日本の空気は綺麗?汚い?世界の空気はいまどれくらい危険なのか

日本の空気は綺麗?汚い?世界の大気汚染ランキング96位

日本の空気が世界各国と比べてきれいか、汚いかを、知らない方も多いでしょう。
スイスの空気清浄器メーカー「IQエアー」が公表した2023年度版「大気質報告書」の世界大気汚染度ランキングでは、日本はアジア首位の96位でした。

日本はアジア首位の96位

前述したように、日本の世界大気汚染度ランキングは、アジア首位の96位です。
世界保健機関WHOの安全基準値を超えており、前年から順位も1つ上がっています。
一方で、日本は大気の正常さを示す汚染濃度の低さでは、世界39位であり、アジアの中で前年2位から首位に浮上しています。

参照:World’s most polluted countries & regions

世界トップで空気汚染が進む、バングラデシュ

近年、バングラデシュでは、深刻な大気汚染問題が発生しています。
首都ダッカでは、健康被害や農作物植物への影響も報告されているのです。

バングラデシュの大気汚染の大きな原因として、レンガ産業が挙げられます。
レンガの焼成工程におけるCO2やPM2.5の排出が、大気汚染を引き起こしているといわれています。
バングラデシュの大気汚染の数値は、世界トップクラスであり、PM2.5の数値も世界保健機関が定めている安全基準値の15倍です。
日によっては、40倍にもなるという報告もあります。
バングラデシュ人の平均寿命は、60歳と短く、その原因として大気汚染が考えられています。

アジアでも進む大気汚染とその原因

近年、東南アジア地域の各国は、急速に経済成長を遂げています。
しかし、その一方でエネルギーを確保するために、硫黄含有率の高い石炭や石油に依存しなければならない国も増えてきています。
交通網の発達により自動車が増え、深刻な大気汚染問題が発生している国も。
世界銀行の報告によると、現在の状況のまま推移すると、酸性雨の原因物質となる二酸化硫黄の排出量は、2020年には1990年の3倍にまで増加すると予測されています。

日本の空気は綺麗なのか?WHOの基準と大気汚染の現状

世界各国と比較したとき、日本の空気はきれいであるか気になっている方もいるでしょう。ここでは、世界保健機関の基準における日本の大気汚染の現状を紹介します。

世界保健機関(WHO)の大気汚染基準

134の国・地域が対象となり、大気汚染の主な原因となる微小粒子状物質「PM2.5」の濃度を調査したところ、日本は、大気1㎥当たりの年間平均濃度が9.6マイクログラムでした。
世界保健機関の基準値は、5㎍以下であり、基準値以下です。
2023年時点で安全な大気汚染レベルの基準を満たしていたのは、フィンランド、エストニア、プエルトリコ、オーストラリア、ニュージーランド、英領バミューダ、グレナダ、アイスランド、モーリシャス、フランス領ポリネシアの10の国・地域のみです。

大気汚染基準の1つ「PM2.5」の恐ろしさと健康被害

PM2.5とは、大気中に存在している直径2.5㎛以下の極めて小さな粒子のことで、物質を焼却したりガソリン車やストーブなどを燃焼したりすると発生します。
また、火力発電所や工場などから排出される硫黄酸化物や窒素化合物、溶剤や塗料から発生する揮発性有機化合物が、大気中で化学反応を起こして二次的に生じるケースもあります。

大気汚染によって最も懸念されているのは、健康被害です。
大気汚染は、喘息や肺炎肺機能の低下など下気道感染症の原因になるといわれています。
PM2.5の量が世界保健機関が設定したガイドラインのレベルを5%上回ると、呼吸困難を感じる割合が12.8%上昇するといわれています。
また、湿った咳が出る割合は12.5%、下気道感染症にかかるリスクは8.2%高くなるそうです。

大気汚染が深刻な問題となっているバングラデシュでは、死亡と障害の原因で2番目に多いのが大気汚染です。
2019年には、大気汚染が原因で約8万人前後が亡くなったといわれています。
また、バングラデシュの中でも大気汚染がよりひどいといわれている地域に暮らす子どもたちは、下気道感染症の発症率が著しく高いとの報告があります。

大気汚染を改善するための施策例

大気汚染を改善するための施策として電気自動車の普及が挙げられます。
電気自動車とは、バッテリーに蓄えた電気を使ってモーターを動かし走行する車です。
排気ガスを一切出さず、通常のガソリン車よりも汚染物質や二酸化炭素を出す量が少ない特徴があります。
さらに、太陽電池をはじめとした再生可能エネルギーによって充電を行えば、発電所からの排出が原因となる大気汚染にも考慮できるでしょう。

また、自動車の使用を控えて徒歩や自転車で移動する、家庭で無駄な電力を使わない工夫をする、など一人ひとりができる取り組みもあります。

汚れた空気は時間をかけて健康を蝕む

経済成長とともに深刻化していく大気汚染は、自国だけに関係する問題ではありません。
空気の汚れは、近隣国にも悪影響を与えるため、世界各国の一人ひとりが環境改善に意識を向ける必要があります。

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