サステナブルファイナンスで叶える、環境問題の解決(日本編)

地球温暖化などに代表される気候変動や貧困、人権問題などは、現代社会が抱える地球規模の問題です。サステナブルファイナンスは、こうした問題を金融(お金)の力で解決し、「持続可能な社会を作ろう」とする考え方です。
日本も諸外国と同様に、サステナブルファイナンスを活用し、環境課題を解決しようとする取り組みがなされています。

この記事では、サステナブルファイナンスの活用事例を「金融機関や企業」と「個人」に分けてそれぞれ紹介していきます。

国内企業や金融機関でのサステナブルファイナンス活用事例

事例紹介

現在、国内企業・金融機関でもさまざまな取り組みがなされています。ここではその一例をご紹介します。

事例① SOMPOグループ

日本の保険会社として、最も早く「PRI」に署名したのがSOMPOグループです。
PRIの正式名称は「Principles for Responsible Investment」。
日本語では国連責任投資原則と呼ばれ、環境や社会、ガバナンスの視点を組み入れた投資原則を指します。
国連が提唱するPRIの最終的な目標は「持続可能な国際金融システムの構築」であり、2021年時点で世界60ヵ国以上、4,000を超える機関が賛同し、資産総額は120兆ドルに上っています。

SOMPOグループはPRIに基づいて、石炭火力発電所への新設に対しての投資を控え、その一方でESGへの取り組みを進める企業に対しては積極的に融資を行うといった「持続可能な社会」に向けた投資活動を行っています。

事例② 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、世界で初となる「リテール向けコロナ対応型サステナビリティボンド」を2022年に発行しました。
これはコロナ禍という社会課題を解決する企業に対しての投資を目的としており、機関投資家や個人投資家などの間で広がっている「コロナのような社会課題に貢献できる投資をしたい」というニーズを実現する目的で作られています。

事例③ 滋賀銀行

滋賀銀行は地方銀行の中でも、SDGsに取り組んだ銀行の先駆けとして注目されています。
近江商人発祥の地として「三方よし」の経営理念を持ち、過去には琵琶湖の水質汚染問題に市民と一丸となって取り組んだ実績もあります。
サステナブルファイナンスの分野でもESGファイナンスを積極活用するために「しがぎんSDGs宣言」を2017年に発表。サステナビリティ・リンク・ローンやグリーンボンドなどを取り扱うことで、企業と一体となって持続可能な社会の実現に向かって進んでいます。

融資・投資先企業との対話を行う金融機関

銀行などの金融機関は、投資だけでなく、対話によってもサステナブルファイナンスを推進する活動を行っています。
融資・投資先の企業に対し、気候変動やプラスチック問題、持続可能な材料の調達などのESG課題への対応を促し、改善を後押しします。
企業は環境問題の解決に向けてシフトし、金融機関も企業成長とESG課題の解決を両立させる企業の好事例やノウハウが蓄積されることで、今後の対話に生かされる好循環が生まれます。こうした対話を繰り返すことで、持続可能な社会に結び付く企業を増やし、社会に貢献できます。

個人におけるサステナブルファイナンス活用事例

事例紹介

つづいて、個人におけるサステナブルファイナンスの活用事例を紹介します。

事例① グリーン貯金

グリーン貯金とは、個人や企業が預けたお金を元手にして、銀行などの金融機関が環境に配慮した企業やプロジェクトだけに絞って融資を行う仕組みです。
具体的な融資先としては、「風力発電事業」や「エネルギー効率化のための技術開発」、「気候変動など環境問題の解決に向けたプロジェクト」などが該当します。
金融機関に預けた預金は、いわば「今すぐ使わない資金」と言えますが、これらを「環境問題を解決できる」と判断されたプロジェクトに活用することでサステナブルファイナンスを推進できます。

事例② 個人向け環境配慮型ローン

個人向け環境配慮型ローンとは、「太陽光発電システム」や「省エネの設備を備えた住宅」、「CO2排出量の少ないエコカー」などを購入する場合、通常よりも低い金利で資金を借りられるローンです。
環境に配慮した商品の購入に対する金利を低くすることで、CO2などの排出が少ない住宅や車の普及を促進し、気候変動の抑制に繋げることができます。

地球の未来をより良くするための、サステナブルファイナンス

環境のために個人や企業で取り組むことが課題となった今。

リサイクルなども重要ですが、それだけの努力では不十分であるため、金融の力で大胆に取り組む「サステナブルファイナンス」が注目されています。

企業のこうした取り組みを知ることで、私たち個人の考え方や投資先も変わり、その積み重ねで地球の未来をより良くすることができるかもしれませんね。

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