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知っていますか?「LCA(ライフサイクルアセスメント)」
「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という言葉を聞いたことはありますか?
環境課題への取り組みとして、最近注目されているこの言葉は、製品のライフサイクルにおける、投入資源、環境負荷およびそれらによる地球や生態系への環境影響を定量的に評価する方法のことを指します。
つまり、企業が商品やサービスに必要な原料の採取から、ユーザーに使用され、廃棄されるまでの工程(ライフサイクル)で排出される温室効果ガスの排出量を数値化し、どのようなサービス改善していけば良いかを考えるための材料を「LCA」として見える化させることによって、企業や個人が環境課題に対し、具体的に貢献していくことを目指すことができるものです。
二酸化炭素の排出量とLCA
私たちが住む日本の二酸化炭素の排出量は、 年間1千万トン超。これは、中国・アメリカ・インド・ロシアに続いて世界ランキング第5位の排出量にのぼります。
上位の国と比較しても面積が小さく人口も少ない日本が、知らず知らずのうちに環境を破壊してしまっている事実に驚いた人も多いのではないでしょうか。
二酸化炭素の排出は、地球の平均気温を上昇させ、異常気象や海水面の上昇、生態系の変化などを引き起こし、食糧生産や水資源の不足の原因を作りだし、健康被害や経済状況にも影響を与えてしまいます。
この問題を改善すべく、日本では2050年までに脱炭素目標が掲げられ、達成させるには、全ての企業や組織が温室効果ガスの排出量をゼロにする必要があります。
大企業では削減に向けての取り組みをすでに始めているところも多い中、まだ取り組みをどのようにすれば良いか分からない企業も少なくはありません。
脱炭素目標を達成のためのステップ
脱炭素のために何をしたらいいのか…まずは「知る」ことが重要。現状の把握や目標との差異を知ることで、具体的な取り組みを考えることができます。
① 自分の会社どれくらいの温室効果ガスを排出しているかを知る
② 具体的にいつまでにどれくらいの削減をしたら良いのかを知る
③ どこから削減に取り組めば良いかを知る
企業はまず、自分の会社の具体的な状況を知り、その状況を見える化させる必要があります。
そこで近年活用されているのが、LCA(ライフサイクルアセスメント)なのです。
LCAを活用する企業の取り組み事例
LCAを活用している企業の事例をご紹介します。
活用事例①富士通グループ
通信システムや情報処理システムを製造・販売する富士通グループでは、廃棄物等を資源として有効利用し、品質としても安全性の基準を満たした製品である「グリーン製品」の開発の為、LCAを導入しました。公式サイトでは、製品のライフサイクルの中で二酸化炭素排出のグラフも掲載されており、消費者に認識してもらえるようにしています。
活用事例② CANON
カメラやプリンタで有名なCANONでも、LCAの取り組みや環境ラベル登録を行っており、二酸化炭素削減へ向けて対応しています。経済産業省が推進する「CFPを活用したカーボン・オフセット制度」の活用をし、ライフサイクルにおける二酸化炭素排出量がゼロとなる製品を実現しています。「imageRUNNER ADVANCE」シリーズや、プロダクションプリンター「imagePRESS」の一部機種が対象商品で、ユーザーが使用した時に発生する二酸化炭素排出量を自社の削除分とし、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく管轄省庁への報告を行うことができるようです。
活用事例③マツダ株式会社
大手自動車メーカーのマツダ株式会社では、車のライフサイクルにおける環境負荷低減できるポイントを知るため、2009年からライフサイクルアセスメントを活用しています。また、環境負荷低減を可能とする商品の生産に向けて、研究への取り組みも積極的に行っているようです。エンジン車と電気車で研究の結果、燃費量や電気の使用量、生涯走行距離が異なり、二酸化炭素排出量が地域ごとに変化するため、地域別の技術開発が進められています。
活用事例④日本ハム株式会社
フード業界のトップ層である日本ハム株式会社でもLCAを実施しています。商品パッケージの廃棄からリサイクルまでの5段階のライフサイクルで、どれだけの環境負荷が発生しているのかを計算し、「カーボンフットプリント(炭素の足跡)」に取り組んでいます。原材料調達の段階での二酸化炭素排出量が大きいと分析し、まずは包装材料や輸送時に使う段ボールから先行して取り組みを進め、中長期的に食材においての取り組みを進める予定です。
商品やサービスを選ぶ基準を変えて環境問題へ貢献
私たちが環境問題に対して、アクションを起こしていくべきだということは言うまでもありません。しかしながら、個人レベルでどのような対応をしていくべきか分からない人がほとんどだと思います。まずは、LCAを活用した商品やサービスを知り、日常生活に置き換えることができそうなものから利用していくことが大切です。また企業側も立場でも、LCAを導入し今後の環境問題への対策をいくことが、将来を生きる自分や、子どもたちへの貢献とも言えます。