FSC森林認証制度とは｜10の原則と認証製品を使うメリット

みなさんは世界で1年間に減少する森林の面積をご存じでしょうか。

環境省によると2000年～2010年までの期間、1年間で平均520万ヘクタールの森林面積が減少したとされています。

これは1分間に東京ドーム2個に相当する森林面積が減少しているということで、その被害は甚大なものであることがうかがえます。

FSC（森林認証制度）とは

FSC森林認証制度とは、森林資源を適切に管理し持続可能な森林利用を実現することを目的とした制度で、1993年にカナダで設立されたFSC（森林管理協議会）が評価・認証しています。

FSC認証には「FM認証」と「CoC認証」の2つの形態があり、それぞれに評価対象が異なります。

FM認証は「森林管理」の認証で、10の原則と70の基準、そして約200にものぼる細かい指標による規格が設けられており、これらの規格基準に大きな不適合がなければ認証を取得することができます。

FSC森林管理の10原則 (FSC-STD-01-001第5版)

2021年9月時点では日本の国土の約6倍に相当する面積（2億2800万ヘクタール）以上の森林が認証されています。

CoC認証は「管理連鎖（サプライチェーン）」の認証で、FM認証された木材が製品となる過程で不適格の木材が使用されないよう、管理する認証システムです。

CoC認証の対象となる組織は、伐採業者から製造業者、小売業者など多岐にわたり、2021年9月時点では4万9,000件ものCoCが認証されており、FSC認証の木材で製造された製品にはFSCロゴマークが表記されています。

森林面積が減少することで、私たち生物や地球環境にはどのような影響があるのでしょうか。

森林減少による影響のひとつに「疫病の蔓延」があります。2005年以降にアメリカ北東部で見られるようになったライム病（高熱や顔面麻痺、心筋炎に至る病気）の原因には、大規模な森林伐採があったとされています。

これは森林伐採によって増加したシロアシネズミのウイルスがマダニに感染し、そのマダニが人間を噛むことによってライム病を発症します。

その他にも森林伐採によって食糧や生息地が失われ、スマトラサイやジャガーといった野生生物が絶滅の危機に瀕しています。

森林が減少すると、私たちが排出する二酸化炭素の排出量と森林が取り込む吸収量のバランスが崩れ、大気中の二酸化炭素濃度が高まることによって、地球温暖化の助長へと繋がります。

地球温暖化は異常気象や干ばつといった問題を発生させ、オーストラリアでは、地球温暖化によって乾燥した空気が原因で発生する自然火災が多発しています。

現在、市場にはFSC認証の製品が数多く流通しています。代表的な製品には「コピー用紙」や「紙パック」、「トイレットペーパー」などがあり、どれも私たちの身近に存在する製品だといえます。

FSC認証製品を使うことのメリットとしては、「野生生物」や「森林」を保護することができ、違法伐採や環境破壊に加担せず、環境保全に貢献することができます。

また浜松市といった一部の自治体では、家の建材にFSC認証木材を使用すると、一定の使用量に対して補助金を受けることができます。

企業においても、FSC認証の製品を使用することで消費者によい印象を与えることができますし、投資家からもESGに配慮した企業であるとして投資を受けやすくなる可能性があります。

FSC（森林管理協会）には、世界自然保険基金や米国野生生物保全協会といった有力なパートナーが存在しており、組織は会員の意思決定によって運営されています。

FSCの認証基準は高い透明性を有しており、森林の状態や管理状況を定期的にチェックするなど世界で一貫した規格を維持しています。

私たちがFSCロゴマークのついた製品を購入することで、FSCはもとより伐採から小売りまでのサプライチェーンに携わる企業を支援することができます。

FSCに認証された木材の需要が高まれば、市場規模が拡大し、認証木材を取り扱う企業も増加するでしょう。

消費者の小さな行動が大きな力となり、企業を動かす原動力となります。

環境にやさしい選択肢を知り、行動する。それが私たちの未来を守る第一歩となります。