SDGsの本質とは?うわべだけの取り組みはリスク大

SDGs誕生の背景から考える、その本質とは?

テレビメディアやCMでも聞き慣れてきた「SDGs」という言葉。しかしながら、日本におけるSDGsへの認知度は約50%だと言われています。
「環境破壊をしないための活動」をするための指針という、なんとなくの表面だけで認識している人も少なくないのではないでしょうか。では、なぜSDGsが誕生したかを知るべく、その背景を述べます。

SDGs誕生の背景

1970年代

1972年、ローマクラブでは、人口増加や環境汚染が続くと、100年以内に地球の成長は限界を迎えるという発表をし、物質的な豊かさを求めて改善を目指しました。

1980年代


その後、1980年代に「持続可能性」の概念が登場し、SDGsのルーツである「持続可能な開発」の概念が打ち出されます。1989年にベルリンの壁が崩壊されたことをきっかけに、東西冷戦の終わりを迎え、経済のグローバル化が進む中、長期的に安定した経済を進める上で地球環境問題の改善が不可欠だという認識が広まりました。

1990年代

そして、各国で環境問題に対する危機感が高まり、1992年に地球サミット(リオサミット)が開かれました。そこでは持続可能な開発に関する27の行動原則「リオ宣言」が出され、それを実行するための行動網領として「アジェンダ21」が採択されました。一方で、1997年には、京都で開催された地球温暖化への取り調べを進めるべく、世界的な協定の取り組みを行い、「京都議定書」として採択されました。

2000年代

そういった動きの中、2000年には人口増加問題の解決を目指して、ミレニアム開発目標「MDGs」を掲げました。MDGsは、2015年までに開発途上国の貧困・教育・健康・環境の改善を目指し8つの目標と21のターゲットを定めています。
SDGsはこれらの背景をまとめ、MDGsで達成できていない目標の実現も目指すべく、先進国・途上国すべての国を対象に、「経済・社会・環境」の3つのバランスを保つ社会を目指すべく、世界共通の目標として掲げられました。

そしていま…懸念される「うわべだけのSDGs」

このような背景がある中、現代ではSDGsという言葉だけが世に出ていき、本質を失っているという意見が一部ではあります。というのも、SDGsに取り組んでいるように見せかけた実態のないサービスをアピールする、いわゆる「SDGsウォッシュ」の企業や個人、また環境配慮を謳いながらも実は環境破壊に繋がっている商品やサービスもあると言います。その一つが、太陽光パネルだと言われています。

太陽光パネルを建てることによって、パネルを地面に建てて、パネルの下に生い茂る草木や大地への太陽光エネルギーを奪っていることから、そこで生きていた生物は光合成できず、滅びてしまい、周辺の生態系が壊されてしまいます。加えて、一度パネルを設置した土地を再び農地として利用することは難しく、その土地から作物を育てることは、ほとんど不可能なのです。再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」により、10年前から全国の農地が太陽光パネルに変えられている現実は、あまりにも悲惨なものだと言えます。

参考にしたいSDGs取り組み事例

「未来のため」「環境のため」と思いつつも、実態はその真逆の行為を促してしまっている可能性があります。もちろんすべての取り組みのことを指しているわけではないので、利用するときは見極めが必要になってきますし、SDGsの取り組みを行う際は、矛盾点を生まないようにすることが重要です。

参考までに、SDGsにしっかりと貢献できている取り組みの事例をまとめてみました。

① トヨタ自動車

自動車メーカートヨタ自動車では、電動自動車における脱炭素を目指しています。世界中のあらゆる国でトヨタの車は利用されており、その地域によってエネルギー事情は違うことや、時代によっても脱炭素への最適解は変わるものと述べています。そのため、その市場に合わせて対応可能な4種類の電気自動車のラインナップを作りました。
省エネを使えば走行時の二酸化炭素排出をゼロできる車や、燃料充填時間が短く、走行距離が長く重い荷物を運ぶ市場向けに作られた車など、誰ひとり残さないカーボンニュートラルを目指した開発をしました。
また、製品の生産過程で発生する二酸化炭素を削減する動きも見逃してはいません。作業工程の中で、電気に頼らずモノの重さや形状を生かして動くカラクリの装置を導入しました。トヨタ自動車では、このような知恵を使った改善を約2,500件行い、最新技術に頼るだけでなく、現場の知恵と工夫でSDGsの取り組みを進めています。

② ENEOS

ガソリンスタンドでお馴染みのENEOSでは、ベトナムの小学校・中学校・高校の建設や教育資材の提供を各地で行っています。また、経済的にサポートが必要な学生へ奨学金を授与することや石油産業の人材育成をするための大学に寄付をするなど、毎年貢献を行っています。ENEOSの取り組みはこれだけではなく、ベトナム戦争時に散布された猛毒のダイオキシンが含まれる枯葉剤の後遺症に苦しむ人々に向けて、リハビリ施設の建設に携わり、建設費の寄付や備品提供を行いました。

③ ソフトバンク株式会社

大手通信事業を行うSoftbank株式会社では、紙やプラスチックの代替となる新素材「LIMEX(ライメックス)」をショッピングバック「Bio LIMEX Bag」を採用しました。以前までは、全国6000万店舗で年間約550万枚ものプラスチック製のショッピングバックを使用していましたが、LIMEXは石油由来プラスチックの使用量を約40トン削減できる効果を見込めると言われており、環境資源への貢献を目指して導入されました。
主原料として石灰石と植物由来樹脂を使用しているため、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できる高い性能のあるLIMEX製に変えることにより、地球環境に配慮した取り組みを行っています。

そのSDGsはホンモノ…?意味のある取り組みにするために

そのSDGsが本当の意味で「経済・社会・環境」に貢献できているか?という問いは、SDGsへのスタート地点で必ず自問したいことの1つです。

そうすることでSDGs という言葉の一人歩きを抑止させ、「SDGsウォッシュ」のような言葉が今後生まれることはないと言えるでしょう。

また、SDGsへの貢献や、資源の無駄遣いを防ぐための製品やサービスを作る工程にも、SDGs指針から外れてしまう側面もあることを忘れずに、これから取り組みを進めていくことが大切です。

LIMEX
VIEW MORE