砂漠の緑化にゴミが活躍?!現地の人々の暮らしを救う、全体未聞のプロジェクトとは

家庭やさまざまなお店で排出されるゴミに、良いイメージをもっている人は少ないのではないでしょうか。

廃棄され、環境に悪影響を与えるものと考えている人も多いでしょう。

しかし、砂漠の過酷な環境下においては、都市部で捨てられたゴミが大きな役割を果たしています。

都市部で捨てられたゴミで砂漠を緑化

西アフリカのニジェールと呼ばれる地域では、都市部で捨てられたゴミを砂漠に集め、ゴミの力を利用して農耕や牧畜ができる緑地を作るプロジェクトが進行しています。
砂漠化した土地の緑化は、貧困に苦しむ地元住民に新たな収入をもたらすとともに、深刻な地域紛争の火種となっている農耕民と牧畜民の長年の対立を解消する可能性があると期待されています。
ゴミを活用した砂漠の緑化は、地域全体に安定と発展をもたらしてくれるでしょう。

京都大学の研究チームが進めるゴミを有効活用するプロジェクト

サハラ砂漠の南に広がるニジェールでは、都市部のゴミを使用した砂漠緑化プロジェクトが進められています。
緑化に取り組んでいるのは、京都大学でアフリカ研究を専門としている大山修一教授がまとめる京都大学の研究チームです。
大山教授は、サヘル地域の砂漠化や干ばつに苦しむ現地の人々の生活改善を目指すべく、農村調査を通して、長年人々の環境認識、自然資源の利用、社会組織などを分析してきました。

そして、砂漠化問題を解決するために、家庭ゴミを活用した緑化計画をスタートさせたのです。
具体的には、都市から運んできた家庭ゴミをフェンスで囲った荒廃地に撒き、上から砂をかぶせる手法を採用。
ゴミは分解されて養分となり、ゴミの中に含まれている種子が発芽して、雨季に植物が生い茂るサイクルが作られました。

家庭ゴミによる緑化で飢えや干ばつを防ぐ

サヘル地域は、長年にわたり干ばつや気候変動の影響を受けており、1970年代から砂漠化が大きな問題となっていました。
しかし、大山教授らのプロジェクトにより、都市部にあふれるゴミが緑化の原動力となり、新たな解決策が生まれつつあります。
成長した植物は家畜のエサとなり、家畜の糞尿は肥料として土壌を豊かにし、農地の生産力が高まるといった循環型の環境が形成されはじめたのです。
この好循環が飢えや干ばつを防ぐための持続可能な農牧業の基盤を築いてくれるでしょう。

自給自足の貧困社会を解決する砂漠の緑化

かつて、お金を仲介しない自給自足の生活を続けていた農村社会にも、現金経済が浸透しはじめています。
かつての生活スタイルが急速に失われ、農村では農・畜産物を育て市場に運び、現金を得るリサイクルが加速しています。
農産物は市場を通じて都市に運ばれていき、大量消費に伴ってゴミやし尿などの廃棄物が増加しているのが現状です。
廃棄物が都市に蓄積され、生活環境が悪化するばかりでは、農村地域の生態系は戻らないため、土地はやせ細っていくばかりです。
都市で廃棄されたゴミを砂漠の緑化に活用することで、貧困地域の持続可能な農業や牧畜が実現され、悪循環を断ち切れると期待されています。

都市部の衛生問題を解決する

都市部では、大量に発生する家庭ゴミが生活環境を悪化させるとして問題になっていました。
しかし、ゴミを砂漠の緑化に活用するプロジェクトが広がっていけば、ゴミ処理の課題も同時に解決できるでしょう。
都市から運ばれたゴミは、砂漠に撒かれ、分解されて養分として土壌を豊かにする役割をもっています。
緑化のためにゴミを大量に利用すれば、都市部でのゴミ問題解消と砂漠地帯の環境改善が同時に実現するのです。

農村の砂漠化を解決する

干ばつや気候変動の影響により砂漠化が進む農村地域では、農業が難しくなってきています。
農村の暮らしを保護するためにも、砂漠化の解決は欠かせません。
都市から運んだゴミを活用した緑化プロジェクトは、コストを抑えながらも砂漠に緑をもたらす画期的なアイディアといえるでしょう。
家庭ゴミを砂漠に撒いて土壌の栄養を回復させ、作物や牧草の育成ができるようになれば、農村の暮らしも豊かになると考えられます。

都市のゴミを緑化に役立てる活動は今後も広がりを見せていく

現在、ニジェールで行われている都市のゴミを活用した砂漠の緑化プロジェクトは、徐々に広がりを見せています。
目に見える結果がではじめたことで、ニジェール政府の官僚にも理解者が現れ、連携にむけての話も進んでいるそうです。
ゴミや環境に関する問題は、日本をはじめ世界各国で関心が高くなっている事柄です。
都市のゴミを活用した緑化プロジェクトは、砂漠化や飢え、環境問題に新たな解決策をもたらす取り組みとして、今後も注目されていくでしょう。

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