COP28とは?気候変動サミットで生まれた“UAEコンセンサス”を解説

気候変動対策の国際的な枠組みとして毎年開催される「COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)」。
2023年にアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開かれた「COP28」では、これまでにない画期的な合意がなされました。
それが「UAEコンセンサス」です。

COP28とは何か

COP28とは、「第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties)」の略称であり、2023年にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されました。
COPは1995年から毎年開催されており、気候変動に関する国際的な協議の場です。
各国の政府代表や専門家、市民社会の関係者が集まり、地球温暖化を抑制するための行動について話し合います。

近年、気候危機はますます深刻化しており、世界中で異常気象や自然災害が頻発しています。
こうした背景のもと、COP28では化石燃料の取り扱いや「ネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)」の実現に向けた具体的な合意が求められていました。

COP28で合意された“UAEコンセンサス”とは

COP28の大きな成果の一つが、「UAEコンセンサス(UAE Consensus)」と呼ばれる合意です。
これは、会議の議長国であるUAEがまとめた最終合意文書で、世界の脱炭素化への方向性を示しています。

UAEコンセンサスの主なポイント

2023年にドバイで開催されたCOP28では、国連気候変動会議の歴史において重要な転機となる「UAEコンセンサス」が採択されました。
この合意は、気候変動対策を加速させるための具体的な道筋を示すものであり、世界各国が共通の目標に向かって進む上での新たな基盤となっています。

1. 化石燃料からの「脱却」に初めて言及

UAEコンセンサスの中で注目されたのは、国連の気候変動会議史上初めて、すべての国が「化石燃料からの脱却(transitioning away from fossil fuels)」に合意した点です。
これまで、石炭の削減や再生可能エネルギーの推進については触れられてきましたが、「化石燃料全体」への言及は画期的です。

ただし、この「脱却」という表現には法的拘束力がなく、各国の努力目標として位置づけられています。
そのため、実際の行動が伴うかどうかが今後の焦点です。

2. 再生可能エネルギーの導入加速

2030年までに世界の再生可能エネルギーの導入量を3倍にする目標も盛り込まれました。
太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを活用することで、二酸化炭素の排出を抑え、持続可能な社会を目指します。

3. エネルギー効率の改善

エネルギー消費の無駄をなくす「エネルギー効率改善」についても、2030年までに倍増させるという目標が合意されました。
これは、電力の使用量を抑えつつ、同じ効果を得るための取り組みです。
たとえば、建物の断熱性能を高めたり、省エネ機器を導入したりすることが該当します。

4. ネットゼロ達成に向けた道筋

UAEコンセンサスでは、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を実質的にゼロにする「ネットゼロ」の目標についても再確認されました。
すでに多くの国がこの目標を掲げており、日本でも2050年カーボンニュートラルを目指す方針が示されています。

進まない途上国支援と今後の課題

一方で、途上国への資金援助については、依然として十分な合意が得られていません。
先進国は過去に「2020年までに年間1,000億ドルの気候資金を提供する」と約束しましたが、その実現は遅れています。
UAEコンセンサスでも新たな資金メカニズムへの具体的な取り組みは明示されておらず、国際的な不平等が課題として残りました。

また、各国の温室効果ガス削減目標(NDC)が実際の削減に結びついているかどうかを評価する「グローバル・ストックテイク」も実施されました。
ここでは、現在の世界の取り組みがパリ協定の目標(産業革命以前と比べて気温上昇を1.5℃に抑える)から大きく遅れていることが明らかになっています。

未来へ向けて、私たちができること

COP28のUAEコンセンサスは、これまでの国際合意の中でも意欲的な内容を含んでいます。
とりわけ、「化石燃料からの脱却」という表現は、時代の転換点を象徴する言葉といえるでしょう。

しかし、その実現には各国の政治的意思と、企業・市民の協力が不可欠です。
再生可能エネルギーの利用拡大、省エネの意識改革、環境に配慮した製品の選択など、私たち一人ひとりにもできることがあります。

気候変動は、未来世代の命にも関わる重要な課題です。
UAEコンセンサスをきっかけに、持続可能な社会に向けた一歩をともに踏み出していきましょう。

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