SDGsの身近な例とは?9つの個人でできる取り組み

近ごろニュースや新聞でよく見かける「SDGs」という言葉ですが、みなさんSDGsの意味はご存じでしょうか。

SDGsとは「経済・社会・環境」において、持続可能な社会を実現するために掲げられた、17の目標と169のターゲットで構成された国際目標です。

国際目標と聞くと、政府や企業の目標のように感じますが、私たち個人でもこの目標に取り組むことができます。

この記事では、私たちが個人で取り組めるSDGsへの取り組みを9つに分けてご紹介します。

個人でできるSDGsへの取り組み

ワークライフバランスへの理解

今では男性の育休取得を推奨する企業も増えましたが、会社の規定上では育休の取得が可能であっても、上司や社内の雰囲気によって取得が困難であったり、嫌がらせを受けるという被害が問題となっています。

厚生労働省による調査によると、育休制度を利用しようとした男性の26.2%が、育休取得を理由とした嫌がらせである「パタニティーハラスメント」を受けていることが判明しました。

2019年度の男性の育休取得率は7.48%でしたが、翌年の2020には12.65%にまで増加しました。しかし世界水準で見ると、いまだ低い割合にあるといえるでしょう。

男女に関わらず子育てをしている社員が、周囲の目を気にせず子育てに専念できる雰囲気をつくることは、SDGsの目標8である「働きがいも経済成長も」への貢献となります。

いじめや差別をしない

世界経済フォーラム(WEF) が発表している、各国の男女格差を表す「ジェンダー・ギャップ指数」において、2021年の日本の順位は世界156か国中120位と、先進国の中でもっとも低い水準となりました。

男女雇用機会均等法では、女性に対する性的な言動に配慮しなければならないとされていますが、セクシャルハラスメントといった個人間での性被害が根強く残っているのが現状です。

また現在では、自身が性的マイノリティ(LGBT)であることを公表する方が増えていますが、京都市の男女共同参画推進協会によると、およそ9割のLGBTの方が、日本社会は性的マイノリティの方にとって配慮された環境ではないと答えています。

これらは一例ですが、人に対する理解を深めることは、人や国の不平等の是正に繋がるでしょう。

地産地消に取り組む

今では至る所に大型スーパーやコンビニエンスストアが出店していますが、その一方で地元の精肉店や青果店といった個人商店は、1980年から減少し続けています。

就職等で地方から都市部に移住する人が増加したことにより、一部の地域では、人口が減少し地域の生産機能が低下する「過疎地域」となってしまいました。

地元で生産されたモノを地元で消費する「地産地消」では、個人商店などの売り上げに貢献できますし、地域が活性化することで、中長期的な人口流入の促進などに繋がるでしょう。

フェアトレードラベルの商品を購入

フェアトレードラベルとは、「公平・公正」な取引によって生産された商品に与えられるラベルです。

私たちが普段から手にするコーヒーや紅茶、チョコレートといった商品ですが、これらの原料の生産者の中には、児童労働者や不当な取引をされている生産者がいます。

発展途上国などでは、大企業による立場の弱い小規模生産者への不当な取引が問題となっており、そのような問題を解決するため、1997年に国際フェアトレードラベル機構が設立されました。

このフェアトレードの認証マークがある商品を購入することで、不当な取引の是正や小規模生産者の生活に貢献することができます。

食品ロスを減らす

農林水産省によると、世界では毎年13億トンの食品ロスが発生しており、日本国内だけでも1年間で約612万トンの食品が廃棄されています。

SDGsの「つくる責任 つかう責任」では、2030年までに小売・消費レベルにおける一人あたりの食品ロスを半減させ、生産サプライチェーンでの食料の損失を減少させることを目標としています。

日本の食品ロスのうち、4割以上は家庭から発生する食品ロスとなっています。

食べ残しの削減はもちろんのことですが、スーパーなどでは、商品棚の手前から順に賞味期限が近いものが陳列されているので、可能な限り手前の商品を購入するなど、さまざまな場面で食品ロスの削減に取り組むことができます。

プラスチック製品の利用を控える

テレビやインターネットで、鼻にストローが刺さったウミガメの映像を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今ではプラスチックは、日用品から建材に至るまで幅広い分野で使用されています。

しかし、悪質な事業者や人々によって海に放棄されるプラスチックごみもあり、それらは海洋生物や私たちの人体にまで影響を及ぼすようになりました。

海に放棄されたプラスチックは、紫外線や海流により細かく砕かれることで、5㎜以下のマイクロプラスチックとなります。そして、それらを誤飲した生物を私たちが海産物として摂取することで、間接的に私たちもマイクロプラスチックを摂取するリスクが高まっています。

水筒やマイバッグなどを積極的に利用し、海に流れるプラスチックごみの削減に取り組むことで、海洋生物の保全やマイクロプラスチック問題の解決へと貢献できます。

森林資源の利用を控える

人口が増加したことにより、土地開発や商業利用を目的とした森林伐採が増加しています。

また近年では、地球温暖化の影響により森林の自然火災が多発しており、1990年~2020年の30年では、1分間に東京ドーム約2.4個分の面積の森林が減少してきたとされています。

紙や割りばしといった製品の利用を控え、紙に代わる素材の利用を積極的に使用することは、森林資源の保護へと繋がります。

株式会社TBM社では、森林資源を一切使用せずに製造できる、紙とプラスチックに代わる石灰石を主原料とした新素材、「LIMEX(ライメックス)」を開発しました。

LIMEXは、名刺やメニュー表、食品容器といった製品として既に多くの企業に導入されており、今後その用途が拡大することが期待されています。

認証マーク入りの商品を購入

普段手にする製品をよく観察してみると、さまざまな認証マークを確認することができるのではないでしょうか。

それらの認証マークにはそれぞれ意味があり、例えばエコマークであれば、「製品の生産から廃棄におけるライフサイクル全体において、環境の保全に繋がると商品である」という意味があります。

環境ラベルの種類によっては、自社製品の宣伝のために作成された環境ラベルもありますので、実際にその商品が環境の保全に繋がるかどうかは、消費者の判断に委ねられます。

ただエコマークにおいては、日本で唯一第三者機関によって認証されている環境マークになりますので、その信頼性は担保されていると言えるでしょう。

電気の使用量を削減

現在、日本のエネルギー発電の8割近くが、化石燃料(天然ガス・石炭・石油等)由来の火力発電となっています。

エネルギー資源に乏しい日本では、これらの資源のほとんどを外国からの輸入に依存しているため、輸入国の情勢などによって価格や輸入量などで影響を受けやすい状態にあります。

また、これらの資源の埋蔵量には限りがあるため、今後エネルギー不足とならないためにも、限りある資源を無駄なく有効活用しなければなりません。

そのためには、普段の生活から不要な電気の使用を減らし、エネルギーを上手に使うことが求められます。

SDGsは一人ひとりの小さな取り組みから実現できる

このように、私たちの生活の中にもさまざまなSDGsに貢献できる取り組みがあります。

「SDGsへの取り組みには何があるのか」

そのことを考えること自体が、既にSDGsへの取り組みであるといえます。

このような私たち一人ひとりの取り組みはいずれ大きな力となり、持続可能な世界の実現へと繋がるでしょう。

LIMEX
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