植物や木が枯れると、二酸化炭素はどうなってしまうのか?

観葉植物を自宅のインテリアとして飾っている人も多いでしょう。
植物は私たちに安らぎを与えてくれるとともに、地球環境を守るためにも役立っているのです。
この記事では、そんな植物が枯れてしまったときにそれまでに吸収した二酸化炭素がどうなってしまうのかを見ていきましょう。

木や花は二酸化炭素を吸収している

木や花などの植物は、人間や動物のように酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出す呼吸を行っています。
しかし、それと同時に二酸化炭素と取り込んで酸素を生み出す光合成と呼ばれる働きも行っているのです。
呼吸は絶えず行われますが、光合成は日光を浴びているときにだけ行われます。
つまり、植物は日中に呼吸と光合成を行い、夜に呼吸だけをしているのです。

植物の光合成は呼吸よりも強力で、呼吸によって排出される二酸化炭素の量よりも、光合成によって取り込まれる二酸化炭素量と生み出される酸素量のほうが多いという特徴があります。

植物が具体的にどのくらいの二酸化炭素を吸収しているか調べた実験があります。
実験結果によると、Lサイズ(高さ150cm~180cm)の鉢植えで育てた観葉植物は、年間1.5kgの二酸化炭素を吸収するとわかりました。
スギの木1本の二酸化炭素吸収量は、年間14kgのため、観葉植物10鉢でスギの木1本に相当する二酸化炭素の吸収が可能です。

観葉植物を自宅に飾ることは、インテリアや安らぎを与えるためだけではなく、地球環境の改善にも役立つといえるでしょう。

植物が枯れてしまうと二酸化炭素はどうなるのか

二酸化炭素を吸収して酸素を生み出す植物が枯れてしまうと、大気中の二酸化炭素が増加し、地球温暖化を進める要因となります。
植物の中で特に樹木は、炭素固定と呼ばれる働きを持っているのが特徴です。

草花といった草本植物は、一般的に光合成で二酸化炭素を吸収して成長していきます。
成長すると花が咲き、種子をつくって1年から数年で枯れるのが一般的です。
植物が枯れると、微生物の作用によって分解が行われ土に還ります。
草花が土に還るとき、光合成によって吸収していた二酸化炭素は大気中に戻ります。

一方、樹木は成長の年月が長く、光合成で大気中から取り込んだ二酸化炭素は、炭素の形で蓄積されるのです。
吸収された炭素は樹木の中に蓄積され固定されるため、二酸化炭素の放出防止につながります。
樹木に蓄積された炭素は、木材製品になっても固定されたままです。
木材製品を燃やさない限り炭素は固定されたままのため、地球温暖化防止に役立つといえるでしょう。
炭素は、燃やした際やいずれ土壌へと分解される際に、二酸化炭素として大気中へ戻ります。

森林が減ってしまうことによる、地球温暖化のリスク

森林は地球の肺とも呼ばれています。
植物たちは大量の二酸化炭素を取り込み酸素を排出することで、地球の二酸化炭素量のバランスを保ってきたのです。
そのため、世界規模で森林減少が進んでしまうと、大気中の二酸化炭素量が増加し、地球温暖化の要因となってしまいます。

現在、世界では大規模な農地開発や違法伐採、焼畑農業などが行われており、森林破壊が問題になっています。
アマゾンでは、農地開発のために2000年から2010年の間で、毎年平均約4.7万平方キロメートルの森林が失われているそうです。
また、焼畑農業によっても毎年約200万ヘクタールの森林が消失されています。

森林が減り地球温暖化が進むと、気候変動が引き起こされる可能性があります。
森林が消失すると雨量が減り、土地の乾燥化が進んでしまうでしょう。
また、森林が減少すると平均気温の上昇もまねきます。
森林は地球の表面を覆って太陽の光を遮る役割を果たしているため、森林減少により地表の照射面積が増えてしまうと、地表温度が上昇すると考えられています。

私たちが植物から受けている恩恵は大きい

植物は、私たちの知らないところで地球の環境を守ってくれています。
樹木が二酸化炭素を吸収・炭素固定することによって、大気中の二酸化炭素量が増えるのを防ぎ、地球温暖化の防止に貢献しているのです。
地球温暖化の防止により気候変動や気温の上昇が抑えられることから、人間が植物から受けている恩恵は大きいといえるでしょう。

地球温暖化を防ぎ私たちの暮らしを守るためには、森の未来を守るための選択をすることはもちろん、暮らしの中に植物を取り入れることも大切です。
観葉植物を自宅に取り入れ、大切に育てながら、環境を守る気持ちも育てていきましょう。

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