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蓄電池ってどんなもの?
近年、技術の進歩によりさまざまな性能を持った蓄電池が開発されていますが、そもそも蓄電池がどのようなものか知らない方も多いのではないでしょうか。
まずは、蓄電池の基本的な仕組みや機能を知り、現在注目されているリチウムイオン電池についての理解を深めていきましょう。
蓄電池とは
蓄電池とは、電気を蓄える仕組みを備えた充電装置を指します。
近年は、充放電性能や制御機能などに優れた蓄電池がどんどん開発されています。
また、小型化や軽量化が進み、さまざまな製品に活用されるようになってきました。
蓄電池の種類と特徴
蓄電池と一口にいっても、用いられている物質や材料によって特徴が大きく異なります。
現在、主要となっている蓄電池の種類は以下の4つです。
・鉛蓄電池
古くから使用されている蓄電池で、車のバッテリーやフォークリフトの主電源、非常用電源など幅広い用途に用いられています。
・ニッケル水素電池
高性能な蓄電池で、過充電や過放電に強い特徴があります。
急速充放電が可能なため、幅広い用途で使用されてきましたが、近年はリチウムイオン電池の登場により置き換えが進んでいます。
・リチウムイオン電池
小型化や高密度化が可能な蓄電池のため、モバイル機器のバッテリーや電気自動車のバッテリーなどに利用されています。
・NAS電池
世界で唯一日本ガイシ株式会社のみが製造している蓄電池です。
大規模な電力貯蔵施設や電力負荷平準化再生可能エネルギーの出力を安定化させる対策などへの活用が期待されています。
なぜ蓄電池が脱炭素につながるのか
蓄電池と太陽光発電を組み合わせることによって、二酸化炭素排出量の削減が期待できます。
発電された電気を効率よく使用できれば、送電ロスの削減にもつながり、結果として環境負荷の軽減になるでしょう。
家庭用蓄電池は、太陽光発電との組み合わせによって、二酸化炭素排出量削減の効果アップが見込めます。
また、環境負荷の軽減だけではなく、節電効果もあるため、家計の負担を軽減できる点もメリットの一つです。
私たちの暮らしに普及する蓄電池、リチウムイオン
リチウムイオン電池は、私たちの暮らしにも普及してきています。
例えば、EV車にも蓄電池であるリチウムイオン電池が使用されています。
EV車にも蓄電池が使われている
EV車は、走行中に二酸化炭素や大気汚染物質を排出しないため、環境に優しい車といわれています。
ただし、EV車のエネルギー源となる電気を作る方法によって、二酸化炭酸素排出量が変動する点に注意が必要です。
EV車やPHEV車の駆動用バッテリーには、主にリチウムイオン電池が使用されています。
リチウムイオン電池の特徴
リチウムイオン電池は、ほかの蓄電池よりも環境への負荷が少ないといわれています。
鉛が使われている鉛蓄電池は、土壌に浸透すると土壌汚染の原因となり、生態系の悪影響が問題視されています。
リチウムイオン電池は、鉛よりも環境に負荷がかかりにくい材料を用いているため、運用時も環境に優しいといえるでしょう。
現在、蓄電池の生産工程で排出される二酸化炭素を削減するために、リチウムイオン電池のリユースやリサイクルが注目を集めています。
しかし、現在の技術ではリサイクルにかかるコストがまだ高く、技術が確立されていません。
まだまだ課題の多いリチウムイオン電池の活用ですが、リユースやリサイクルが可能となれば、より環境負荷の軽減が期待できるでしょう。
蓄電池は火力発電所の負担を軽減する
火力発電所は他の発電方式より多くの二酸化炭素を放出しています。
一般的に電力需要の多い昼間は、電力の供給を安定させるために火力発電所の稼働率が上がります。
その結果、二酸化炭素排出量も増加してしまうのが現状です。
蓄電池の活用により火力発電所の稼働が減れば二酸化炭素の排出量も減ると期待できるでしょう。
ノーベル賞も受賞したリチウムイオン電池のすごさ
リチウムイオン電池の実用化は、人類の歴史において重要な役割を果たしています。
リチウムイオン電池のように小型かつ軽量の電池が開発されなければ、スマートフォンやパソコンのコンパクト化は、進まなかったかもしれません。
電気自動車も1回の充電で走行できる距離が、今よりも短く実用化が難しかった可能性があります。
現在の社会や環境に大きな貢献を果たしているリチウムイオン電池の開発は、2019年にノーベル化学賞を受賞しています。
受賞者はエンジニアの吉野彰、物理学者のジョン・グッドイナフ、化学者のスタンリー・ウィッティンガムの3人です。
化学の発展が地球の未来を変えるかもしれない
地球温暖化や大気汚染などの環境問題は、社会にとって深刻な課題の一つです。
リチウムイオン電池のような化学の発展が、地球の未来をより良い方向へ導いてくれると期待できるでしょう。
私たちが普段使っているものにも、環境に優しいものや悪影響をおよぼすものなどさまざまあります。
一人ひとりが環境や未来のことを考えて利用するものを選択していきましょう。