牛のゲップが原因?!温暖化に繋がる意外なもの

まさかそんなものが?知らなかった環境問題の原因とは

異常気象や砂漠化の進行、感染症の拡大など、さまざまな問題を引き起こす地球温暖化ですが、その原因として「牛のゲップ」が問題になっていることをご存知でしょうか。

牛のゲップには、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一種であるメタンガスを多く含みます。温室効果ガスというと「二酸化炭素(CO2)」が有名ですが、実はメタンガスの温室効果は二酸化炭素の25倍にも達します。

畜産業や農業、漁業や林業など、日本の農林水産業において排出される温室効果ガスは、年間で約4,747万トン(2019年度)であり、そのうちの約16%が牛などの家畜が排出するゲップによるものだと指摘されています。世界的に見ても、牛などの家畜が排出するゲップによるメタンガスの量は、温室効果ガスの実に4%を占めると言われています。

私たちの暮らしに不可欠な「畜産」が地球温暖化に繋がっていた

牛や豚などを育てる畜産は大量の温室効果ガスを排出するため、地球温暖化を進める大きな要因となっています。

世界の人口は1950年から2020年にかけて約3倍に増えていますが、人口増加に合わせて世界中で食肉の消費量も増え続けているため、畜産の範囲が広がり続け、結果的に温室効果ガスの排出量が増え続けている点も問題視されています。

畜産に欠かせない「餌」

畜産に使われる餌は、トウモロコシや小麦などの穀物です。しかし、穀物の栽培や他国へ輸送する過程でも大量の二酸化炭素が排出されます。

さらに牛や豚、鶏などは、人間の5~10倍ほどの量の餌が必要とされており、たとえば肉1kgを生産するためには牛肉で11kg、豚肉で7㎏、鶏肉で3kgの穀物が消費されます。

過度な「放牧」は土壌劣化や森林減少に…

世界的な人口増加に対応するため、家畜を飼育する草地を確保する目的で、世界中の森林が急速に失われています。牛1頭を飼育するために1ヘクタールもの放牧地が必要であるため、たった100gの牛肉を製造するために畳2枚分の森林が潰されています。

工場を使った畜産では、空調の維持のために電力が使われており、生産量を上げるために電気を24時間つけっぱなしにしている工場も珍しくありません。当然ですが、森林の伐採や電気の使用によって、地球上の温室効果ガスは大きく増え、地球温暖化が進んでしまいます。


こうした状況から、最近では牛肉の代替肉を作る動きが活発となっています。特にマイクロソフトの創業者として知られるビル・ゲイツ氏の「富裕国は、人工肉に100%切り替えるべきだ」という発言は有名です。

進む「代替肉」の開発

畜産に伴う温室効果ガスの排出量を減少させるため、牛肉の代替品の開発が進められています。

これらは代替肉と呼ばれ、牛肉や豚肉、鶏肉など動物の肉ではなく、豆や小麦など植物性原料によって作られた肉のような食べ物です。フェイクミートや人工肉、植物肉、大豆ミートなどとも呼ばれています。

穀物生産による温室効果ガスの排出量はごくわずかなので、畜産に伴う温室効果ガスの排出削減に繋がるとして世界中で注目されています。

ただし、「動物の肉に比べて味が劣る」という課題も存在します。

動物の肉を食べ慣れている消費者は、代替肉の味を物足りなく感じてしまうようです。そのため、健康ブームに押されて2018年後半から2020年にかけて日本で販売された代替肉商品は、リピート率が伸び悩み、今では下火になっており、スーパーでの陳列数も減少しています。

さらに価格面にも課題があります。代替肉はまだまだ普及が進んでおらず、専門の工場も少ないため、動物の肉に比べて販売価格が高くなっています。今後の代替肉が普及し、より低価格で販売できるかも課題の一つと言えるでしょう。

畜産がダメなわけではない。地球温暖化は世界全体で考えるべき課題

地球温暖化の観点で見た場合、畜産のデメリットばかりが強調されてしまいがちですが、人間が食べないものを餌として与え、結果として人間のエネルギーに変えられるなど、畜産には多くのメリットも存在します。

地球温暖化が進んでいる要因は多岐に渡るため、その原因を畜産だけに押し付けてはいけません。

実際、世界各国では「レジ袋の削減」「SDGsの啓蒙」「温室効果ガスの削減目標の制定」など地球温暖化を対策するために、さまざまな取り組みが行われています。

地球温暖化は地球環境に大きな影響を与える問題として、これからも世界全体で考えていくべき課題の一つだといえるでしょう。

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