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再生可能エネルギー大国、ウルグアイ
ウルグアイという国を知っていますか?
日本に住む私たちは、普段あまりなじみのない国かもしれません。ウルグアイは、南米にあり、人口はわずか340万人ほどの国です。
かつてのウルグアイは、多くの国と同じように、既存のエネルギー(ガスや石油など)に頼らざるを得ない国でした。石油は輸入全体の27%ほども占めており、隣国であるアルゼンチンからガス供給を受ける話も進行していたのです。
決して豊かではないこの国が目を付けたのが、再生可能エネルギーです。
当時のエネルギー省トップのRamón Méndez氏は、「再生可能エネルギーは、金融ビジネスになりうる」と言い、それからわずか十数年で再生可能エネルギー大国になったのです。
この記事では、ウルグアイが世界から「グリーンエネルギーのリーダー」と称されるに至った経緯や、いまの私たちがウルグアイに学ぶべきことをご紹介していきます。
再生可能エネルギーとは?
まず、再生可能エネルギーとはなんでしょうか。
近年注目されるこれらのエネルギーは、環境への負荷を軽減しつつも持続可能でクリーンなエネルギーを供給します。土地や気候など、その地域に適した方法を生かす必要があります。
主な再生可能エネルギーは、以下の通り。
・風力エネルギー: 風力タービンを使用して風の力を利用し、発電します。
・太陽光エネルギー: 太陽光パネルを使用して太陽の光を直接受けて発電します。
・水力エネルギー: 水力発電所で水の流れや水圧を利用して発電します。
・地熱エネルギー: 地下の熱源を利用して発電したり、建物の暖房や温水供給に利用したりします。
・バイオマスエネルギー: 生物由来の有機物(植物や動物の廃棄物など)を燃料として使用して発電したり、熱を供給したりします。
・潮力エネルギー:潮の干満を利用して発電します。
投資家も注目した、ウルグアイの条件とは
先のRamón Méndez氏は、こうも言っています。
「ウルグアイでは建設費と維持費が安く、投資家に安全な環境を与えることができるのも大きな魅力だ」
ウルグアイは、風力発電に適した、安定した風が吹き抜ける立地があるなど、自然条件が整っています。さらに、投資家にとって大きな魅力だったのが、これらのエネルギーを公共事業として20年間固定価格で販売できる点。こうした点に海外の投資家・投資会社が目を付けていきます。
自国の強みを生かし、ビジネスとすることで、国内外から大きく注目された、ウルグアイ。
いまでは、国内のほぼすべて・平均97%(2017~2020年)を再生可能エネルギーとなったのです。
97%は再生可能エネルギー!ウルグアイの電源別発電量
ウルグアイは、風力・太陽光発電に適した土地や気候を有しており、まだその導入余地は多くあるといわれています。
・水力発電…44%
・風量発電…32%
・バイオマス熱利用発電…18%
・太陽光発電…3%
・化石燃料発電…3%
(2017年~2020年)
国をあげてクリーンエネルギー大国となった、ウルグアイ
自国の資源を生かし、経済活動として、再生可能エネルギー事業を活性化させようとしたウルグアイ政府は、さまざまな政策を実施していきます。
まず、ウルグアイ政府は再生可能エネルギー発電事業への投資を奨励するため、税制優遇措置を導入しました。これにより、再生可能エネルギー発電事業への投資が促進されました。
また、ウルグアイ政府は再生可能エネルギー発電プロジェクトの開発に対して、長期的な契約や補助金を提供しました。開発者や投資家は安定的な収益を見込むことができ、再生可能エネルギーへの投資意欲を高めることに成功しました。
さらに、ウルグアイ政府は再生可能エネルギーに関する研究・開発や教育プログラムを支援しました。これにより、専門知識の普及や技術の進歩が促進され、再生可能エネルギーの導入における障壁が低減させました。
こういった支援によって、わずか十数年で自国のエネルギー事情を大きく転換させると同時に、経済も豊かにし、環境への配慮も実現したのです。
ウルグアイに学びたい、地球環境課題への姿勢
「地球の未来を守ろう」「キレイな海を守ろう」などといった目標は、時に不自由さを感じることがあるかもしれません。例えば、「マイバッグ持参」「プラスチックを使わない」など、これまでと違った習慣もあるでしょう。
私たち個人レベルでも「環境は守りたいけど…」と後ろ向きになることもある、これらの問題に、ウルグアイは自国の強みを生かし、経済を発展させるために積極的に取り組んでいきました。その結果、環境にもプラスとなり、自国の経済も潤すことができたのです。
環境問題に対し、ネガティブな問題だととらえず、少し視点を変えて見ると、楽しく、そしていまよりさらに良く、いまの課題がチャンスにも見えてくるのかもしれません。