脱炭素|日本の課題と実現に向けた取組事例3選

脱炭素、この頃よく聞く言葉ではないでしょうか?

日本政府は2020年10月に「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という目標を掲げました。

いま世界で注目されている脱炭素化への動き。

今回は、脱炭素化へ向けた日本政府の取り組み、そして世界の動向についてご紹介します。

脱炭素とは

地球温暖化や気候変動の原因である温室効果ガスの排出量を減らすため、排出の主な原因である「石油・石炭」といった化石燃料への依存を減らすこと、それを「脱炭素」と呼びます。

温室効果ガスとは、CO2(二酸化炭素)、メタン、一酸化二窒素、フロンガスの4つをいい、温室効果ガスのうち、約77%をCO2が占めています。

政府は、排出された温室効果ガスの大半を占める、CO2の排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」を目指しています。

なぜ脱炭素化が必要なのか

脱炭素化をめざす背景に、気候変動抑制に関する合意が取り決められた「パリ協定」、そして、持続可能な開発目標を掲げた「SDGs」があります。

18世紀ごろに起きた石炭利用による産業革命によって、産業の工業化が進展し、それにともない大量のCO2が大気中に排出されるようになりました。

産業革命後より、世界の気温は約1℃上昇したとされており、地球の温暖化は「海面上昇」や「異常気象」など、さまざまな環境問題の要因となっています。

そのような問題を解決し、持続可能な世界を実現するため、世界は脱炭素へと舵を切らなければならないのです。

日本の課題

パリ協定で定められた日本の目標は、「2030年までに、2013年比で温室効果ガス排出量を26%削減する」です。

日本は2017年時点で世界5位のCO2排出国であり、その排出量は世界の3.4%を占めています。

日本のCO2排出量が多い主な要因として、エネルギー発電のおよそ85%を火力発電で行っているという点です。

日本の発電割合( 引用元:資源エネルギー庁:https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2020/001/

火力発電の燃料は、石油・石炭・天然ガス(LNG)といった化石燃料であり、日本はそのほぼ100%を中東やアジアから輸入。

諸外国へのエネルギー依存の脱却、そして脱炭素化の達成に向けて、「再生可能エネルギー」や「自然エネルギー」など、クリーンエネルギーへの転換が求められます。

脱炭素化へ向けた日本の取り組み

2021年4月、菅前首相は、2030年の温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減することを表明。

パリ協定での削減目標を大幅に前倒しするなど、脱炭素化に向けて積極的に取り組んでいます。

ここでは脱炭素に向けた主な計画について解説します。

1.クリーンエネルギー戦略

火力発電の割合を減らすため、政府が打ち出したクリーンエネルギー戦略。

この戦略には、「再エネ送電網の整備」や「水素・アンモニアの活用」「ESG投資の促進」などがあります。

これらの戦略に、政府は民間企業の参入を促すべく政権をあげて取り組むとしており、今後の進展が期待できます。

2.カーボンプライシングの導入

二酸化炭素の排出量に応じて、企業や家庭に課税を行う仕組みのカーボンプライシング。

この制度には、排出量に応じた課税である「炭素税」、そして企業のCO2排出可能枠を定め、それを売買できる「排出量取引制度」などがあります。

このほかには、脱炭素対策が不十分な国からの輸入品に対して、その製品の製造過程で発生したCO2排出量に応じて別途課税を行う「炭素国境調整」があり、企業や脱炭素対策が不十分な諸外国へ、脱炭素化への取り組みの強化を促す効果が期待できます。

3.地域脱炭素ロードマップの決定

政府は地域の脱炭素への取り組みを加速させるため、「地域脱炭素ロードマップ」を決定しました。

これは地域が主体となり、「脱炭素型まちづくり」に向けて再生可能エネルギーなどの資源を最大限に活用し、地域経済の生産力向上、そして持続性を両立するためのロードマップです。

公共施設・ビル等における省エネルギーと再生可能エネルギーの電気調達や、省エネ住宅、電気自動車などの普及促進などの対策を重点的に行う予定です。

ひとごとではない、私たちの問題

地球温暖化による異常気象や海面上昇は、海の向こうで起きている「ひとごと」ではなく、すでにみなさんの生活にも影響を与えている「私たち」の問題です。

私たちの子どもたちに豊かな地球を残せるよう、環境問題を「ひとごと」とせず、脱炭素化に向けて取り組んでいきましょう。

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