絶滅が危惧される動物たちがまとめられた、「レッドリスト」の存在を知っていますか?
地球環境の変化などが原因で、種の存続が危ぶまれる動物たちが地球上にはたくさんいます。
ひょっとすると、そのリストにはかつて私たちの身近にいた動物たちもいるかもしれません。
レッドリストとは?
「レッドリスト」とは、絶滅の危機に瀕している生物種を分類し、保護の優先順位を付けるために作成されたリストです。国際自然保護連合(IUCN)が中心となり、世界中の科学者や専門家がデータを収集し、評価しています。
レッドリストは、絶滅の危険度に応じて種をカテゴリー分けしています。最も危険な状況にあるのは「絶滅危惧IA類(Extinct in the Wild)」で、野生での生息が確認されていない種を指します。次に「絶滅危惧I類(Critically Endangered)」で、急速な減少や生息地の破壊により、数が極端に減っている種が含まれます。
また、「絶滅危惧II類(Endangered)」では、生息数が減少している種や生息地の破壊が進んでいる種が分類されます。さらに、「絶滅危惧III類(Vulnerable)」では、一部の地域で生息数が減っている種や、生息地の破壊の影響を受けている種がリストアップされます。
この他にも、レッドリストには「準絶滅危惧(Near Threatened)」や「低危険度(Least Concern)」、「情報不足(Data Deficient)」など、さまざまなカテゴリーが存在します。これらの分類は、種の保全や生息地の保護に向けた取り組みの優先順位を付けるために活用されます。
レッドリストは、絶滅の危機に瀕した生物種を把握し、保全活動や法律の制定に役立てるために非常に重要な情報源となっています。また、レッドリストに掲載された種に対しては、保護対策や研究が進められることで、絶滅を回避するための取り組みが行われています。
絶滅が危惧される世界の動物たち
非常に悲しいことに、私たちの周りには絶滅が危惧される動物たちが少なくありません。
ここでは世界各国で絶滅の危機にある動物たちをいくつかまとめました。その動物たちの多くが、私たちが知っている・見たことのあるものであることが残念でなりません。
ジャイアントパンダ(生息エリア:中国)
タイガー(生息エリア:アジア、特にインド亜大陸、東南アジア、ロシア極東地域)
グリズリーベア(生息エリア:北アメリカ)
アフリカゾウ(生息エリア:アフリカ)
インドハイエナ(生息エリア:インド、スリランカ)
アジアゾウ(生息エリア:アジア)
レッサーパンダ(生息エリア:ヒマラヤ山脈周辺地域)
ホッキョクグマ(生息エリア:北極圏)
マレーグマ(生息エリア:東南アジア)
ウマノスリ(生息エリア:マダガスカル)
グレートホワイトシャーク(生息エリア:世界各地の海洋)
ジャガー(生息エリア:中南米)
ウミガメ(生息エリア:世界各地の海洋)
ダチョウ(生息エリア:オーストラリア、アフリカ)
カリフォルニアコンドル(生息エリア:北アメリカ)
マレータイガー(生息エリア:マレーシア、インドネシア)
ここにあげたのはほんの一部。これらの動物が絶滅しないために、またこれ以上絶滅の危機に瀕する動物を増やさないために、私たちは考えなければなりません。
私たちの身近にも!日本で絶滅の危機にある動物たち
もちろん私たちが暮らす日本も例外ではありません。
かつては身近な存在だった動物たちが、いままさに絶滅してしまいそうになっているのです。
イリオモテヤマネコ(Iriomote Wildcat)
沖縄県の西表島に生息していた固有種のネコ科動物で、生息地の破壊や交通事故などの影響により、野生個体数が減少し続けています。保護活動のかいもあって現在は100頭ほどいるとされていますが、交通事故による不当な死が後を絶ちません。
ヤンバルクイナ(Yambaru Long-armed Scarab)
鳥綱ツル目クイナ科に属する鳥類で、日本固有種です。沖縄本島北部の山原地域に生息し、1981年に新種として発見されました。全長約35cm、体重約420gで、飛ぶことができません。沖縄の自然の豊かさの象徴でもあるヤンバルクイナですが、近年では森林伐採、外来種の侵入、交通事故などによって生息数が減少しています。
オキナワアオウミガメ(Okinawa Green Turtle)
日本固有種であるオキナワアオウミガメは、沖縄本島やその周辺の海域に生息しています。全長約1m、体重100kgほどになり、甲羅は青みがかった色をしています。乱獲や生息地の破壊によって生息数が減少しています。
これらの例からも分かるように、生息地の破壊、乱獲、外来種の侵入、環境汚染など、さまざまな要因が絶滅に寄与しています。保全活動や環境保護の重要性が強調される中、日本国内外で絶滅のリスクにさらされている動物種の保護が求められています。