EUで広がる、地球温暖化問題解決へ向けた取り組み

私たちが暮らす地球は、さまざまな環境問題を抱えています。
中でも地球温暖化は、関心が高いトピックのため、各国で法改正や企業努力など数多くの取り組みが見られるでしょう。
世界の中でもEUでは、地球温暖化に対して多くの取り組みを行っており、日本も見習うべき点が多々あります。
EUの取り組みを見る中で、私たちが取り組むべき課題について考えてみましょう。

EUで掲げられる温室効果ガス排出削減目標

温室効果ガスの削減については、2015年のパリ協定が代表的です。
この会合をきっかけに、環境保全への取り組みが加速し、各国が温室効果ガス削減に向けて具体的な数値設定を行い、改善に取り組んでいます。

また2015年 は、現在では当たり前になっている「SDGs」がスタートしたことでも知られており、ここから地球を守る取り組みが顕著になりました。

温室効果ガスとは

地球温暖化の元となる温室効果ガスは、大気中に含まれる二酸化炭素やメタン、フロンなどが代表的です。
温室効果ガスが増えると、本来地球から放出される熱がうまく放出されず、地表に溜まり、気温が上昇します。
地球全体の気温が上がることを地球温暖化と呼び、温暖化は異常気象を始めとした気候変動につながり、やがては生態系に影響を及ぼします。

この温室効果ガスを減らすことが、地球環境や生態系の維持、ひいては私たちの生活を安定させるために欠かせないといえるでしょう。

EUが達成を目指す「温室効果ガス排出量 実質ゼロ」

EUはヨーロッパの複数国が参加し、欧州連合条約に基づいて経済通貨や安全保障等、さまざまな項目において協力し合う連合です。
加盟国には、ドイツやスペイン、フランスやイタリアなどを含め27カ国が参加しています(2023年4月現在)。

このEUでは、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指しており、2040年までには、排出量を90%削減するという目標を示しています。
この目標は、一部から「生活に負担をかける」「産業の衰退を引き起こす」などと批判的な意見を浴び、まだ採択には至っていません。しかし、EUは実際に1990年から2022年にかけて温室効果ガスの排出量を半減している実績も見られます。そのため、この取り組みも決して無謀なものではないといえるでしょう。

使い捨てプラスチックにも厳しい規制を掲げるEU

EUは、地球温暖化解決に向けて生活用品の規制も進めています。
具体的には、2030年以降に「カフェやレストランで使い捨てプラスチック製品の利用を禁止する」との方針を公表しており、承認に向けて準備が進んでいます。

しかし、この取り組みは一筋縄ではいかず、飲食店からの反感も噴出しているのです。
そのため、2024年3月時点では暫定的な合意であり、まだ決定には至っていません。
それでもこの規制が実現すると、EUの取り組みがより環境問題解決に向けて加速するといえます。

「Farm to Fork(農場から食卓まで)戦略」は農家の反発もあるが…

プラスチックゴミの削減と合わせて注目したいのが「Farm to Fork(農場から食卓まで)」の概念です。
2020年5月に欧州委員会が公表した「Farm to Fork(農場から食卓まで)戦略」では、加盟国が化学農薬の使用量を削減する目的があります。

欧州委員会の要望としては、2030年までに50%の削減、最低でも35%以上の削減を求めています。
しかし、この法案は農業団体からの批判や農民からの声があり、現状として可決されていません。
まだ現実的ではないものの、この目標から見るように、EUでは、日本国内では考えられないレベルでの問題解決への取り組みが見られます。

EUの環境問題への取り組みは見習うべき点も多い

先述のとおり、EUでは積極的に環境問題解決へ向けた取り組みを行っています。どの目標を見ても数値が極めて高く、反感があるものの、実績があることから決して難しい取り組みとはいえません。
このような高い目標を設定し、承認を目指せる背景には、個人の取り組みへの姿勢があるといったことも挙げられるでしょう。

一方で、日本は環境問題解決に向けて個人の意識が薄いといわれています。
また、企業の責任も国外と比較してまだまだ軽く、法整備や各企業の取り組み加速が求められるでしょう。

しかし、国や企業だけに頼り切りになるのではなく、私たち自身も購入する商品の選択や使用するアイテムの見直しといった小さなことから、環境に配慮した意識が求められるでしょう。

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