ジェンダーギャップ指数とは|日本のランキングと世界との差

2020年に行われたアメリカ大統領選挙において、女性で初めて副大統領に就任したカマラ・ハリス副大統領。

近年、企業や自治体では女性の管理職登用の増加や、学校や職場でのスカート撤廃などの動きが広がっています。

この記事では、ジェンダーギャップの概要から、男女格差の現状をスコア化したジェンダーギャップ指数についてご紹介します。

ジェンダーギャップとは

ジェンダーギャップとは、日本語で男女格差と同様の意味をもつ言葉です。

教育や政治、経済活動など幅広い領域において、これまで世界では女性の権利が十分に認められておらず、長年、女性に対するあらゆる差別が行われてきました。

現代においても女性の権利が十分に認められているとは言えず、いまだ男女間の不平等が存在しています。

戦後における女性の社会進出

しかし、戦後における女性の社会進出以降、日本では1945年に女性の参政権獲得や学校の男女共学が実現するなど、21世紀にかけて女性に対するあらゆる差別が撤廃されてきました。

1959年には2.4%だった女性の大学進学率は、2017年には49.1%にまで上昇するなど、男性の55.9%と比べ確実にその差は縮小しています。

高度経済成長後ではさらに女性の社会進出が増加し、1985年に制定された「男女雇用機会均等法」では、雇用や採用における性別を理由とした差別が明確に禁止されました。

男女格差を測るジェンダーギャップ指数

ジェンダーギャップの解消に向けて様々な取組みを推し進めている日本ですが、欧米を中心とした世界各国と比べると、日本における女性の地位はまだ十分ではないといえるでしょう。

非営利財団であるWEF(世界経済フォーラム)では、2006年より世界150か国以上の男女格差を数値化した「世界男女格差レポート」を公表しています。

2021年の「世界男女格差レポート」ランキングと日本の順位

このレポートは、「経済・政治・教育・健康」の4分野14項目のデータから算出され、スコアが1に近いほど男女平等が実現されていることを示しており、ランキング形式で公表されています。

2021年の日本の総合順位は、世界156か国中120位と、例年に続き先進国で最下位となっています。

教育・健康分野では「識字率・初等教育・出生児の男女割合」の項目が前年に続き1位に位置している一方、経済・政治分野では、大半の項目が世界平均を下回る結果となっています。

  • 経済

同一労での賃金格差や、幹部・管理職の男女比といった経済分野では、日本の順位は117位です。

2019年に公表されたIOL(国際労働機関)のデータによると、2018年の管理職に占める女性の割合は世界平均で27.1%であることに対し、日本は14.7%と世界と比べて半分近くの後れをとっています。

また、実績や素質があったとしても、出産や育児を理由に女性の昇進を阻む「ガラスの天井」と呼ばれる風習がいまだに残っていることなどが、低スコアの要因としてあげられます。

  • 政治

ジェンダーギャップ指数の4項目のうち、もっとも順位が低かった項目が政治分野で147位です。この分野の順位は毎年下落しており、2021年度はついに世界ワースト10位となりました。

要因には、国会議員における女性の割合が2021年時点で9.7%と、全体の10%にも満たないことなどがあげられ、今後、男女別の議員数をあらかじめ定めたクオーター制(人数割当制)といった制度の導入が求められます。

政府の取り組み事例

各省庁、ジェンダーギャップの解消に向けて様々な取り組みを開始しています。

経済産業省の取り組み

経済産業省では、2012年より東京証券取引所と共同で「なでしこ銘柄」の選定を実施しています。

なでしこ銘柄には、女性役員の人数や役員比率が一定の基準を満たしている企業が選ばれ、2021年度にはなでしこ銘柄が50社、準なでしこ銘柄が15社選定されるなど、女性の活躍推進へ向けた取り組みが推し進められています。

金融庁の取り組み

金融庁では企業に対して「男女別の賃金水準」や「管理職の女性割合」、「男性の育休取得率」の情報開示の義務化を検討するなど、ジェンダーギャップの解消に向けた取り組みを加速させています。

これらには約4000企業が対象となり、投資家が企業価値を判断するひとつの基準とする狙いがあるようです。

厚生労働省の取り組み

厚生労働省では男性の育児参加を促進するため、「育メンプロジェクト」を発足。育児や家事をする時間は世界で最低水準だとされている日本人男性が、育児休暇を取得しやすい環境、そして育児に参加しやすい環境を整えるためのプロジェクトであるといえます。

主に、インターネットを通して男性の育児参加に関する情報発信を行い、女性の育児負担の軽減、そして積極的に育児に参加したい男性の後押しを推進しています。

ジェンダーギャップにおいて欧米といった国々へ後れを取っている状況を改善するためには、更なる取り組みの強化が求められるでしょう。

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