近年、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が問題となっています。
プラスチックは自然に分解されないため、川や海へ流れてしまうことで生態系を破壊してしまうおそれがあるのです。
さらに、最近では人の体からもマイクロプラスチックが見つかっています。
目次
マイクロプラスチックが私たちの体内にも?!
血液中のマイクロプラスチックが国内でも見つかった
人の血液からのマイクロプラスチックの検出は、以前にもオランダで事例がありましたが、国内ではこれまで検出されませんでした。
今回、東京農工大の高田秀重教授らによって行われた研究によって、国内でも初めて人体にマイクロプラスチックが含まれているとわかったのです。
心臓にもマイクロプラスチックが…
2023年7月の「Environmental Science & Technology」に掲載された研究報告によると、心臓手術を受けた人の心臓から、マイクロプラスチックが発見されています。
また、マイクロプラスチックが検出されたのは、1人からではありません。
心臓手術を受けた15名の患者を調査したところ、5つの組織から9種類のマイクロプラスチックが見つかっています。
マイクロプラスチックはどうやって人体に入る?
実は、マイクロプラスチックは食物や空気中に含まれており、その食物を人が摂取することで人体に入ってしまいます。
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、5mm以下の小さなプラスチックの粒子を指しています。
プラスチックは、ペットボトルや飲食の容器、レジ袋など身近なところにたくさんあります。
プラスチック製品は、自然には分解がされません。
そのため、適切に処分せず道端に捨ててしまうと、最終的に川や海にたどり着き、クジラやカメ、アザラシ、イルカなどの海洋生物が誤って食べてしまう事故が発生してしまいます。
私たち人間もマイクロプラスチックを摂取している
マイクロプラスチックは、ペットボトルなどのプラスチック製品だけではなく、海産物や食塩、さらには空気中にも含まれています。
そのため、実は、私たち人間も知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを摂取しているかもしれません。
海産物
海塩にはマイクロプラスチックが含まれていると数年前の研究によって発見されていましたが、調味料として利用している塩に含まれているかまでは、判明していませんでした。
しかし、近年の研究結果から、世界の食塩の9割にマイクロプラスチックが含まれているとわかったのです。
食塩
海塩には、マイクロプラスチックが含まれていると数年前の研究によって発見されていましたが、調味料として利用している塩に含まれているかまでは、判明していませんでした。
しかし、近年の研究結果から、世界の食塩の9割にマイクロプラスチックが含まれているとわかったのです。
ペットボトルの中
学術誌の「米国科学アカデミー紀要」に掲載されている論文によると、ペットボトル入り飲料水1Lには、約24万個の粒子が含まれています。
粒子のほとんどがマイクロプラスチックであると判明しました。
空気中
廃棄されたプラスチック製品が海にたどり着き、マイクロプラスチックとなって浮遊しているのはイメージがつく人も多いでしょう。
しかし、実は空気中にもマイクロプラスチックは含まれています。
フランス沿岸部を調査したチームの研究によると、年間14万トンものマイクロプラスチックが大気中に放出されていると報告があります。
人は、1日に約2万回呼吸をするといわれているため、空気中から摂取するマイクロプラスチックの量は、食べ物や飲み物から摂取するよりも、多いと考えられるでしょう。
私たちはどのくらいのプラスチックを摂取しているのか
WWF(世界自然保護基金)の発表によると、私たちは1週間に5gものマイクロプラスチックを空気中や食物から摂取しています。
5gのマイクロプラスチックは、およそクレジットカード1枚分です。
1年になると、消防隊員のヘルメット1個分にもおよぶとも言われており、その影響が心配されます。
私たちが捨てたプラスチックはやがて私たちを蝕んでしまう
環境を保全するとともに、私たち自身がプラスチックによる被害を受けないためにも、ゴミ排出(マイボトル持参や分別など)や商品選択(プラスチック製のものを使わないなど)の積み重ねが重要です。地球上に暮らす生き物や私たち人間の未来を守るためにも行動を起こさなければなりません。