暑さは人命にかかわる…数字で見る、温暖化の危険性

地球温暖化のリスクについてはさまざまな専門家が指摘しています。

しかし、具体的に私たちの健康や生活に対してどのような影響があるのか、疑問に思う方もいるでしょう。

実は、気温上昇は直接的に人命にかかわることもあるため、非常に危険です。

地球温暖化によりこのまま気温が上昇すると…?

地球温暖化が進むと世界の平均気温が上昇します。

気温の上昇は、私たちの健康に大きな影響を与えます。

どのような影響があるのか押さえておきましょう。

蚊やダニを感染経路とする感染症が増える

気温が上昇すると、蚊やダニなどの害虫が繁殖しやすくなるため、感染症が増えると心配されています。

生息可能なエリアが広がったり、寒い地域でも越冬できるようになったりするためです。

蚊やダニ、ノミなどが媒介する感染症には、日本脳炎、マラリア、デング熱などがあります。

これらの感染症の症状はさまざまで、治療が遅れると重篤な後遺症を生じるものもあるため、注意が必要です。

熱中症による死亡者数が増える

熱中症による死亡者数の増加は、気温上昇による健康リスクの一つです。
日本でも近年、特に夏に高温となる日が増えたことで熱中症にかかる人が増えています。
厚生労働省が公表している年次別男女別熱中症死亡数のグラフでは、特に1972年以降急激に死亡者数が増えていることがわかります。

熱中症を防ぐには、高温多湿な環境を避けることや、こまめな水分補給などが大切です。
このまま気温上昇が続けば、将来的には暑い時期に屋外で作業や運動などの活動を行うことを、制限されるかもしれません。

毎年4万人もの死亡数が増える

地球温暖化への対策を定めたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えることが目標として示されました。
ニッセイ基礎研究所の研究では、もし2100年までに昇温を2℃未満に抑えられなかった場合、日本全体で毎年4万人もの死亡数が増えると試算されています。
死亡数が増える原因は老衰、呼吸器系疾患、熱中症を含む外因が中心です。
気温上昇は光化学オキシダント濃度を高めるため、光化学スモッグが発生しやすくなります。
そのため、呼吸器系疾患のほか、脳血管疾患・心血管疾患、循環器系疾患のリスクも高くなるといわれています。

気温上昇による環境破壊が結果的に人へも影響を与える

気温上昇は私たちの健康や生活に悪影響をおよぼすだけでなく、環境破壊をも引き起こします。
また、環境破壊によって引き起こされるさまざまな災害や生態系の変化などが、結果的に人へも影響を与えることがあります。

破壊的な嵐による被害の増大

気温の上昇による環境破壊の例の1つが、破壊的な嵐です。
温暖化によって台風やサイクロン、ハリケーンの発生頻度が高まるだけではなく、規模も大きくなる傾向にあります。
高温、特に海面温度の上昇によって水分量が増えるためです。

気温上昇によって勢力を増した嵐は、家屋にも大きなダメージを与え、人々の生活を脅かします。
経済的損失に加えて、多くの死者を出すこともあるため、大変危険です。

干ばつのリスク増加

温暖化は砂漠化を進め、干ばつのリスクを増加させることも問題です。
干ばつによる影響は、広範囲におよびます。
まず地域の水不足により農作物の収穫や工業生産が難しくなることは、地域経済にとって大きなダメージです。
また、乾燥により火災が発生しやすくなるため、私たちの生活や健康、地域の生態系にもダメージを与えます。

現時点でも、アフリカや中東など地球上の多くの地域が干ばつによる深刻な影響を受けています。
今後も温暖化が進めば、干ばつの範囲はさらに広がるでしょう。

異常気象による食糧不足

干ばつの項目で触れた通り、気温の上昇は農作物の収穫量を減少させるおそれがあります。
さらに、乾燥や高温によって牧草地が減少するため、牧畜や酪農も難しくなるでしょう。
気温上昇に伴って家畜類に対し、感染症が広がる可能性もあります。

また、海の生態系の変化による漁獲量の減少も問題です。
世界中のあらゆる地域で、食糧不足が問題となる可能性が指摘されています。

温暖化の危険性を知り、今こそ未来のために環境への配慮を

地球温暖化は、気温上昇による直接的な影響があるだけでなく、気候変動によってもたらされるさまざまなリスクも私たちの生活に影響を与えると考えられています。
パリ協定では、気温上昇を2℃未満に抑えることを目標として各国に行動を求めています。
ただし、温暖化の防止には一人ひとりの協力が欠かせません。
温暖化による危険性を知り、未来のために環境へ配慮した行動を取ることが大切です。

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