絶滅危惧種・バンクーバーマーモットはなぜ再生したのか

雪崩が起きるような場所に巣を作って生息しているバンクーバーマーモット。

希少種であり、個体数が激減して絶滅危惧種に指定された動物でもあります。

現在は、保護活動家や財団の懸命な活動により、個体数を徐々に増やしつつありますが、まだまだ絶滅の危機を脱したわけではありません。

今後も、保護活動を続け、野生の個体数を増やしていく必要があるでしょう。

21世紀のはじめ、バンクーバーマーモットは22匹しかいなかった

21世紀のはじめごろに行われた調査では、野生のバンクーバーマーモットは22匹しか確認できませんでした。

この調査報告を受けて保護活動家たちは、野生のバンクーバーマーモットは1年以内に絶滅してしまうと予想していました。

バンクーバーマーモットとは

バンクーバーマーモットとは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあるバンクーバー島に生息する動物で、茶色い毛皮をもち鼻先や胸に白い部分が見られるのが特徴で、大きなイエネコほどの大きさになるリスの仲間です。

近縁種には、白っぽい毛皮をもつシラガマーモットがいます。

なぜ絶滅の危機にあったのか

15年ほど前、バンクーバーマーモットが絶滅の危機に陥ったのは、クーガーやオオカミ、イヌワシ、ピューマなどによる捕食と、地球温暖化による積雪量の減少が原因と考えられています。

活動家たちの努力が功を奏した15年

22匹まで激減した野生のバンクーバーマーモットを増やす取り組みが行われるようになりました。
人間が育てたマーモットを野生に戻して増やす取り組みが進められましたが、当初は飼育環境下で交配がうまくいかなかったり、野生に返したマーモットが冬眠せず野生の捕食者に殺されてしまったりと悪戦苦闘を繰り返していました。
そこで、マーモットたちが捕食者に捕まらないよう、人間が24時間体制で監視する仕組みを作ります。

また、マーモットのオスとメスが一緒に冬眠すると春に子どもが生まれるため、まずは相手のいないマーモットを探すことから始めたそうです。
野生に返すときも、バンクーバー島・ワシントン山にある生息地に1年間ほど放してから、本来の自然に戻す段階を踏みました。
ワシントン山であれば、研究者が状況を確認でき、マーモットに捕食者を近づけないようにできたためです。

諦めることなく保護活動を続けた結果、現在、野生のバンクーバーマーモットは、200~300匹ほどにまで増えました。
多いときは、野生環境で毎年150匹ほどの子どもが生まれているそうです。

人間の活動が種を絶滅の危機にさらしている

バンクーバーマーモットのように、人間の活動の影響で地球温暖化や海水の汚染が進んでしまったことにより、絶滅の危機にさらされるあるいは絶滅してしまう動植物は少なくありません。

たとえば、クロサイは、密猟が原因となり絶滅の危機に瀕しています。

動物園でよく見かけるトラも、実は絶滅危機のある動物です。

トラは20世紀の初頭に世界で10万頭ほど生息していましたが、狩猟や密猟が原因で現在は3000頭ほどに減ってしまったといわれています。

サンゴ礁の生態系を維持するタイマイは、美しい貝殻を求める密猟者が原因となり、個体数が前世紀に80%も減少してしまいました。

バンクーバーマーモットはまだ絶滅の危機にある

バンクーバーマーモットは、現在個体数が回復傾向にありますが、まだまだ人間の助けなしには個体数を維持できる状態ではありません。
現在もバンクーバーマーモットを野生に返すとともに、草地を守るための樹木伐採や生息地から離れた場所に迷い込んだバンクーバーマーモットを追跡して、生息地に返す活動などの活動を続けています。
財団は、野生環境で毎年150匹の子どもが生まれることを目指しています。

かわいい動物たちも実は絶滅の危機にあるのかもしれない

動物園でよく見かけるかわいい動物たちも、実は野生で絶滅の危機に瀕している可能性があります。
さまざまな動物の絶滅は、人間が大きくかかわっていることも多くあります。
土地の開発や汚染、密猟、外来種の持ち込み、地球温暖化による気候変動など、人間そのものの行いや、人間が変えた環境により多くの動物が絶滅の危機に瀕しているのです。
野生動物の生態系を守るためにも、密猟により作られた製品を買わない、地球温暖化を侵攻させない取り組みを行うなど、一人ひとりができることを実行することが大切です。

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