海を漂うプラスチックごみにはどんなものがある?

海洋プラスチックごみは、長年の地球環境問題の1つです。

海や海岸沿いを漂うごみを見て「汚いなあ」とか「どうしてこんなにごみがあるんだろう」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。

中には海外から漂ってきたようなごみもあり、相当な距離を移動してきているにもかかわらず、その形をしっかりととどめていることから、プラスチックをはじめとしたごみがいかに自然分解されにくいかイメージもつくと思います。

実際のところ、海を漂うごみにはどんなものがあるのでしょうか。

海を漂うプラスチックごみ…その多くが「家庭ごみ」であるという現実

プラスチックごみが海の生物に悪影響を与えることは、昨今では多くの人の知るところでしょう。

ペンギンなどの海の生き物に、漁業用の網が絡まっていたり、コロナ禍で消費の増えたマスクのゴムが絡まっていたりする残念なニュースを見たことのある人もいるかもしれません。こうした直接的な被害はもちろん、海中で小さくなったプラスチックを誤飲してしまい、命や生態系に影響を及ぼすことで甚大な被害を引き起こし続けているのが、現状。 2018年に環境省が発表した『海洋ごみをめぐる最近の動向』によると、漂着ごみのうちプラスチックが占める割合、その中でも家庭・個人からと思われるごみが多くあることが分かっています。

海洋プラスチックごみの内訳(個数で比較)

出典:海洋ごみをめぐる最近の動向(環境省)

このグラフから見てもわかるように、その中でも特にペットボトルの占める割合は圧倒的です。

日々の暮らしの中で、ペットボトル商品を手に取る機会が全くない、という人は相当少ないのではないでしょうか。お茶やジュースなどの飲み物はもちろんのこと、液体の調味料などもペットボトルに入っていることは多々あります。 そういった私たちの暮らしにごく身近なペットボトルが、海を汚し生態系に悪影響を与えている大きな要素を占めていることは残念でなりません。

クジラが食べた、40キロのビニール袋

ニュースなどで目にしたことのある人も多いかもしれませんが、実際に多くの海の生き物が海洋プラスチックごみの被害にあっています。

その一例が、2019年のフィリピンに打ち上げられたクジラ。このクジラの胃からは、なんと40キロを超えるビニール袋などのプラスチックごみが出てきました。海中を漂うビニール袋を餌と間違えて食べてしまったことが原因と考えられますが、餌と違ってビニール・プラスチックは胃の中で消化することができず徐々に蓄積されていき、ついには胃袋いっぱいとなり死んでしまったといわれています。

同様のことは世界中で報告されています。

そしてもちろんこれはクジラだけではなく、イルカやウミガメなどあらゆる海の生き物が被害にあっているという現実から、私たちは目を背けてはなりません。

どうして海にプラスチックごみが漂流するのか

海に漂うプラスチックごみは、年間500万トン~1300万トンといわれています。
どうしてこのような大量のプラスチックごみが海へ流れ出てしまうのでしょうか。
その原因の最たるものが「ポイ捨て」を含む、屋外への放置です。
適切に回収されなかったプラスチックごみは、屋外で散乱し、雨風の影響を受け川から海へ流れ出てしまいます。それらのごみは、海底ごみ・漂流ごみ・漂着ごみとして海を漂います。
プラスチックは分解に多くの時間を要すため、河川や海で漂流することでも自然に還ることはありません。
長い間海を漂い、そのうち海の生き物が誤飲したり、からまって身動きがとれなくなってしまったりするのです。

3Rも大事。でもまずは「ポイ捨てしない」

道端にごみを堂々とポイ捨てする人は少ないかもしれません。

しかし、例えば自販機の横のごみ箱がいっぱいだった時に無理に押し込んだり、ごみ回収日まで屋外にごみを放置していたり…といったことに心当たりのある人は少なくないはず。

プラスチックは軽く、すぐに風に流されてしまいます。

近くに海や川がないから大丈夫?そんなことはありません。

土の上でもプラスチックは分解されず、何十年、何百年の年月もの間、プラスチックであり続けます。 私たちの「ま、これくらい大丈夫かな」といった軽い気持ちが、地球やほかの生物の命を奪いかねないことを忘れてはなりません。

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