米国 絶滅危惧種法制定から50年。人間は絶滅危惧種を救えたのか

絶滅危惧種法とは

アメリカの絶滅危惧種法(Endangered Species Act、ESA)は、1973年に制定された法律で、絶滅の危機に瀕している野生生物や植物の保護を目的としています。この法律は、アメリカ合衆国内で絶滅の危機に瀕した生物の保護・回復を促進し、生息地の破壊を防ぐことを目的としています。

絶滅危惧種法(ESA)は、以下の主な機能を持っています:

危機に瀕した生物の指定

絶滅危惧種法(ESA)は、絶滅の危機に瀕していると認識される動植物を指定し、その保護を確保します。これには陸上の動物、海洋生物、植物が含まれます。

生息地の保護

絶滅危惧種法(ESA)では、絶滅の危機に瀕した生物の生息地を保護し、回復させるための措置を講じることを制定しています。これには生息地の破壊を最小限にとどめるための規制も含まれています。

法的な制約と規制

絶滅危惧種法(ESA)は、指定された絶滅危惧種の保護のために、生息地の変更や環境への影響を制限する規定などを定めています。

危機に瀕した生物の回復計画

絶滅危惧種法(ESA)は、科学的な研究、モニタリング、生息地の復元などによって、絶滅の危機に瀕した生物の回復計画を策定しています。

絶滅危惧種法(ESA)の対象とは

Endangered Species(絶滅危惧種)

生息地において絶滅の危機に瀕していると認識されている生物が対象です。これには、生息数の急激な減少や生息地が失われてしまったものを含みます。

Threatened Species(絶滅のおそれがある種)

絶滅の危機には直面していないが、将来的に絶滅のおそれがあると判断されている生物が対象です。生息数が減少しており、生息地の変化や他の脅威に晒されている生物が含まれます。

Critical Habitat(重要な生息地)

絶滅の危機に瀕している生物の生息地を重要な生息地として指定し、これを保護することも重要視しています。生息地の保護は、生物が生存し、回復するために不可欠であるため、こうした自然保護活動が行われています。

絶滅危惧種法によって救えた動物たち

絶滅危惧種法(ESA)によって救えた動物たちは、実に300種近く。

その中でも代表的なのが、ハクトウワシです。

ハクトウワシは、法制定された1960年代にはわずか500羽ほどしかアメリカ国内にいないとされていた、絶滅危惧種でした。

当時アメリカで使用されていた農薬(DDT)が河川を汚染しており、そこに泳ぐ魚を食していたハクトウワシにも大きなダメージがありました。

この農薬を禁止したことや繁殖プログラムが制定されたことで、今では30万羽以上のハクトウワシが生息するまでに回復したのです。

このほかにもミシシッピワニやハヤブサ、フロリダマナティーなども絶滅危惧種法(ESA)によって種の回復を実現する成果を見せています。

年間4万種の絶滅の多くは、人間の活動に起因している現実

2021年、アメリカでは国内で23種の鳥類・魚類の絶滅を発表し、これを理由に絶滅危惧種法(ESA)の対象リストから除外したとしました。

アメリカは、土地が広大で生息する生物が多いということもありますが、その分絶滅していく生物も多く、2022年時点では世界で7番目に絶滅危惧種が多い国となっています。

絶滅の危機に瀕している生物は、なんと1913種。

生物が絶滅する理由はさまざまですが、現代では人間の活動によるところが大きな理由と言えるでしょう。

乱獲や開発、地球温暖化などがその代表例です。

ニュースなどで報じられる機会は少ないかもしれませんが、世界では今も1日に数十種の生物が絶滅、1年で4万種を超える生物が絶滅しているといわれています。

この数は、自然に起こるスピードの1000倍ともいわれており、この数字が私たち人間のしていることの重大さを物語っていると言えるでしょう。

アメリカだけでなく、日本も例に漏れず、環境課題への取り組みが急務とされています。 こうした悲しい現実から目を背けず、できることから着実に取り組んでいきましょう。

LIMEX
VIEW MORE