができます。
ここでは、その中から5つの補助金・助成金をピックアップしご紹介します。
制度名 | 実施主体 | 内容 |
キャリアアップ助成金 | 厚生労働省 | 非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して支給される助成金制度です。「正社員化コース」、「賃金規定等改定コース」など、7 コースがあり、事業主の申請に対して、審査が行われます。 |
時間外労働等改善助成金・(テレワークコース) | 厚生労働省 | 在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークに取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部が助成されます。評価期間内の目標達成状況に応じて支給されます。 |
地域まちなか活性化・魅力創出支援事業費補助金 | 経済産業省 | 中心市街地を活性化するため、波及効果の高い複合商業施設等の整備等を支援します。調査事業への補助金制度(100 万円~1000 万円)です。公募と審査があります。 |
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金 | 資源エネルギー庁 | 工場・事業場における既存設備を省エネ設備に更新する際に必要となる費用の一部を補助してもらえます。工場・事業場単位か設備単位で省エネ率や省エネ量、更新設備の申請を行います。公募と審査があります。 |
国内・海外販路開拓強化支援事業費補助金 | 中小企業庁 | 地域資源を活用した新商品・新サービスの開発や販路開拓に取り組む中小企業等を支援する制度です。調査や展示会の開催費用の一部を補助してもらえます。(上限 2000 万円) |
働き方の多様化や環境問題への配慮、そして地域活性化などに貢献することで支給される補助金・助成金をご紹介しましたが、すでにご存じだった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特にワーク・ライフ・バランスを保つことは、社員の生産性の向上にも繋がるとされています。中長期的な経営基盤を強化するためにも、このような支援を活用し、社員が働きやすい環境を整備することが求められるでしょう。
自治体のSDGs支援事例
上記でご紹介した省庁による支援以外にも、長野県や神奈川県横浜市といった自治体では、独自に中小企業に向けた支援を実施しています。
1.長野県
長野県では「SDGs 活用販路開拓モデル 創出事業」として、県内に主たる事業所をもつ中小企業を対象に、SDGsの達成を目指す製品・サービスの提供を行う事業に対して、経費の一部とビジネスモデル普及事業受託業者による支援を行っています。
2.神奈川県横浜市
横浜市では、市内の中小企業が生産性の向上のために行う設備投資等に対し、経費の一部を助成する「横浜市中小企業設備投資等」を制定。
助成金の対象は「①省エネルギー型・②IoT型・③操業環境改善型・④一般型」の4つに分類され、助成金は対象経費の10~30%、上限800万円まで支給されます。
このような支援を活用することは経営資金の強化となりますし、SDGsへの取り組みから企業のイメージ向上にも繋がるでしょう。
サステナブルの実現には国や自治体、企業が連携し取り組むことが不可欠です。企業の発展、そして地球の保護のためにも、積極的にこれらの支援を活用してみてはいかがでしょうか。