廃棄食品をアップサイクルで生まれ変わらせよう

アップサイクルという言葉を耳にしたことがある人は、そう多くはないでしょう。
アップサイクルは、1994年に生まれた言葉ですが、特に、その言葉の意味が広まってきたのは、SDGsへの関心が高まっている近年であるといえます。
現在、食品の大量廃棄が問題となっていますが、アップサイクルは、廃棄食品も生まれ変わらせられるため、廃棄量減少への手助けとなることが見込まれています。

アップサイクルとは

アップサイクルとは、捨てられるはずだったものに、加工やデザインを施し、新しいもの・新しい価値へと変化させることです。
日本で有名なアップサイクルの例を挙げると、神奈川県横浜市にある赤レンガ倉庫がそれにあたります。
赤レンガ倉庫は、元々は、明治時代より倉庫として利用されていました。
その後、一時利用が中止され、2002年より現在の赤レンガ倉庫として生まれ変わったのです。
このように、素材を壊さず新しいものに生まれ変わらせることが、アップサイクルの特徴であるといえます。

アップサイクルとリサイクルの違い

アップサイクルに似た言葉であるリサイクルですが、既存のものを作り変える際、使用する素材を壊すか壊さないか、といった点に違いが見られます。
リサイクルとは、既存のものを一度壊し、新たなものに作り変えることです。
例えば、古紙や紙を溶かして作られたトイレットペーパーは、リサイクル品です。
このように、素材を壊して新しくするか、素材を壊さず新しくするか、といった点が、アップサイクルとリサイクルの大きな違いといえるでしょう。

アップサイクルとリメイクの違い

リメイクは、素材を壊さず作り変えるといった点ではアップサイクルと似ていますが、新しく価値がつけられるか、といった点で異なる再利用法です。
一般的に知られているリメイクは、着なくなった洋服にデザインや装飾を施し、新しく服を作り直す再利用法のことを指します。
新しく作り直してはいますが、場合によっては、作り変える以前よりも価値が下がってしまうこともあります。
その点、アップサイクルは、価値が下がることはなく、むしろ、価値が上がることにつながるため、新しい価値があるかどうかが、アップサイクルとリメイクの大きな違いであるといえるでしょう。

廃棄食品を活用したアップサイクル事例

廃棄食品を、アップサイクルで生まれ変わらせられることをご存知でしょうか。
食品のアップサイクルは、食品への加工のみならず、革製品や畳など、食品以外のものへと生まれ変わらせられるのです。
多彩な可能性を秘めた廃棄食品のアップサイクルは、現在、問題視されている、多量の廃棄食品問題解決への大きな一歩となるでしょう。

廃棄りんごをエシカルレザーに

青森県では、廃棄されるりんごをアップサイクルし、革製品へと生まれ変わらせる活動が行われています。
青森県のりんご農家では、りんごを絞った残渣の廃棄による環境汚染が問題視されていました。
そこで、りんごの残渣をアップサイクルし、製造過程でも環境に配慮した革製品を製造する活動が取り入れられています。
この活動は、残渣の廃棄量減少のみならず、地域活性化にも貢献しています。

クラフトビールの製造工程で排出されるモルト粕をグラノーラに

ビールの製造工程で排出されるモルト粕も、アップサイクルすることで、新しい食品へと進化を遂げました。
モルト粕とは、麦芽を絞った際に排出される残渣のことで、製造過程で多量のモルト粕が廃棄されています。
実は、モルト粕には栄養が豊富に含まれており、その特徴を活かし、グラノーラとしてアップサイクルしている企業があるのです。

パンや災害備蓄品をクラフトビールに

賞味期限が近い災害備蓄品やパンから、クラフトビールへのアップサイクルに成功した企業が存在し、食品廃棄量減少への一端を担っています。
パンや災害備蓄品のアップサイクルは、食品廃棄量の減少により、廃棄食品の処理時に排出される温室効果ガスの削減に貢献しています。
また、廃棄食品の処理にかかる費用負担が少なくなるため、企業にとっても利点のある取り組みなのです。

廃棄食品に新たな命を:アップサイクルで未来を変える

廃棄される食品は、アップサイクルすることで新たな商品へと生まれ変わり、廃棄処理による環境への負担を減少できることが分かりました。
これまでは、廃棄される食品の使い道は限られていましたが、食品のアップサイクル法が広まれば、さらなる廃棄食品量の減少へとつなげられることが期待できるでしょう。

LIMEX
VIEW MORE