食物連鎖によって有害物質が蓄積される?|生物濃縮とは

私たち人間が排出したごみによって、多くの生物が被害を受けていることは、目を背けてはならない事実。
しかし、例えば、遠い海の中で生物が受けている被害については、自分たちに直接影響を及ぼす問題ではないのでは?と考えていないでしょうか。

言うまでもなく、決してそんなことはありません。
地球上で起こっている問題の多くは私たち人間の活動に起因するもので、それは巡り巡って、必ず私たち人間に返ってくるのです。
この記事では、「生物濃縮」という現象にフォーカスして、環境問題へ向きあい行動することの重要さを見ていきましょう。

生物濃縮とは

生物濃縮(せいぶつのうしゅく、Biomagnification)は、環境中に存在する有害な物質が食物連鎖を通じて生物間で増加する現象のことをいいます。
上位の捕食者が下位の捕食者よりも高い濃度の有害物質を蓄積することで、食物連鎖を通じて毒物が次第に増加していくことによって、最終的には最上位の捕食者に高濃度の毒物が蓄積される可能性があります。
農薬などの人工的な成分について、廃棄の際には微量の割合であったとしても、自然の中で分解されない(されにくい)ことで、最終的に生物にとって危険な濃度にまで上昇してしまうことなどが問題としてあげられています。

一般的に、生物濃縮は以下のようなメカニズムによって起こっています。
①環境中に有害物質が放出される
例えば、農薬、重金属、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシンなどの有害物質が水中や土壌に放出されることがあります。
②下位の生物が有害物質を摂取
環境中の水や食物として有害物質を摂取する下位の生物がいます。これらの生物は比較的低い濃度の有害物質を含んでいる可能性があります。
③上位の生物が下位の生物を捕食
上位の捕食者が下位の生物を捕食することによって、有害物質は食物連鎖を通じて移動します。
④有害物質の蓄積
毒物は捕食者の体内で分解されずに蓄積されることがあります。捕食者が複数の下位の生物を摂取するたびに、有害物質はさらに蓄積されます。

このような過程を繰り返すことによって、最終的には最上位の捕食者において非常に高い濃度の有害物質が蓄積される可能性が懸念されています。
この現象は生態系において生物の健康や生態系全体の安定性に影響を及ぼす可能性があり、環境保護や有害物質の管理に関する重要な問題とされています。

海洋生態系の頂点にいるクジラへの悪影響、そして…

生物濃縮が及ぼす影響について、クジラを例に考えてみましょう。
クジラは海洋生態系の頂点にいる生き物。
最初は微量だったかもしれない人工物は、食物連鎖の末、クジラにたどり着いたとき、その生態に大きく影響を与えるまで濃縮されてしまうのです。
クジラの場合、特に母から子へ移行する化学物質の割合が高いことも問題視されており、さらにクジラ類の寿命も長いため、生物濃縮による影響は短期間で収束するものではないとされています。

こうした食物連鎖の頂点にいるのが、私たち人間。
クジラだけではなく多くの海の生き物を食している私たちにとって、もはや他人事ではないのです。

生物濃縮を懸念する、北極圏に暮らす人々

北極圏で暮らす人々にとって、海の生き物は貴重な食糧でもあります。
しかし近年では、北極圏の生態に、農薬などの生物濃縮がみられるようになっています。
現地の人々は農業を行っていないため、当然農薬は使用していませんが、地球上の別の場所で廃棄された農薬が、食物連鎖を通して北極圏に暮らす人々の暮らしを脅かしているのです。

「ほんの少しだから大丈夫」?…決してそんなことはありません

現在、世界でさまざまな環境問題が叫ばれていることは、皆さん知っての通りです。
しかし、「ちょっとくらい大丈夫」「今回だけは」と見過ごしていることはないでしょうか。
こうした小さなことが、今回ご紹介した生物濃縮などによって、大きな問題となり、そしてそれが必ず私たち人間に返ってくることを忘れてはなりません。

もしあなたが「ほんの少しだから大丈夫」と思ってしまったとき、少し立ち止まって行動を変えることが、地球の未来を守っている、ということを忘れないでくださいね。

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