海岸に光るシーグラスは、私たちが捨てたガラスごみ


海外で見かけるシーグラス。
砂浜の中に混ざっているととてもきれいで目に留まります。
しかし、シーグラスの正体は、私たち人間が捨てたゴミなのです。
シーグラスを通じて環境問題について考えてみましょう。

シーグラス(ビーチグラス)を知っていますか?

浜辺で遊んでいるときに多くの方が、一度はシーグラスを見たことがあるでしょう。
まったく同じ形のものはなく、色とりどりのシーグラスを集めていた幼少期の思い出がある方も多いのではないでしょうか。
最近では、シーグラスがアクセサリーや小物アイテムに使われることもあります。

シーグラスとは

シーグラスとは、海岸に捨てられたガラス製品の破片が長い年月をかけて欠けたり削れたりし、丸みを帯びたものです。
半透明で色とりどりのきれいなシーグラスは「人魚の涙」「海の宝石」「海からの贈り物」などといわれることもあります。
その美しさから、コレクターもいるほど密かに人気です。

シーグラスを使ったアクセサリーや小物アイテムは数多くあり、ハンドメイド商品としても注目されています。

シーグラスになるまでどのくらいの時間がかかる?

シーグラスは、長い年月をかけて海の中を彷徨い、波や砂利などに揉まれて、ガラスの破片からきれいなシーグラスへと変化します。
ガラスからシーグラスになるまでの期間はさまざまで、数十年でシーグラスになるものもあれば、長いものでは100〜200年もの歳月を経てシーグラスと変化します。

シーグラスは私たちが捨てた、海のゴミ

シーグラスの正体がガラスであることから、シーグラスは私たち人間が捨てたビンやガラスなどのゴミから生まれているとわかります。

かながわ海岸美化財団の調査による海岸の人工ゴミの割合を見てみると、約30年前の1992〜1994年は、プラスチックが40.9%、金属が31.4%、ガラス15.7%だったのに対し、2016~2018年は、プラスチックが57.1%、金属が16.8%、ガラスが10.8%でした。
ガラスと金属は約30年前に比べて、現在はゴミの割合が減少しているのに対し、プラスチックは大幅に増加しているとわかります。

1990年代の海岸は、空き缶のゴミばかりだったのに対し、2010年の海岸は、空き缶からペットボトルのゴミへと変化しているため、プラスチックゴミの増加がみられると考えられます。

深刻な海洋汚染…ガラスは再利用できる

近年、資源の再利用が注目されていますが、ガラスのリサイクルは、紙やペットボトルボトルに比べると耳にする機会は多くはありません。
しかし、ガラスの再利用は適切な扱いをすると、100%再利用できます。
再利用できるガラスの多くは、ガラスビンです。

洗浄して繰り返し使うことを前提として作られたガラスビンを「リターナルビン」といい、一回限りの利用を前提に作られたガラスビンを「ワンウェイビン」といいます。
リターナルビンには、「丸正マーク」「Rマーク」などがついています。
ワンウェイビンは、市町村から回収してカレット工場で加工され、ビンの原料やその他の用途で再利用されていくのです。

リターナルビンのように繰り返し使うことをリユースといいます。
リユースには、ワンウェイビンの再利用方法以上のメリットがあります。

メリットは主に4つ。
1つ目が「天然資源の節約」です。
ガラスビンの原材料は天然資源のため、繰り返しビンを使用すれば、ビンを製造する天然資源の節約につながります。

2つ目が「省エネルギー」です。
カラスビンの製造には、原料を溶かすため大量のエネルギーを必要とします。
ビンをそのまま再利用すると、製造量が減少するため、エネルギーの削減になります。

3つ目が「地球温暖化の防止」です。
ガラスビンを再利用せずに処分すると、地球温暖化の原因と考えられている温室効果ガスが排出されます。
リユースとしてそのままビンを再利用する際と、処分する際の温室効果ガスの排出量を比べると、再利用では77%も削減できるため、地球温暖化防止につながります。

4つ目が「廃棄物の削減」です。
ビンを繰り返し使用すれば、廃棄物がでません。

ペットボトルやプラスチックの代わりとして注目されるガラス

便利、手軽、捨てやすいなどの理由から、ペットボトルやプラスチック製品の使用頻度が高くなり、その廃棄物が地球規模の環境問題の原因となっています。
ガラスビンには重い、割れやすいなどのデメリットもありますが、繰り返し使えることから地球環境に多くのメリットがあります。
今後もペットボトルやプラスチックの代わりとしてガラスは注目されるでしょう。

こういったガラスの特性は、私たちがリサイクルの意識と行動を徹底することで、上手に生かすことができるのです。

「ガラス製品を作らなければシーグラスを減らせる」という視点もありますが、人間の活動全体を考慮したときに、プラスチックなどと比較し、ガラス製品にはメリットが大きいことを忘れてはなりません。

シーグラスのない海こそが、地球に優しい海

きれいで人気のあるシーグラスの正体は、私たち人間が廃棄したゴミです。
シーグラスは地球環境にとってあってはならないものであり、シーグラスがない海こそが、きれいで地球に優しい海といえます。

シーグラスを通じて環境への取り組みを考えたり、シーグラスを有効活用したりすることは素晴らしい取り組みです。
地球の未来のために、ゴミの捨て方やリサイクルについても、もう一度考えてみませんか。

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