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観光地や繁華街など各地で問題になっている、ゴミ問題
現在、日本だけではなく世界各国の観光地で、ゴミがポイ捨てされることが大きな問題となっています。
ポイ捨てされたゴミは、その場所の環境を悪化させるだけではなく、川や海に流れ着き海洋ゴミになってしまう恐れもあるため、ゴミ問題を解決する取り組みに注目が集まっています。
ゴミ問題の最近の例としては、富士山の見えるコンビニ付近でのゴミ問題。
コンビニの屋根越しに、立派な富士山の山頂が見えるとして、記念撮影に訪れる外国人観光客も絶えませんでした。
しかし、ゴミのポイ捨てや迷惑行為などが相次ぎ、富士山の目隠し幕の設置を行いました。
ゴミのポイ捨てはなぜ起きてしまうのか?
ゴミのポイ捨てをしてしまう人の心理としては、「誰も見ていないから」「他にゴミが捨てられていたから」「分別が面倒だから」などが挙げられます。
ほかにもゴミが捨てられていると罪悪感が薄れるため、ポイ捨てを行ってしまうと考えられるでしょう。
また、捨てても誰かが掃除してくれるだろうと考えている人も多いでしょう。
ポイ捨てされたゴミの中でも、プラスチックゴミは、海洋環境に悪影響をおよぼすとともに気候変動を招く恐れもあると考えられています。
プラスチックからは温室効果ガスが発生しているため、自然環境に捨てられて太陽の光にさらされて劣化することで、温暖化の原因となる温室効果ガスが生じてしまうのです。
ゴミのポイ捨てを防ぐためのさまざまな工夫
ゴミのポイ捨てが問題視される中、各地でポイ捨てを防ぐためのさまざまな工夫が行われています。
スマートゴミ箱の設置で、ゴミをあふれさせない
ゴミをポイ捨てしてしまう理由として「捨てる場所がない」「ゴミ箱がない(入らない)」などが挙げられます。
そこで、山梨県富士吉田市の観光地では、スマートゴミ箱と呼ばれるゴミ箱を設置して、ポイ捨てを減らす取り組みが行われています。
スマートゴミ箱とは、ゴミがたまると内部のセンサーが自動で検知してゴミを圧縮する機能を備えており、通常の5倍の量を収容できるゴミ箱です。
また、ゴミの量を遠隔で確認できるため、収集も効率的に行えるメリットがあります。
スマートゴミ箱の設置により、ゴミの散乱を防げるとして期待されています。
ゴミ捨てを有料化する取り組み
ゴミ問題は、単にゴミ箱を設置して街中にゴミがあふれないようにすればよいという話ではありません。
観光地では、観光客が持ち込んだゴミの処理費用が大きな負担となっているのです。
そこで考えられたのが、ゴミを持ち帰ってもらう取り組みだけではなく、ゴミ捨てを有料化する取り組みです。
観光地での食べ歩きなどにより生じたゴミを観光客が持ち帰り、ほかの自治体で処理することに疑問を持つ人もおり、ゴミ捨てを有料化する取り組みは、観光地で発生したゴミは観光地で処理することを実現できるとして期待されています。
心理学的な効果を利用した工夫
ゴミのポイ捨てを防ぐためには、心理学的な効果を利用した取り組みも有効です。
例えば、エコな交通手段として見直されている自転車は、現在移動だけではなく配送などにも活用されるようになってきています。
ゴミを捨てるためだけに自転車を止めたくないという心理を考え、乗ったままゴミを捨てやすいよう傾きをつけたデザインのゴミ箱を設置する取り組みが行われています。
また、ゴミ箱を見つけやすいように、足跡をデザインしたステッカーをゴミ箱の方向に向かって設置する取り組みを行っている地域もあるそうです。
ほかにも、ゴミ箱にバスケットゴールを取り付けた遊び心のある取り組みや、感謝の気持ちをペットボトルのラベルに記載する工夫なども行われています。
ポイ捨ては「注意しても減らない」?意識が変わればポイ捨ても減るかも
道を歩いていると「ポイ捨て禁止」の看板を見かけることはよくあるでしょう。
しかし、注意喚起の看板は逆効果になる恐れがあるといわれています。
「ポイ捨て禁止」の看板があることで、この地域ではゴミをポイ捨てする人が多くいると暗に示すメッセージとして受け取られてしまい、「ほかの人が捨てているなら、捨ててもよいだろう」とネガティブな同調を生じさせてしまうそうです。
ゴミの持ち帰りや、ゴミ箱の利用を促す工夫はもちろん、「ポイ捨てされたゴミがおよぼす悪影響」について理解を深めていくことが、ポイ捨てを抑止することにつながるでしょう。