再生紙はエコではない?!製造工程の環境負荷を知り、本当のエコを考える

環境問題がますます深刻化する昨今、私たちは日常生活でできる限り環境にやさしい選択をする必要があります。特にその中でも、紙製品の選択は環境への影響が大きい分野の一つです。再生紙は、新たな木材を伐採せずに製造されるため、エコフレンドリーな選択肢とされていますが、実際のところはどうでしょうか。

この記事では、再生紙のエコロジカルな側面を探りながら、その製造プロセスや利点、課題について考察し、今後私たちがとるべき選択肢について考えていきましょう。

再生紙ができるまで

再生紙ができるまでの工程を知っていますか?

コピー用紙や新聞紙など、一度使用された紙を集めて、新たに紙やトイレットペーパーなどとして使用されている…ということはなんとなくイメージできるでしょうが、再生までの具体的な工程を知っている人は多くないでしょう。

再生紙が「エコではない」と言われてしまう側面について、製造工程から紐解いていきます。

再生紙の製造工程

01.収集と選別

まず、廃紙が集められます。廃紙は古新聞、使用済みの印刷物、使い古しのカートンなどが対象となります。これらの廃紙は収集されたあとインクやプラスチックなどの不純物を取り除くために選別されます。この選別プロセスにおいて、高品質の再生紙を生産するために紙の種類や品質が分類されていきます。

02.パルプ化

選別された廃紙は、水と化学薬品を使用してパルプ化されます。パルプ化のプロセスでは、廃紙を繊維に戻し、紙を再生するための原料として使用できる形状に変えていきます。

03.漂白と洗浄

パルプ化された紙繊維は、漂白処理が施され、紙の色を調整されていきます。漂白処理は、環境にやや負荷をかけることもあるため、一部の製造プロセスでは塩素を使用せず、環境に優しい漂白方法が採用されています。その後、紙繊維は洗浄され、不純物が取り除かれていきます。

04.紙の生成

漂白と洗浄の後、紙繊維は新しい紙として生まれ変わっていきます。この段階で、紙の質感や特性が調整され、最終製品に適した特性を持つ再生紙が生産されるのです。

05.ロールまたはシートへの製品化

生成された再生紙は、ロールまたはシートにカットされ、市場で販売される形状に加工されます。これらの再生紙製品は、さまざまな用途に使用され、エコフレンドリーな選択肢として広く提供されています。

再生紙はエコ?エコではない?

再生紙の製造工程は、新たな木材を切り倒す必要がないため、伐採に伴う森林破壊を減少させ、廃棄物の削減にも寄与しているといわれます。

ただし、再生紙の製造工程では多くのエネルギーと水の消費が伴うため、少なからず環境負荷が存在することも考慮する必要があります。

再生紙を選択するメリットとデメリットとは

森林を伐採し紙を生成するよりも、使い終わった紙を新たに再生紙として活用する方が良いのでしょうか。それとも再生紙製造工程で使用するエネルギーや水を考慮したとき、再生紙という選択肢にはデメリットもあるのでしょうか。

再生紙を活用する主なメリット

森林保護:再生紙は新たな木材を必要としないため、森林破壊を減少させます。

廃棄物削減:廃紙を再利用することで、廃棄物の削減に貢献します。

エネルギー節約:再生紙の製造には新品紙に比べてエネルギーが少なく済むことが多いです。

再生紙の主なデメリット・課題

品質の差:再生紙は素材の品質によってばらつきがあり、一部の用途には向かないことがあります。

エネルギーと水の消費:再生紙の製造にはエネルギーと水を消費するため、それ自体が環境負荷となります。 化学薬品の使用:再生紙製造においては、化学薬品が使われることがあるため、その影響も検討する必要があります。

化学薬品の使用:再生紙製造においては、化学薬品が使われることがあるため、その影響も検討する必要があります。

エコな選択をするために考えたいこと

最終的に、再生紙がエコな選択であるかどうかは、その使用用途や地域の状況によって異なります。以下の点を考慮することが重要です。

用途:再生紙は一般的に事務用紙や包装材などで使用されますが、高品質な印刷物や包装には新品紙が適している場合もあります。

製造プロセス:再生紙の製造プロセスは製造業者によって異なるため、環境に対する影響を比較するためにラベルや認証を確認することが重要です。 リサイクル:再生紙を使用した後、適切にリサイクルすることが再生紙の環境への貢献を最大化する手段です。

リサイクル:再生紙を使用した後、適切にリサイクルすることが再生紙の環境への貢献を最大化する手段です。

再生紙の選択と、「紙を使わない」という選択も

再生紙は森林保護や廃棄物削減の観点からエコな選択肢とされていますが、その利点と課題を正しく理解し、使用用途や製造プロセスに応じて適切に選択することが大切です。

当然ながら、再生紙だからといって大量に使用していい・粗末に扱ってもいいというものでもなく、多くのエネルギーが消費されているということを忘れてはなりません。

近年では、オフィスなどでも「紙を使わない」選択をする機会が増えてきていることでしょう。

また、石灰石などを使用した紙の代替品も登場してきており、それらをバランスよく、適切に使用していくことが、今後求められることとなるでしょう。

必要以上に紙製品を使用しないことや、よりエコな製造方法で作られた再生紙や代替品を使用することの積み重ねこそが、将来的な環境保護につながるということを私たち一人ひとりがしっかりと自覚しておかなければなりません。

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