LIMEXが挑む未来——プラスチック問題を解決する可能性

地球温暖化やマイクロプラスチック、海洋ごみに至るまで、数多くの環境問題を引き起こす要因である、プラスチック。

この記事では、そのような「プラスチック問題」について深堀するとともに、プラスチックの代替素材として注目されている「LIMEX（ライメックス）」について取り上げます。

プラスチック問題とは

砂浜を埋め尽くすプラスチックごみ、毎年のように更新される最高気温など、近ごろ海洋汚染や気候変動などの「環境問題」が世界で問題となっています。

そのようなプラスチックに起因する環境問題、それが「プラスチック問題」なのです。

加工しやすく耐久性も高いプラスチックは、工業用品や日用品に至るまで、幅広い用途で普及。

こうして大量に生産されたプラスチックは、ごみ処理などのインフラが整備されていない国などでは不法投棄されることが多く、それがついに、生態系や私たちの生活に影響を及ぼすまでに深刻となってきました。

プラスチックが与える環境への影響について、大きく４つに分類して説明します。

プラスチックの主原料である、石油や天然ガス。

これらを焼却する際に発生するCO2（二酸化炭素）は、地球温暖化の要因である「温室効果ガス」のひとつであり、CO2は温室効果ガスのおよそ7～8割を占めているとされています。

プラスチックは処理だけでなく、製造過程においても大量のCO2を排出することから、製造から廃棄のおける全体の工程でのCO2排出量の削減が課題となっています。

現在では人体への影響を考慮して使われることは減りましたが、以前はプラスチックの製造には、安定剤として「鉛」が使用されていました。

製造過程における鉛の流出や、鉛が使用されたプラスチック製品の不法廃棄が、土壌汚染へとつながっています。

プラスチックに起因する海洋汚染には、おもに「海洋プラスチックごみ」と「マイクロプラスチック」があり、その影響は海洋生物のみならず、私たちにも影響を及ぼし始めています。

海を漂流するポリ袋やストローなどの誤飲、そして不法に廃棄された釣り糸や漁網などが体に巻き付いて身動きが取れなくなるなど、プラスチックごみが原因で死に至る海洋生物が多く発見されています。

劣化などで細かく砕けた5ミリメートル以下のプラスチックを「マイクロプラスチック」といい、これは海のみならず陸からも検出されています。

こうしたマイクロプラスチックを飲み込んだ海洋生物や、吸収した農産物を私たちが食べることによって及ぼす、人体への影響が懸念されています。

日本ではこの世界的なプラスチック問題を解決するため、政府・民間を問わず幅広い取り組みが行われています。

政府は2019年、プラスチックの再生利用や海洋プラスチックごみ対策を盛り込んだ「プラスチック資源循環戦略」を策定。

「2035年までに再生利用の倍増」、ごみ処理インフラが整備されていない途上国への「実効性のある対策支援」などが掲げられています。

企業においては、プラスチックを紙や他の素材で代替するなど、積極的に環境問題解決への取り組みを推進しています。

しかし2015年の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標である「SDGs」などの観点から、「紙による森林破壊」や「リサイクルできない紙問題」が、あらたな問題として提議されています。

そのような背景から、プラスチックや紙に代わる新素材として注目されているのが、石灰石を主原料とする「LIMEX（ライメックス）」です。

原材料の調達、および焼却におけるLIMEXのCO2排出量は、プラスチックにおけるそれと比べ、原材料の調達では約１/50、焼却については約58％の削減を達成しました。

再生利用においても、LIMEXは「プラスチックの代替製品から紙の代替製品へ」「「紙の代替製品からプラスチックの代替製品へ」というように、幅広く再生利用することが可能です。

すでにプラスチックの代替としてLIMEXは普及しており、実際にレジ袋や文房具、日用品に至るまで、幅広く採用されています。

自治体では、LIMEXの再生利用への取り組みを社会に発信しようと、神奈川県は「かながわアップサイクルコンソーシアム」というコンソーシアムを発足させています。

このような取り組みや活動が広がることで、LIMEXの認知度の向上、そして更なる用途拡大が期待できます。

私たちが持続可能な社会を残すためには、環境によいモノを知り、選択することが必要です。

「いつか」ではなく「いま」選択することが、環境問題の解決へとつながります。