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多くの人に愛される日本一の山、富士山
富士山は、日本を代表するシンボルであり、その美しい姿と自然の豊かさから多くの観光客や登山者に人気のある場所です。その雄大な姿は、かつてより信仰の対象とされており、また、日本最高峰の山（標高3776メートル）として多くの登山者が目指す山でもあります。
美しく雄大な山である富士山は、以前よりユネスコの自然遺産への登録を目指してきました。
2013年には世界文化遺産として登録されるに至りましたが、なぜ富士山は「自然遺産」ではないのでしょうか。
世界文化遺産と世界自然遺産の違いとは
富士山が登録された世界文化遺産は、世界自然遺産とどのような違いがあるのでしょうか。
世界文化遺産（World Heritage Sites）
世界文化遺産は、国際連合教育科学文化機関（UNESCO）によって特別な価値を持つ文化的・歴史的な遺産とされた建造物、遺跡、地域が登録される制度です。これらの遺産は、人類全体の共通の遺産であり、その保存と保護が国際的な共同責任とされています。登録された遺産は、その独自性や重要性を評価する基準に基づいて選定されます。文化的な意義、歴史的な価値、芸術的な側面、建築技術の見本としての役割などが考慮され、人間の文化に対する貢献が重要な要素となります。
自然文化遺産（Mixed World Heritage Sites）
自然文化遺産は、世界自然遺産と世界文化遺産の要素を併せ持つ遺産を指します。つまり、これらの遺産は自然の側面と人間の文化的な相互作用が特徴的な地域であり、自然的な価値と文化的な価値の両方を持つものです。このような遺産は、自然の豊かさと人間の歴史的・文化的な貢献を結びつけている場合に評価されます。例えば、自然の景観が宗教的な信仰や伝統的な文化に重要な役割を果たす場合や、古代の遺跡が自然環境と調和して存在する場合などが挙げられます。
これらの遺産の登録は、その価値を国際的に認知し、世代を超えて保護・保存する重要性を強調するものです。UNESCOの登録は、世界各国の協力と共同努力によって成り立っており、遺産の保存に向けた取り組みを促進しています。
もちろん、富士山が世界的に価値のある重要な遺産であることには変わりありません。
しかし、自然文化遺産への登録を目指していたのにも関わらず世界文化遺産へ登録をされたのには、何か理由があるのでしょうか。
富士山にはゴミが多い？自然豊かで美しいとは言い切れない理由
富士山に自然の美しさや雄大さを感じる人は多いでしょう。
しかし、自然遺産への登録基準は非常にハードルが高く、自然文化遺産には登録されなかったのも事実です。
自然文化遺産は、自然の側面と人間の文化的な相互作用を示す地域を対象としています。2013年の世界遺産登録時に、なぜ自然文化遺産として登録されなかったのか。
ここでは、その理由として考えられるいくつかの要因について見ていきましょう。
自然の価値よりも文化的な要素が重視された
世界文化遺産としての登録では、富士山の文化的な意義が強調され、その歴史、信仰、芸術、登山の伝統などが評価された可能性があります。一方、自然文化遺産には、地域の生態系や自然現象、環境への影響などがより重視されるため、富士山がその基準に合致しなかった可能性があります。
人間の影響が自然に優先している
自然文化遺産に登録される場合、地域の自然が人間の活動によって長期間にわたって形成・維持された場所が対象となります。しかし、富士山は長い間、観光客や登山者の増加など人間の活動による影響を受けてきました。このような人間の影響が、自然の純粋さや自然現象の重要性と比較して、登録の際にネガティブに評価された可能性が考えられます。
実際に、当時の富士山は、裾野への不法投棄などのゴミ問題や、登山者によるし尿問題など、人間による自然破壊行為が大きな問題となっていました。
現在では改善傾向にあるとされていますが、こうした人間による自然の破壊行為が看過できない状況であったのも事実でしょう。
登録の対象が限られている
自然文化遺産の登録は非常に厳格であり、限られた数の場所が選ばれます。そのため、多くの有望な候補地が選考過程で漏れてしまうことがあります。富士山も優れた自然価値を持つ場所であるとしても、他の自然文化遺産候補地と競合して選考されなかった可能性も考えられます。
自分だけ、少しだけなら大丈夫…？その気持ちが富士山の自然を破壊している
富士山はその裾野から非常に広大な広さがあります。
誰も見ていないから、少しだけだから…とそれぞれが行ってきた破壊行為が大きな悪影響を及ぼしていることから目を背けてはいけません。
今でも多くの観光客や登山客が富士山を眺め、登っています。
日本が世界に誇る山であること、私たち日本人が古くから信仰し大切にしてきた山であることを忘れず、感謝の気持ちをもってルールやマナーを守っていきましょう。
