SDGsに取り組む企業の事例―環境保全が企業ブランドを左右する時代へ

SDGsへの取り組みは、企業ブランドに大きな影響を与えます。
企業に対するイメージアップをはじめ、新しい市場の開拓や、優秀な人材の確保、さらには企業利益につながるなど、さまざまなメリットがあるのです。
現在では、「企業の社会的責任」だけでなく、ブランディングや経営戦略の一部としても重要視されています。

SDGsに取り組む日本企業の事例

NSSスマートコンサルティング株式会社は2025年に「製造・インフラ業の環境活動・SDGsへの取り組み」について調査を実施しました。
その結果、70%以上が環境問題やSDGsに関する取り組みを進めていると報告されているのです。

取り組んでいるまたは予定している内容(複数回答可能)で最も多い活動は「二酸化炭素排出削減」であり、46.6%の企業が挙げています。
次いで「廃棄物削減・リサイクル活動」が45.7%、そして「再生可能エネルギーの導入」が36.9%と続きます。

日清食品株式会社

日清食品は、カップラーメンやインスタントラーメンなどを製造・販売する食品メーカーです。

SDGsへの取り組みとして、以下のような活動をしています。
● 国内外の被災地への食糧支援
● 健康志向に対応する商品の販売
● 途上国の子供に対する給食の支援
● 環境に配慮したパーム油の使用
● プラスチック原料の削減

プラスチック原料の削減のため、2021年にはふた止めシールを廃止しています。
廃止に伴い、シールを使用しなくても、ふたを閉められるようにタブが2つある新しい形状のふたへ変更されました。
この変更は、発売開始から50年目にして初めてのもので、ふた止めシールを廃止することによって、年間33トンのプラスチック削減が見込まれています。

ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)

ユニクロは、日本最大級のファッションブランドです。

SDGsへの取り組みとして、以下のような活動をしています。
● 人権侵害のない原材料の使用
● 動物福祉に配慮した原材料の使用
● 環境への負担が少ない原材料の使用
● 商品の回収とリサイクルやリユース
● 国内被災地や女性への衣料支援
● 国外への衣料支援
● 難民の雇用

販売した商品を店舗で回収し、リサイクルやリユースする取り組みは「RE.UNIQULO」と呼ばれています。
たとえば、回収したダウンを新しい衣類の素材として利用したり、回収した衣類を難民キャンプや被災地へ届けたりすることで、資源を有効に活用しているのです。

株式会社ファンケル

ファンケルは、無添加化粧品や健康食品などを取り扱う企業です。

SDGsへの取り組みとして、以下のような活動をしています。
● 植物由来容器や再生由来プラスチックの導入
● 化粧品容器の回収とリサイクル
● 二酸化炭素排出量の削減
● 持続可能なパーム油の使用
● 学生を対象としたSDGs講座

化粧品容器の回収とリサイクル活動は、顧客のニーズに応える形で「FANCLリサイクルプログラム」として2021年に始まりました。
全国にある直営店で使用済み容器を回収し、グループ会社や協力会社と連携して、植木鉢の素材として再利用する活動です。

当初は回収する店舗が限られていましたが、後に全国にある直営店へ拡大され、2023年8月時点で累計14万本以上の容器を回収し、資源の有効活用に取り組んでいます。

環境への取り組みが企業ブランドに与える影響

NSSスマートコンサルティングによる「製造・インフラ業の環境活動・SDGsへの取り組み」に関する調査から、企業ブランドに与える影響として、以下のような点が示唆されています。

環境問題やSDGsへの取り組みを始めたきっかけとしては、次のような回答が挙げられていました。
● 気候変動や地球温暖化への懸念
● 会社のイメージの向上を図るため
● 取引先かの希望
● 受注競争で優位になるため
● 取り扱い商品が環境対応製品のため

このような回答から、企業が事業リスクを回避しながら、企業価値の向上を図ろうとしていることが読み取れると解説されています。

また、環境問題やSDGsに関する活動をしない場合に考えられるリスクとしては、次の回答が上位を占めました。
● 企業のブランド価値低下
● 法規制への対応が遅れる
● 人材獲得の困難・離職率の低下

こういった結果から、SDGsに関する活動は、単なる「企業の社会的責任」だけでなく「経営戦略」の一部として扱われていることが読み取れるとされています。

消費者と企業、双方の意識が求められる

NSSスマートコンサルティング株式会社が行った調査の結果、70%以上が環境問題やSDGsに関する取り組みを進めていると報告されています。
企業は「社会的責任」だけでなく、事業リスク回避や、企業価値向上といった経営戦略の一部として扱われているとされています。

こうした企業の取り組みを、一過性とせず継続的な活動へとつなげ、SDGsに配慮した消費活動を実現するためには、消費者と企業双方の意識が求められるのです。
企業が価値向上を図ろうとするうえで、消費者のSDGsに対する意識は、企業の意思決定に影響し、活動やサービス内容にも反映されていきます。

持続可能な社会の実現に向けて、消費者も企業も環境への意識を高めることが大切です。

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