琵琶湖を守れ!マザーレイクゴールズ(MLGs)で水の未来を守ろう

日本最大の淡水湖である琵琶湖は、近畿圏約1,450万人の暮らしを支える貴重な水源です。

しかし近年、温暖化などの気候変動により、冬季に起こる「全層循環」が確認されない年が発生し、湖底の酸素不足が懸念されています。

琵琶湖の環境変化は単なる地域問題ではありません。地球規模の環境問題を映し出す「地球環境を見通す窓」として、私たちに警鐘を鳴らしているのです。

1970年代の石けん運動:県民が立ち上がった歴史的転換点

琵琶湖保全の歴史を語る上で欠かせないのが、1970年代後半に起こった「石けん運動」です。

1977年、琵琶湖で赤潮が大発生し、社会問題となりました。

原因の一つとされたのが、当時の合成洗剤に含まれていた「りん」という成分でした。

この危機に対し、滋賀県民は自発的に立ち上がりました。

「りん」を含まない石けんを使おうという草の根運動が広がり、県民の声が行政を動かしたのです。

この運動の盛り上がりを受け、1980年7月1日、「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」が施行されました。

これは全国初の画期的な条例であり、この日は現在「びわ湖の日」として制定されています。

石けん運動は単なる洗剤の切り替えではなく、県民一人ひとりが環境保全の主体者となった象徴的な出来事でした。

この精神は、40年以上経った今も滋賀県の環境政策の基盤となっています。

マザーレイクゴールズ(MLGs)とは何か

2021年7月1日、「びわ湖の日」制定40周年を記念して、新たな目標「マザーレイクゴールズ(MLGs)」が策定されました。

MLGsは「琵琶湖版のSDGs」とも呼ばれ、琵琶湖を切り口として2030年の持続可能な社会実現を目指す目標です。

国連のSDGsが世界規模の目標であるのに対し、MLGsは琵琶湖という身近な存在を通じて、一人ひとりが具体的な行動を起こせるよう設計されています。

特筆すべきは、MLGsが「トップダウン」ではなく「ボトムアップ」で作られた点です。

2012年から開催されてきた「マザーレイクフォーラムびわコミ会議」で、10年間にわたり集められた県民の「びわ湖との約束」が土台となっています。

「ゴミ拾いを頑張ります」「子どもたちと琵琶湖で遊びます」といった一人ひとりの思いが、13のゴールへと形作られたのです。

MLGsが掲げる13のゴール

MLGsは、琵琶湖流域の自然環境に関する6つのゴール(Goal 1~6)、暮らしに関する6つのゴール(Goal 7~12)、そして全体を貫く1つのゴール(Goal 13)で構成されています。

自然環境に関する主なゴールには、「清らかさを感じる水に」「豊かな魚介類を取り戻そう」「多様な生き物を守ろう」などがあり、暮らしに関するゴールには「温室効果ガスの排出を減らそう」「生業・産業に地域の資源を活かそう」「地元も流域も学びの場に」などが含まれます。

これら13のゴールは、日本の伝統色を用いた円形のロゴマークで表現され、中心に琵琶湖を配置。

このデザインには、「琵琶湖は暮らしを映す鏡」という理念が込められています。

石けん運動からMLGsへ:40年を超える取り組みの進化

石けん運動以来、滋賀県と県民は40年以上にわたり琵琶湖保全に取り組んできました。

この歴史的な活動がMLGsの基盤となり、現代の課題に対応する形で進化しています。

かつては「りん」の削減という明確な目標がありましたが、現在の環境問題はより複雑化しています。

気候変動、生物多様性の減少、プラスチックごみ問題など、多様な課題に対応するため、MLGsは包括的な13のゴールを設定しました。

重要なのは、石けん運動の精神、すなわち「県民主体の行動」という理念が今も受け継がれていることです。

MLGsは2023年3月末時点で1,425者の賛同を得ており、ワークショップやイベントを通じて多くの県民が参加しています。

私たちにできること:MLGsへの参加方法

MLGsへの参加は難しくありません。

公式ウェブサイト「MLGs WEB」では、賛同登録を受け付けており、個人でも企業でも参加可能です。

具体的な活動としては、地域の清掃活動への参加、湖魚料理を楽しむこと、環境に配慮した商品の選択、琵琶湖での自然体験など、日常生活の中でできることがたくさんあります。

また、MLGsのロゴマークを使った普及活動も推奨されています。

「体を動かして代謝を上げ、空調に頼らない身体づくりをしよう」というコンセプトで作られた「MLGs体操」や、各地で開催される学習会やワークショップも充実しているのが特徴です。

琵琶湖から世界へ、持続可能な未来を

1970年代の石けん運動から始まった琵琶湖保全の取り組みは、マザーレイクゴールズという新たな形で進化を続けています。

県民の自主的な行動から生まれたこの運動は、今や国内外から注目される持続可能な社会づくりのモデルです。

琵琶湖の環境を守ることは、私たちの暮らしを見直し、地球環境を守ることにつながります。

一人ひとりの「びわ湖との約束」が、やがてSDGsという世界目標の達成に貢献していく。

それがMLGsの目指す未来なのです。

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