レジ袋有料化、のその後…|あなたはエコバッグ使っていますか?

2020年7月1日より、プラスチック製買物袋(いわゆるレジ袋)の有料化がスタートしました。
レジ袋の原材料であるプラスチックは、丈夫で軽く、加工もしやすいため、幅広い分野で活用されています。しかし、その一方で「海洋プラスチックごみ問題」や「地球温暖化問題」など多くの問題を抱えています。
そこで、2019年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」の中で、「容器包装リサイクル法」が改正され、プラスチック製の買い物袋について「有料化が必須」と規定されました。

そもそもなぜレジ袋は有料化されたのか?

レジ袋の有料化は脱石油を背景として、環境保護の目的のために実施されました。
プラスチックの材料である石油は埋蔵量には限りがありますが、プラスチックを製造することで枯渇に拍車をかけています。
さらにプラスチックの処分問題も非常に深刻です。

プラスチックは生ゴミとは異なり、自然分解されないため、完全になくならずに残り続けてしまいます。
プラスチックを燃やすと大量の温室効果ガス(CO2)が発生し、地球温暖化の原因になります。また燃やされずに捨てられたプラスチックは、海に流されて汚染の原因となっています。
海に流されたプラスチックは海底や波などで削られて小さくなります。特に直径5mm未満となったプラスチックの粒子や断片をマイクロプラスチックと呼びます。
このマイクロプラスチックを魚や鳥が餌と勘違いして飲み込んでしまい、結果的に死に至らしめることも問題として指摘されています。
食物連鎖によってマイクロプラスチックを体内に残した魚や鳥を人間が食べることで、知らず知らずのうちに人間の体内にもプラスチックが蓄積される危険性もあります。

そして、プラスチックの過剰利用は、下記のような多くの問題を抱えてしまいます。

  • 石油を消費することでの再生不能な化石燃料の枯渇問題
  • プラスチックを燃やすことで温室効果ガス(CO2)を大量発生させる地球温暖化問題
  • 分解されないプラスチックが陸や海の中に残り続ける環境汚染問題
  • プラスチックを誤飲した生き物を人間が食べることによる健康被害の問題

こうした背景から、国際社会では脱プラスチックの動きが活発となっており、2018年には「プラスチックごみによる海洋汚染の問題の対策を各国に促す文章」として『海洋プラスチック憲章』が先進国首脳会議(G7)によって採択されました。

日本でもこうした世界の動きに遅れを取らないために、2020年に経済産業省の主導で実施されたのがレジ袋有料化です。

レジ袋有料化の対象は、「プラスチック製買物袋を扱う小売業を営む全ての事業者」とされ、具体的にはコンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなど特にレジ袋の消費が多い事業者とされました。

レジ袋の辞退率は80%超。変わりつつある環境意識

環境省の調査ではレジ袋有料化を実施した結果、「レジ袋の辞退率は80%を超える」という結果が出ています。
レジ袋の金額設定は地域によって異なりますが、仮に1枚3〜5円を払うのであればマイバックを持参してレジ袋を辞退する傾向が顕著に表れています。

*参照元:出典:環境省(https://www.env.go.jp/recycle/yoki/c_1_questionnaire/shoppingBagH21.html

マイバッグを常に持ち歩く人も!レジ袋有料化の効果

レジ袋の有料化によって、まず「消費者の意識に変化をもたらした」という点が挙げられます。

環境省の調査では、2020年11月時点で「直近1週間以内の買い物でレジ袋を使わなかった人」の割合は71.9%となり、同年3月の調査の30.4%を大きく上回りました。これは当初の目標であった「直近1週間でレジ袋を使わない人を6割にする」を大きく上回っています。

さらに「常にマイバックを持ち歩いている」と答えた人の割合も51.9%となり、2020年7月1日に開始されたレジ袋有料化がきっかけとなり、「消費者の意識」が変化していることがわかる結果となりました。

*参照元:環境省(https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/scope/20210929.html

レジ袋の国内流通量にも大きな変化が…

この結果に比例して、レジ袋有料化によって国内のレジ袋流通量を削減することに成功しました。環境省が調べたレジ袋の国内流通量はレジ袋有料化の前後で約20万トンから約10万トンへと半減していることが明らかになっています。

さらに全国のドラッグストアではレジ袋の使用枚数が約33億枚から約5億枚と約84%も減少し、コンビニチェーンではレジ袋の辞退率が約23%から75%と大きく上昇しています。

*参照元:環境省(https://www.env.go.jp/content/000050376.pdf

レジ袋有料化は個人の意識とプラスチックの流通量を変えましたが…

国内のレジ袋流通量が半減していることから、レジ袋有料化は一定の効果を生んでいます。

ただし、辞退率が7割を超えているにも関わらず、流通量は半減に留まっている点も一部で指摘されています。これは家庭のゴミ出しの際、100円均一店などで購入した安価なプラスチック製の袋を使用していることが要因とされています。

レジ袋有料化によってレジ袋の辞退率は向上しましたが、今後は使い捨てプラスチック製品全般を使わないための施策について、日本をはじめ、世界各国で展開していくことが重要となるでしょう。

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