好きな服を着たい!
誰もが当然思うことでしょうが、最近「合成繊維の衣類を着ないで」ということを聞いたことはありませんか?
私たちの衣類選びの選択肢として当然のようにある「ファストファッション」などでは、ほとんどの場合、合成繊維が使用されています。
着心地もよく、手入れもしやすい、そして多くの場合、リーズナブルに手に入れることのできる合成繊維の衣類は、なぜ推奨されないのでしょうか。
目次
着ているだけ・洗濯するだけで環境問題?!
合成繊維が環境目線で推奨されないのは、その製造工程だけに起因するものではありません。
実は、合成繊維の衣類は「着ているだけ・洗濯するだけで」マイクロプラスチックが放出されるというデータがあります。
マイクロプラスチック問題は、現在世界で深刻化する環境問題の中で最も注目されている問題の1つで、私たち一人ひとりが早急に取り組むべき課題。
このため、私たちの暮らしに身近なものをどう選択し、どう使用していくかが、注目されているのです。
ひとことで合成繊維といっても、その種類はさまざま。
メジャーなものとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあげられますが、どれも私たちがよく手にするものではないでしょうか。
実際に、いまあなたが着ている衣類やクローゼットにある衣類を見ても、これらの繊維はごく当たり前に使用されていることでしょう。
合成繊維は、私たちの暮らしに広く浸透しているため、今後購入しない…という選択肢はなかなか現実的ではないかもしれません。
このため、まずは合成繊維の何が問題であるのか、を知ることが重要といえそうです。
合成繊維から出てくる「マイクロプラスチック」とは
合成繊維にマイクロプラスチック?!
マイクロプラスチックとは、5mm未満のプラスチックのかけらのことを指し、海の生き物などに大きなダメージを与えている環境問題の原因です。
あまりイメージがつかないかもしれませんが、実は合成繊維の場合、「繊維くず」がマイクロプラスチックとなってしまうため、合成繊維の衣類は「着るだけ」「洗濯するだけ」でマイクロプラスチック問題を引き起こすといわれているのです。 そして、合成繊維の種類によってもマイクロプラスチックの放出量に差があり、例えば、アクリル製の繊維はポリエステル製よりも7倍のマイクロプラスチックを放出する…というデータもあります。
環境問題は、私たち一人ひとりが取り組んでいかなければならないものではあるため、最も簡単な改善方法としては「合成繊維の衣類を買わないこと」に違いないのですが、実際のところそれは非常に困難な方法であることは言うまでもありません。
無駄な衣類を「買わない」という選択
あなたのクローゼットには「買ったけど着ていない衣類」はありませんか?
めまぐるしく変わる流行に、つい購入してしまったけど…という衣類は、誰しも持っていることでしょう。
繊維くずは、衣類を着たときはもちろん製造の段階でも出てしまいます。
このため、無駄な衣類を買わない、という選択をすることも環境への取り組みとして有効であるといえます。
買った衣類を「大切にする」という選択
衣類を長持ちさせることは、財布だけではなく、環境にも優しい選択です。
そのためには、正しい洗濯方法で衣類をケアすることが大切。
その方法はとても簡単。
洗濯ネットを使用し、表示に従った方法で洗濯をすることで、衣類が傷みのを防ぐことができます。
最近では、網目の細かい洗濯ネットも多数あり、これを使用することで、衣類の傷みを防ぎながらマイクロプラスチックの流出防止に効果的となります。
洗濯方法を見直してみる
普段何気なくしている洗濯も、洗濯機の設定やケアを見直すことで、マイクロプラスチック問題の解決に寄与できます。
洗濯機のフィルターをこまめに掃除していますか?
フィルターには繊維くずが溜まるので、こまめにごみとして捨てることで、より確実に繊維くずをとることができるのです。
また、洗濯の設定を「低温」「時短」にすることで、マイクロプラスチックの放出量が減らせるというデータもあります。
その研究によると、ヨーロッパのすべての家庭が洗濯機の設定方法を見直すことで、年間3800トン以上のマイクロプラスチックの放出が減らせる可能性があると指摘しています。(参照: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0233332 )
このほかにも、デリケート洗いを避けたり、なるべく一度にまとめて洗濯をしたりすることも効果的といえるでしょう。
私たちの小さな選択が、地球の未来を変える
衣類を「着ているだけで」「洗濯するだけで」環境問題につながってしまうかもしれない、ということは、多くの人にとって衝撃的だったのではないでしょうか。
合成繊維は、私たちの暮らしにかなり身近なものとなっているため、「全く使用しない」選択はなかなかとることができないでしょう。
しかし、うまく付き合うことはできるはず。
そのために、必要以上に購入しないことやケアの方法を知っておくことは、環境を守るための第一歩といえます。
また、最近では、生分解性繊維や繊維くずができにくい衣類など、新素材・新商品の開発もすすんでいます。
私たちの小さな選択の積み重ねが、地球の未来を変えていくことを知り、いまできることから1つずつ確実に始めていきましょう。