雪不足でスキー場が消える?地球温暖化が日本の雪に与える影響

冬になるとスキーやスノーボードを楽しむために山へ向かう人は多いでしょう。 しかし近年、シーズン序盤に雪がほとんどない状態が続くスキー場のニュースが増えています。 これは気のせいではありません。 地球温暖化によって日本の雪環境が着実に変化しており、日本のスキー場の未来に関する深刻な研究結果も出始めています。

日本の降雪量は長期的に減少している

まず現状を数字で確認しましょう。 気象庁が更新した2021年の平年値(過去30年間の気象データの平均値)によれば、全国多くの地点で年間降雪量の平年値が旧平年値より減少しており、中には30%以上も少なくなっていた地点もありました。 「世界でもっとも雪深い都市」とされる青森市を擁する青森県でも、2020年の年間降雪量の平年値が2010年の平年値より減少していることが気象庁のデータで確認されています。 かつては豊富な雪を誇っていた地域でさえ、長期的な雪の減少は避けられない傾向になっています。 一方で「最近、大雪のニュースも多い気がする」という方もいるかもしれません。 実はこれも温暖化と無関係ではありません。 気温が上がることで大気中の水蒸気量が増え、短期間に一気に降る「ドカ雪」が起きやすくなっています。 つまり「年間の総降雪量は減るが、一度に降る量は増える」という矛盾した変化が同時に進んでいるのです。

4℃上昇で安定営業できるスキー場は全国でたった7か所に

北海道大学と森林総合研究所の研究では、気候変動対策をほとんど行わず、気温が今より4℃上昇した場合を想定して、雪の積もり方をシミュレーションしました。 その結果、自然の雪だけで年間100日以上、安定して営業できるスキー場は、全国でわずか7か所になると予測されました。 営業できる期間が限られるスキー場も26か所と、日本のスキー産業は壊滅的な影響を受ける可能性が示されています。 パリ協定の基準に合わせて温暖化を2℃上昇程度に抑えた場合でも、自然の雪だけで年間100日以上営業できるスキー場は53か所、営業できる期間が限られるスキー場は108か所と予測されています。 現在349か所のスキー場があることを考えると、それでも3分の2以上が消えてしまうという試算です。

残るのは「北海道と長野の一部」だけ

研究では、相対的に存続可能性が高い地域として北海道や長野県など、高緯度・高標高の地域が挙げられています。 逆に、低標高・地方部のローカルスキー場は最も早く影響を受けます。 将来、存続可能性が高い限られたスキー場に需要が集中することで、高価格化や混雑が生じる一方、地域住民や子どもたちがスキーに触れる機会が失われていくと危惧されているのです。 スキー場の消滅は単なる娯楽の問題ではなく、地域経済や地域文化の喪失にもつながる深刻な問題です。

気温4℃上昇とはどういう状態か

「気温が4℃上昇」というと、少しのことのように聞こえるかもしれません。 しかし、これは19世紀の産業革命前と比べての平均気温の上昇のことで、地球全体の環境を根底から変えてしまうレベルの変化です。 気象庁の気候変動予測によれば、気温が約4℃上昇した場合、北海道の一部を除く日本全国で積雪量が約7割減ると見込まれています。 2℃上昇の目標はパリ協定で定められた上限であり、多くの科学者はそれでさえ「かなり危険な水準」とみなしています。 現在、世界の平均気温はすでに産業革命前と比べて約1.5℃上昇しており、パリ協定の上限をすでに突破しようとしているのが現実です。

まとめ:「温暖化を2℃以内に抑える」ことがスキー場を守るカギ

北海道大学・森林総合研究所の研究は、一つの明確なメッセージを私たちに届けています。 それは、地球温暖化をできるだけ2℃程度に抑えることが、日本のスキー観光の未来を守るために重要だということです。 2℃上昇シナリオと4℃上昇シナリオでは、存続可能なスキー場の数が53か所と7か所というまったく異なる結果になります。 気候変動の抑制いかんによって、スキー場の命運は大きく分かれるのです。 CO₂排出を減らす一人ひとりの行動──省エネ、再生可能エネルギーの選択、移動手段の見直し──は、「将来のスキー場を守ること」とも直接つながっています。 雪山の景色と、そこで遊ぶ子どもたちの笑顔を未来に残せるかどうかは、私たちが今からどう動くかにかかっています。
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