地球温暖化のメカニズム|原因と解決策とは

海面上昇や毎年のように更新される最高気温。

地球温暖化関連のニュースを一度も目にしたことがない方は、恐らくいらっしゃらないでしょう。

本記事では、地球温暖化の概要から気温上昇が私たち含めた地球環境へ及ぼす影響について解説します。

地球温暖化とは

地球温暖化とは、地球全体の平均気温が長期的に上昇する現象をいいます。産業革命以降、人間の活動はより活発となり、それに伴って世界の平均気温は上昇し続けています。

世界の平均気温は100年あたりで0.73℃上昇しており、現代ではその影響が様々な環境下で顕在化しています。

地球温暖化のメカニズムと原因

地球温暖化は、大気中の温室効果ガスの濃度が高まることによって、太陽から伝わる熱量が増加し生じる現象とされています。

温室効果ガスにはCO2(二酸化炭素)やフロンといったものがありますが、温室効果ガスの排出量に占めるCO2の割合は約76%と、その大部分を占めています。

大気中のCO2濃度は、2020年時点で413.2ppmと、産業革命以前の約280ppmと比べおよそ49%増加しており、近年では2ppm/年の割合で増加しています。

CO2は、石油や天然ガスといった化石燃料の消費、そしてプラスチック等の石油由来の製品が焼却処理されることで、大量に大気中に排出されます。

本来であれば、そのように排出されたCO2を樹木といった森林資源が吸収し、光合成をおこなうことで大気中のCO2濃度を調整する役割を果たします。

しかし、土地開発による森林伐採や森林火災などで森林資源は年々減少しており、それにより大気中の二酸化炭素濃度の調整が困難となりつつあります。

地球温暖化の影響

地球温暖化による影響として、まず頭に浮かぶものは平均気温の上昇ではないでしょうか。

平均気温の上昇はまさに地球温暖化による直接的な影響ですが、世界では気温上昇による間接的な地球温暖化の影響が深刻な問題となっています。

世界では、気温の上昇による以下の4つの問題が懸念されています。

  • 海面上昇

世界の平均気温が上昇することでまず懸念されることは、北極の海氷が融解することです。

事実、北極の海氷は1971年から2021年までの50年間、1年あたりで北海道と同程度の面積の海氷が融解しています。

この影響から、1901年から2010年の間でおよそ19cm海面が上昇しており、既に、ツバルやフィジー共和国といった海抜の低い島国では高潮の被害や海岸の侵食などの問題に直面しています。

  • 日本における影響

日本においても、国内最南端の島である沖ノ鳥島が海面上昇によって浸食されており、現在、水没の危機にあります。

沖ノ鳥島は日本の排他的経済水域において重要な領土として位置づけられており、仮に沖ノ鳥島が水没すると、沖ノ鳥島を起点として広大な排他的経済水域が失われる可能性があります。

水産庁や東京都では、既にサンゴの種苗の移植や島の周りに浮き漁礁の設置などを行っており、沖ノ鳥島の維持に向けた対策を進めています。

現在のペースで地球温暖化が進むと、21世紀中には最大で82cm海面が上昇すると予測されているため、問題解決に向けた対策の拡大が急務となっています。

  • 野生生物の絶滅

IUCN(国際自然保護連合)によると、2021年時点で絶滅の危機に瀕している野生生物は世界で3万8,543種以上存在しています。

そのなかでも、地球温暖化といった気候変動の影響によって絶滅危惧種に指定された野生生物は2015年時点で4,000種を超えており、2000年の15種と比べると約266倍以上に増加しました。

地球温暖化による気温上昇や、干ばつによる森林、草原の減少によって生息地の移動を余儀なくされ、生息地の急激な変化や食糧難によって生存の危機へと瀕しています。

気候変動の影響を受けている野生生物として、「アフリカゾウ」や「トナカイ」、「アオウミガメ」といった生物が挙げられます。

  • アフリカゾウ

ボツワナでは、地球温暖化によってゾウの水飲み場の水温が上昇し、シアノバクテリアが大量に繁殖した結果、300頭以上のゾウが命を落としました。ボツワナの野生生物保護当局によると、シアノバクテリアが生成する毒素が水温の上昇によって増加したことが原因と発表しています。

温暖化といった気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書によると、アフリカ大陸は、2080年までに乾燥地域が5~8%拡大し、一部地域では干ばつが発生するとしています。

ケニアでは既に深刻な干ばつが発生しており、水や食糧不足によるゾウやその他の野生生物へ影響が広がっています。

  • コアラ

コアラの主食であるユーカリは、CO2濃度が上昇すると窒素やたんぱく質などの栄養素が減少する一方で、タンニンといった毒素を増加させるため、十分な栄養を補給できないコアラが増加しています。

また、気温の上昇による乾燥から、オーストラリアでは森林の自然火災が多発しており、そのなかでも甚大な被害があったニューサウスウェールズ州で起きた森林火災では、日本の国土の3割近くの面積が焼失したとされています。

この影響により、およそ5億匹にも及ぶ野生生物が犠牲になり、2万5000頭近くのコアラが命を落としたと推計されています。

動物保護団体であるオーストラリアコアラ基金は、2021年時点で生息しているコアラの数は最小でも3万2,000頭としており、森林火災などの影響によって過去3年間で3割のコアラが減少したと発表しています。

  • アオウミガメ

アオウミガメは、産卵した砂浜の温度で性別が決まります。温度が高いとメスが生まれ、低ければオスが生まれるため、温暖化よって砂浜の温度が上昇すると、オスの個体が減少し、繁殖が困難になる可能性があります。

また、大気中のCO2濃度が上昇すると、CO2が海に溶け込み海水を酸性化させため、海洋生物へ何らかの影響を及ぼすことが考えられており、アオウミガメの食糧である海草やその他の生態系への影響が懸念されています。

  • 農作物の生産量減少

大気中の温室効果ガスなどの濃度がどのように変化していくかを計測するシナリオに、SRES(IPCC排出シナリオ)というものがあります。

このシナリオに従って大気中のCO2濃度が増加すると、日本は今後、平均気温がおよそ2.1~4.0℃上昇するとされています。

その影響により、日本国内すべての地域で短時間の強雨が増加する一方、無降水日数においても多くの地域で増加することが予測されており、大雨災害の深刻化や渇水リスクの増加による農作物や自然生態系への影響が懸念されています。

農林水産省によると、平均気温が3℃上昇すると水稲の潜在的な収穫量が北海道では13%増加する一方、東北以南では8%~13%減少するとされています。

2020年の北海道の水稲の収穫量は59万トンと全国2番目の規模のため、北海道での収穫量が増加する影響よりも、東北以南での収穫量が減少する影響の方が大きいでしょう。

また、地球温暖化によって稲や麦、大豆などに寄生する害虫であるミナミアオカメムシの分布域の拡大が確認されており、農業昆虫の増加による農作物への影響が懸念されています

地球温暖化の解決に向けた取り組み

2015年、気候変動に関する国際会議であるCOP21において、世界各国が温室効果ガスの排出量の削減目標を定めたパリ協定が採択されました。

日本の削減目標は2030年までに2013年比26%減でしたが、2021年に政府はアメリカ主催の気候サミットにて、2030年までの温室効果ガス削減目標を2013年比46%減、そして2050年までにカーボンニュートラルの実現することを発表しました。

政府は、それらの計画の実現へ向けて、「エネルギー基本計画」や「クリーンエネルギー戦略」を策定し、二酸化炭素を大量に排出する火力発電からの脱却に向けた対策を進めています。

地球温暖化の脅威は確実に広がっています。

地球の未来、そして私たちの未来を守るため、一人ひとりが環境保護に向けた意識を持つ必要があるでしょう。

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