四季折々の景色を楽しめる日本。
春といえば、桜を思い浮かべる人は多いでしょう。
桜の名所では、春になると満開の桜を見ながら楽しむ人々で賑わいますが、いまその桜に変化が起きていることを知っていますか。
この記事では、地球温暖化が日本の春の代名詞・桜に与える影響を見ていきます。
目次
日本の春と言えば…桜
桜は、日本の春の代名詞です。
卒業や入学シーズンにあわせて咲くため、出会いや別れとリンクするイメージを持つ人も多いでしょう。
桜の咲く時期には、多くの人がブルーシートを桜の木の下に敷き、お花見を楽しみます。
桜を鑑賞しながらお酒を飲んだり食事をしたりするお花見は、日本独自の文化です。
また、日本の桜というとソメイヨシノを思い浮かべますが、実はソメイヨシノの原産地は確定されていません。
始まりは、江戸の染井村の職人たちが売り出した吉野桜であるといわれています。
温暖化で変化する、桜の未来
日本を代表する桜は、近年進んでいる温暖化により開花時期や咲き方に変化が生じてきています。
今後もお花見を楽しめるよう、桜や地球環境の現状を知り、対策を立てることが大切です。
変化する桜前線と開花時期
桜は3月の終わりごろから4月の初めごろに咲くイメージを持つ人が多いでしょう。
ソメイヨシノの開花は、南から北に向かって、天気図の前線のように進むため、桜前線と呼ばれています。
近年、この桜前線と開花時期に変化が生じています。
東京での開花記録を見てみると、1960年から10年間の平均は、3月30日です。
1953年から1990年までは、およそ3月下旬から4月上旬に開花しています。
しかし、2001年からの10年では、開花時期が3月中旬ごろから始まっており、少しずつ早まっているのです。
平均の開花日は3月22日と、1960年代と比較すると、約1週間早まっているのがわかります。
そのため、現在多くの地域では、入学シーズンよりも早く桜が咲き、散ってしまっています。
桜は満開にならない?!
近年の研究結果により、このまま地球温暖化が進むと、桜が満開にならない事態に陥るとされています。
2032年~2050年、2082年~2100年の間、南九州を中心とした広範囲で桜が満開にならないとのシミュレーション報告が出ているのです。
ソメイヨシノは、温暖な気候では育たないといわれており、実際に奄美大島以南は、育成に適していません。
地球温暖化による気温上昇が進めば、桜の育成に適さない地域が増えてしまうと考えられるでしょう。
桜が咲かなくなる未来も…
地球温暖化が進み日本全体の気温が上昇すると、満開にならないだけではなく、開花もしなくなってしまいます。
桜の開花の南限が北に広がっていけば、種子島や南九州周辺でも桜が開花しない地域が増えるでしょう。
なぜ桜は咲かなくなるかもしれないのか
地球温暖化によって引き起こされる気温上昇により桜が咲かなくなるのには、休眠打破が関係しています。
ソメイヨシノの花芽は、開花する前年の夏に作られています。
そのまま咲いてしまわないよう、秋から冬の間は枝先で冬眠するのです。
花芽は、厳しい寒さに一定期間晒されたあと、気温が上がり空気が暖まることで、休眠から目覚めます。
この一連の流れを休眠打破といいます。
地球温暖化が進むと、冬に気温が下がりにくくなるため、休眠打破による開花が起こらなくなってしまう可能性があるでしょう。
気候変動が日本の春に与える影響
日本の季節は、春・夏・秋・冬の4つにわかれています。
それぞれ気温が変化し、自然の景観も異なるため、四季折々の景色が楽しめるのも日本ならではの魅力です。
しかし、近年温暖化によって日本の四季がなくなりつつあります。
冬が終わり気温が暖かくなってきたらすぐに猛暑になり、夏が終わり涼しくなってきたと思ったらすぐに寒さが厳しくなるといったように、春と秋が減ってきていると感じている方は多いのではないでしょうか。
また、温暖化が続くと四季がなくなるだけではなく、台風や夕立、暴風雨などの異常気象が増える問題も発生します。
桜の開花異常は、地球からの警鐘
桜の開花異常は、温暖化の影響を如実にあらわしているといえるでしょう。
地球温暖化が進み、桜が咲かない事態を防ぎ、日本の春の光景を守るために、行動を変えなければなりません。
日本の美しい四季を守るためにも、地球環境について一人ひとりが考える必要があります。