サステナブルファイナンスとは?|環境課題に貢献する取り組み

「サステナブルファイナンス」とは?

「SDGs」という考え方が広がり、近年では「サステナブル」という言葉をよく耳にするようになりました。
そこで今回は、「サステナブル」に金融を意味する「ファイナンス」を足した「サステナブルファイナンス」について、その言葉の意味や必要性、活用事例などを見ていきます。

「サステナブルファイナンス」の意味

サステナブルファイナンスとは、直訳すると「持続可能な社会を実現するための金融」という意味になります。
現代社会が抱える「気候変動」「貧困」「人権問題」「経済格差」などのグローバル課題を克服し、持続的な社会に転換する目的で資金を運用していく考え方を指します。
2020年に金融庁が主体となって有識者会議が設置され、「どのように推進していくか」などが話し合われました。

国際社会で注目を増す、サステナブルファイナンス

国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を達成するためには、年間5兆〜7兆USドルという膨大な資金が必要となることから、サステナブルファイナンスは金融の面から重要な役割を担うと予想されています。
また世界中で問題になっているグローバル課題の解決には、政府による資金援助だけでは限界があることは明白であり、これらの課題解決に向けて民間の資金をいかに活用できるかが国際社会にとって重要なファクターとなっています。
サステナブルファイナンスはこうしたグローバル課題を解決し、持続可能な社会づくりを目指すための解決策として注目されています。

サステナブルファイナンスを実現するための手法とは?

サステナブルファイナンスを実現するために株式投資や債券、銀行融資などいくつかの手法が存在します。

ESG投資

ESG投資とは「どの企業に対して投資を行うかの判断基準」であり、特に環境や社会、企業統治に配慮した企業を選定します。
ESGで評価される企業は、事業における「社会的意義」や「成長の持続性」などで優れた特性を持っています。

SDGs債

SDGs債は債券の一種ですが、通常の債券と異なり、使用用途が環境問題の解決(グリーンファイナンス)や社会課題の解決(サステナブルファイナンス)に限定されています。
現在、最も発行額が多いSDGs債は、環境改善活動(グリーンプロジェクト)のみに使用されるグリーンボンドです。

サステナブル融資

サステナブル融資とは、金融機関が策定した融資ポリシーであり、環境や社会問題に関する持続性が考慮されます。
融資の判断だけでなく、サステナビリティに取り組んだ成果によっても、金利などの条件が変動する点も特徴の一つです。

サステナブルファイナンスの国内外の動向

サステナブルファイナンスは国内外で急速に広がっています。

国内の動き

日本では脱炭素社会に向けて、温室効果ガスの排出量と吸収量を同程度にするカーボンニュートラルを2050年までに実現することを目指しています。
さらにグリーン成長戦略を打ち出し、2030年度の温室効果ガス削減目標の引き上げを表明。
国内におけるESG投資残高は231兆円、グリーンボンド発行額は5,000億円を超えるなど、サステナブルファイナンスに関する動きは急速な拡大を見せています。
今後は「世界に3,000兆円存在する」と言われるESG投資資金を日本企業に流すために、政府・金融機関・企業の連携が重要となります。

海外の動き

海外の中でも、特にEUはサステナブルファイナンスを積極的に推進しています。
2016年にハイレベル専門家グループ(HLEG)を設立して、サステナブルファイナンスに関する具体的なアクションプランを策定。2019年には欧州グリーンディーゼルを発表し、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする目標を掲げました。
特に注目を集めているのが「EUタクソノミー」であり、企業活動が「地球環境にとって持続可能であるか?」の判断基準を厳格にして投資を行っています。
こうしたEUの動きは、今後「世界中に波及する」と言われており、世界中で「企業投資の判断基準になる」と見られています。

世界の課題を解決するための新しい視点、それが「サステナブルファイナンス」

サステナブルファイナンスは、世界が抱えるさまざまな問題・課題解決のために資金を運用する考え方。資金を投下することで、個人や会社だけでなく社会全体が良くなる動きを目指すもので、中長期的にメリットの大きなものであると言えるでしょう。

国内外で広がりつつあるこの考え方を知ることで、私たち個人も企業や商品の選び方に新たな視点を持つことができるようになるに違いありません。

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